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「ベンチャー人事を悩ますカルチャーフィットとの上手な付き合い方」(ベンチャー採用 Advent Calendar 2018)
株式会社ミライセルフの表孝憲(@takanori52)です。ベンチャー採用 Advent Calendar 2018の23人目を平成最後の天皇誕生日&クリスマスイブイブに務めます。(あえて”ウ”ではなく”フ”に点々)
まずは表ってだれ?
簡単に言うとゴリラです。
今年の弊社トピック
①貴方にあった社風の会社を探せるサービスmitsucariをローンチ
②mitsucari適性検査の導入が今年1年で2倍の2,100社👏
こんな感じです。
なんで書こうと思った?
”えい、やー”で飛び込みました。自分の大切な価値観からしても新しいことに飛び込むのはいやでも結局気持ちいい。@fabichirox に聞いたところぜひ!といっていただけたので参加しました。
ただ錚々たるメンバーの方が書くAdvent Calendarに正直申し込んでから所謂大後悔時代が訪れ、初回の青田さん@AotaTsutomu や2回目のMaruさん @marumalk の記事を読んで、みなさん手加減ってものをしらないですねとビビりました(その後の方の記事はビビってあまり読んでおらず、本日からがっつり読みます。楽しみ!来年やるなら早めに書こう。)
このnoteの内容
さて何を書こうかと考える中で、人事に関わる皆様に私が伝えられることと言えば。私たちの事業の挑戦であるカルチャーフィットに関することしかないなと思いました(それ以外は適任がもっといらっしゃる。社会全体の適材適所!)。
カルチャーフィットという言葉は昨今よく聞くようになってきていますがややフワッと使われることが多いため、
なんとなく大事そうなんだけどなんなんだっけ
と感じられている方が多いと体感しています。
そこでnoteのテーマは
「ベンチャー人事を悩ますカルチャーフィットとの上手な付き合い方」
としてカルチャーフィットに対するフワッと感を少しでも払拭できればと思っています。
想定される読者
ベンチャーで採用に関わる人事担当者、役員、経営者のみなさま&人事サービスを提供されているベンダーのみなさま
このnoteのまとめ(時間がない方はこちらだけでOK)
・カルチャーフィットはややこしい。切り口として従業員規模、会社の人と事業の関係、変化のスピードによって重要度が変わる。猫も杓子もカルチャーフィットではない。 ・カルチャーフィットを見定める立場にある採用に関わる方は、会社と自分が最も大切にしている価値観をより真摯に見つめる必要があると思う(自戒の念を込めて)。
悩みのタネ①:そもそも定義がややこしい。
カルチャーフィットという問いを考える中でまず考えないといけない点がカルチャーフィットです。
この記事の定義では”企業文化への適応性や適応している度合い”と言えそうです。
また、こちらの弊社ブログでは
カルチャーとは「共有された価値観、人物特性、キャリアへ対する姿勢などの組織風土」を指します。」と訳されますが、ミライセルフの考えるカルチャーはビジネスの文脈に応用したものになります。つまり、カルチャーとは「会社のメンバーがそれぞれ共有している理念や風土」であり、カルチャーフィットとは「カルチャーの共有度」を指します。
ありのままの自分でいても、スキル以外でストレスを感じないで済む状態=カルチャーフィットしている状態とも言えるでしょうか。
このnoteではカルチャーフィットの定義は
会社のメンバーがそれぞれ共有している理念や風土への個人の適応性や適応している度合い
とします。
悩みのタネ②:レイヤーの整理がややこしい
カルチャーフィットをお客様と議論する際に混乱の原因となっているのが
どのレイヤーのフィットに関して話しているのかの擦り合わせが明確にできていない
ということです。
人材特性の氷山モデルという表現がありますが、人材の特性は顕在化しているスキル・知識・行動と潜在的な価値観や性格、そしてその中間にあるコンピテンシー(行動特性)に分けることが1つの考え方として可能かと思います。
ある価値観や性格がある→ある行動を取りやすくなり(行動特性)→結果的にそうした行動を繰り返す中でスキルや知識になっていく
という大枠の関係がそれぞれのレイヤー間であると思います。
例えば論理的に考えるのが好きな人がいるとすると、結果的に論理的に考えるのが得意になり、ロジカルシンキングのスキルがつくといった感じ。
またダイバーシティをどう考えたら良いか?という疑問はお客様と話す中で、よく出てきます。この場合、まず多くのダイバーシティは一番上のスキル・知識・行動のレイヤーの話に関連していることが多いです。さらに、それ以外のレイヤーに関しても、バラバラな特性はそれぞれの会社にあることがmitsucari適性検査上はほとんどです(例えば論理重視と想い重視という対立軸に関しては、どちらの性格・価値観を持った人はいる)。そういった特性ではダイバーシティを効かせるリスクは低いし、逆に1,000人の社員が1,000人とも持っている特性(例えば仕事重視とプライベート重視で仕事重視ばかり)に関してはフィットを考えた方が良いです。
カルチャーフィットを考える場合は氷山モデルの潜在的なレイヤーを話していると意識すると考えはスッキリしてくると思います。
悩みのタネ③:従業員規模の成長による重要度の変化
ベンチャー人事を悩ますカルチャーフィットとの上手な付き合い方
を考える上で次に考える必要があるのが
ベンチャーとは何か
の定義です。これだけで12時間くらいは話せるテーマだと思いますが、今回は便宜的に従業員規模で切り分けようと思います。
①1−20名②21名−100名③101名−300名④301名以上
今回は目安ですがこのように分けます(当然会社によって内訳人数の差は生じるので便宜的な目安です)。
この従業員規模がカルチャーフィットを考えるときに大切になると思います。カルチャーフィットが一番大切になるのはどの規模でしょうか?
多くの経営者様や人事の方から弊社のサービスに関してお問い合わせを頂き、カルチャーフィットに関するディスカッションをさせていただく中で、101名以上-300名の時はかなり大切。1-20名の時は意思決定の速度に関わるので大切。ただスキルの方がもっと大切。21名-100名や301名以上の時には事業の目的によりけりかなというのが大枠の整理です。
まず1−20名期この時は事業のスピードが大切です。意思決定をするときに価値観がばらばらだと(価値観のダイバーシティが効きすぎていると)決定のスピードが遅くなります。
101名以上の企業では組織が階層構造になりはじめることが多く、経営の意識が伝わりづらくなるという状況がおきます。このときに大事な価値観が共有できているというのは組織の武器になります。
21名-100名の規模の時は事業内容は固まってきていて、組織のレイヤーも少なく済むこともあるのであまり問題が顕在化しません。また301名以上になってくると会社というのが曖昧になってきて、自分の事業や業務に対するフィットの方に意識が向いてくることが多いと思います。
1-20名の創業期に関しては特にスキルや知識という氷山モデルの顕在層の部分ではダイバーシティが効いている方が強いケースが多いです。ドラクエやるのに戦士と勇者と僧侶と魔法使いがいないとバランスが悪い。全員武道家とかだと回復できない。創業期は本当に作る人がいないと動かないこともあるので、カルチャーを無視してスキルで採用せざるを得ないという場面も起こり得るのが難しいところかと実際痛感しています。
悩みのタネ④人と事業の関係で重要度が変化
事業の作り方も分け方は様々な分け方があります。その中でも人と事業の関係という視点では事業の作り方は大きく2つに分けられます。
・素敵な人を集めて、その人たちに事業を作ってもらう
・素敵な事業を計画して、計画を中心に人を集める
です。
(こちらの整理は@Y-Tronc さんと渋谷でお蕎麦食べて居た時に言語化できました。ありがとうございます。TKG会の帝王でもある三木さんのTwitter。要チェックや。)
非常に有名なCAの藤田社長のバスに乗せる人をまず選ぶというブログ記事ですが、素敵な人を集めて、その人たちに事業を作ってもらう会社の代表例はサイバーエージェントさんだと思っています。こうした会社さんにとっては会社のメンバーがそれぞれ共有している理念や風土への個人の適応性や適応している度合いの重要度は相対的に高まると感じています。
逆に「旧態依然としたXX業界を変え、その業界にいる人を幸せにする」のようなビジョンの会社の場合はそのミッションややるべきことへの共感度の方が大切になってくるように思います。
この話に関連しますが、
ビジョンへの共感=カルチャーフィットがある
と同義で使われることもあります。これも人を中心にしたビジョンであればそこにいる人たちの総和としての会社の性格や価値観との違和感は大きな問題になりますが、事業を中心としたビジョンであれば大きな問題にならず、そのビジョンに向かっていけてるかが大切になると思います。ビジョンの内容次第でカルチャーフィット型か事業フィット型か考えるべきなのでしょう。
悩みのタネ⑤:事業の変化が早いとカルチャーフィットの重要度が高まる
前段の話にもリンクしますが、1つの事業をしっかりとやり続ける会社と、健全な朝令暮改を繰り返し、メインの事業を変えていく会社さんがあると思います。
(勝手なイメージですがコスメ業界で事業を継続拡大されているアイスタイルさんとゲーム関連の事業を切り離してSHOPLISTにフォーカスされたクルーズさんなどが対照的な例でしょうか。)
変化が早いと今日やっていた事業がいきなりなくなるってことも多くなります。そのときに求心力となるのが別軸としての
でも、この会社やそこにいる人達が好きだ
という魅力を生み出す要素になると思います。
ここもとカルチャーフィットが重要視されている風潮が高まっていると感じますが、VUCA時代としての不確実性や変化のスピードに起因している部分もあるのではないでしょうか。
あまりにも有名ですがmercariさんのmercanにも近い内容が書かれていました。撤退の決断も早く、変化の早い会社の代名詞ですね。
まとめ
カルチャーフィットはベンチャー採用にとって大切かという観点では、実は大切じゃないケースだってたくさんある。
ただ
①特定の従業員規模
②人と事業の関係が人中心
③変化の早い会社
このケースは大事になるケースが多い。
なんとなくふわっとした議論になりがちなこの結論を、数値に近い形でできる限り今後発信していければと思います。
付き合い方がわかった上で、、、、カルチャーフィットに関わる方にとって一番大切なこと
いきなり話が飛びますが、スタンフォード大学のビジネススクール(通称GSB)は世界屈指のMBAコースです。(余談ですが私は第一志望で受けたのですがあえなく落ちました。説得力弱!)
その入学試験の大きなパートを占めるのがエッセイ試験です。あるお題に関して自身の考えを論文形式で書き、自身が入学すべきだということを示す試験です。GSBのエッセイ試験の1番最初の問いは
What matters most to you, and why?=貴方にとって最も大切なものはなんですか?そしてその理由は?
というものです。
これ一見簡単に見えて多くのMBA受験生にとって非常に難解で、なおかつ考えさせられるエッセイ試験のお題です。ただ一方で、この問いを考え抜き、明確な答えを持っていくことは人生の大きな指針になると考えています。
面接はお見合いみたいなもの
と例えられますが、社風に合うかどうかを擦り合わせていく作業だと思います。これも規模によりますがそれぞれのベンチャーのカルチャーというのは、リスクをとってベンチャーを始めたり、途中からJoinした方々の”最も大切なもの”にリンクしています。当然、創業者の方の影響も大きいですが、ベンチャー企業では、対象読者の皆様の最も大切なものにも当然リンクしているはず。
会社のミッション・ビジョン・バリューは時間をかけて形にする会社が多いのと同じように個人のミッション・ビジョン・バリューすなわち”最も大切なもの”をもっともっと研ぎ澄まして理解していく。
個人で自分の価値観を深く認識をすることが、特に採用の応募者と会社のカルチャーフィットの番人を各企業でつとめる方々がやるべきこと。
私ごとですが今年、”脳梗塞で3週間も入院する”という文字にすると恐ろしい自体が自分に起きました。
(詳しくはこちらのnoteをご覧ください。ちなみにこのnoteを書いていてAdvent Calendarの初動が遅れました汗)
人生一度きり。自分の最も大切なものを明確に認識して、それを体感し続ける日々の中で生きたい!
貴方にとって最も大切なものはなんですか?そしてその理由は?
この問いに自信をもって答えられる人に溢れた社会を作っていきたいと思っています。
ちなみに私が長い時間をかけて自己分析、留学に向けたエッセイ試験での自分の振り返り、コーチング、自己との対話、アイミングという手法から見つけ出した答えは「発見」です。
この問いの答えを「発見」する人が1人でも増えたら私はとても嬉しいです。年末年始のお時間あるときに考えられた方いたら、ぜひDM下さい(@takanori52) 。そして、そんな人が増えるように全力で事業に突き進んでいく2019年にするぞ!
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