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大阪・関西万博まで2年。起工式の取材で見えた万博最大の課題とは?

2025年 大阪・関西万博まであと2年!
4月13日に会場となる夢洲で起工式が行われた。
1970年の大阪万博、2005年の愛知万博に続いて、日本で開かれる大規模な万博は3回目となる。
2年後の2025年4月13日から半年間、大阪湾に浮かぶ人工島・夢洲(ゆめしま)で開催される。

あいさつする岸田総理大臣

岸田総理大臣は「時代を画するような出来事が続く中、命について向き合う万博に大きな期待が寄せられている。1970年の万博を超える新世紀の万博にすべく全力で取り組んでいく」と挨拶した。

前日の夜に届いた式次第では「政府関係者 挨拶」となっていたが、
西村経済産業大臣よりも前に記載があることから「岸田さんが出席されるのだろう」と思っていた。
さらに会場には「官邸記者クラブの総理番記者ご一行様」が東京から来ていたので“挨拶する政府関係者”は岸田さんのことであると確信した。
起工式が始まる午後1時直前に、岸田さんは会場入りした。

起工式が開かれた会場は巨大なテント

夢洲の会場へは、大阪府咲州庁舎から「夢咲トンネル」を通って10分ほど。
コンテナターミナルとセブンイレブン以外はまだ何も無い。
ただっ広い空き地に重機がずらりと整列しているのだ。

工事の本格始動を待つ重機群

そんな状態なので巨大なテントが起工式の会場となった。
来賓255人、博覧会協会のスタッフや我々マスコミも入れれば、
会場には500人くらいいたのではないだろうか。

続々到着する来賓の皆さま。宝塚歌劇団の極美慎さんはアンバサダーを代表して出席。
会場入りする吉本興業HDの大﨑洋会長。ダウンタウンのお2人がアンバサダーを務めている。

東京大学名誉教授でコメンテーターとしてもご活躍のロバート・キャンベル先生、門川大作京都市長をはじめ関西各自治体の首長、吉本興行の大﨑洋会長の姿もあった。もちろんミャクミャクも登場して会場を盛り上げた。

地元自治体を代表してあいさつする吉村洋文大阪府知事

大阪府の吉村知事は「今は何もない状態ですが、2年後のきょう150カ国の英知がここに結集します。ここは埋め立て地です。海が近く、山が近く、空が近く、すばらしい万博になると思います」と期待を込めた。

その後、西村経済産業大臣、岡田国際博覧会担当大臣、日本国際博覧会協会の十倉雅和会長、二階自民党・元幹事長らも参加して、「くわ入れ」をして工事の無事を祈願した。

いよいよ広さおよそ155万平方メートルの会場で、パビリオンなどの建設が始まる。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに持続可能な社会の実現に向け、脱炭素やデジタル技術、新たな移動手段などの取り組みが披露されることになっている。

大阪府・市などによるパビリオンは、来場者の健康状態をデータ化、分析し「25年後の自分」を見ることができると言う。「25年後、お前はもう死んでいる」と言われないように健康に気を付けたいと思う。

 パナソニックHDのパビリオンは、透明なバブル状の物体で覆われ、自由と循環をテーマにゲーム要素を取り入れた体験の場となる。

そして「ガンダムパビリオン」。
30代半ばを迎えて未だに「ガンダム!ガンダム!」と言っているとは思いもしなかったが…。バンダイナムコホールディングスのパビリオン。「もうひとつの宇宙世紀」を舞台に、未来社会の課題解決に向けた実証実験が展開される。 
2025年の「大阪・関西万博」まであと2年!楽しみだ。

集合場所となった大阪府咲洲庁舎のホール。金属探知機のゲートは1つだけ。長蛇の列ができた。

ちょっと裏話をすると…拘束時間の恐ろしく長い取材であり、それによって最大の課題が見えてきた。

大阪府咲洲庁舎に朝9時半集合。広いホールの前で、一列に並んで待つ。
部屋の中に通されると受付をして、金属探知機を通り取材パスにシールを貼ってもらうのだが、この金属探知機のゲートが1か所だけ。
報道陣およそ100人。国際博覧会協会の職員の皆さんも同じ列に並ぶので、ホールの外には「ゾっ」とするような長蛇の列ができる。
途中で「博覧会協会の職員を先に通してください」ということになり、彼らは列に割り込んだ上、金属探知機を通らずにショートカットして行った。その後、大型バス3台に分かれて夢洲の会場に着くと、拳銃をぶら下げたSPがガードする入口で…
「金属探知機を通っていない人はここで検査します。」
なんだと…!?つまり、先ほどショートカットした博覧会協会の職員で、また長蛇の列ができる。
入口はセキュリティ上、1か所。
また待たされて、やっと会場に入ったのが午前11時ごろ。
その後、来賓の皆さんが続々とバスに分乗して到着するため、私たちマスコミを先に入れておく必要があるのだが…式典のスタートまで2時間もある。
帰りはその逆で、来賓の皆さんが全員退出されてからマスコミ用のバスが到着するため最後まで待たなければならない。
ちなみに「官邸記者クラブご一行様」は、総理への囲み取材を口実に早々に会場を後にしていて特別扱いだ。結局、万博会場から最も近い放送局であるはずのラジオ大阪に帰社したのは午後4時過ぎである。

なぜこんなことが起こるのか?
岸田総理のほか2人の閣僚が出席するため、セキュリティ上やむを得ないこともあるのだが…マスコミと博覧会協会スタッフの受付を分けて、少なくとももう1台金属探知機ゲートを設置するなどの対応をすべきだっただろう。

しかし、原因の半分以上は「夢洲へのアクセスの悪さ」によるものだ。
万博本番では大阪メトロ中央線の延伸や、市の中心部と夢洲周辺をつなぐ自動車専用道路「淀川左岸線」の整備、そのほか海上輸送の活用などの対策がされるものの、来場者2,820万人を安全かつ快適に輸送するのに充分なインフラだと言えるだろうか?

1日当たり最大で28万5,000人、ピーク時には1時間あたり5万9,000人の来場者を、この会場に安全に運ぶことが果たしてできるのか。
そして70年の大阪万博では6,400万人以上が訪れている。
そもそも人数の想定は正しいのか?
来場者の待ち時間を減らす工夫は充分だろうか?

たった500人ほどが移動するだけの「起工式」でこれだもんなぁ…。


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