見出し画像

深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢」を観に神戸ファッション美術館へ

絵筆で金魚に命を吹き込むアーティスト、深堀隆介氏の特別展が神戸で開かれている。升などの中に、まるで生きているような金魚を立体的に描いた作品…と言えばほとんどの方にお分かりいただけるだろう。

画像1

かねてより「ぜひ一度生で作品を拝見したい!」と思っていた私。
六甲ライナーに乗って「アイランドセンター駅」下車すぐの神戸ファッション美術館へ向かった。

画像2

公式プロフィールによると、深堀さんは愛知県立芸術大学美術学部デザイン・工芸専攻学科を卒業され、1999年から独立して制作活動をスタートするも行き詰まってしまい、筆を折ろうとさえ考えていたそうだ。
そんなある時、部屋で7年間飼っていた一匹の金魚の美しさに気付き、夢中で金魚を描き始めた。
以後この体験を「金魚救い」と呼んでいるという…ええ話や。

升や桶、お椀、マグカップなど身近にある器の中の金魚は、透明な樹脂を何層にも重ねて描かれている。
一層目にヒレを描き、樹脂を流し込み(乾くのに2日かかる)、さらに胴体を描いて、樹脂を流し込み(また乾くのに2日)、鱗を描き…と、幾重にも堆積させていくことで、まるでそこに生きて泳いでいるような金魚を再現している。

初期の作品から最近のものまでの変遷を見ると、立体感と金魚の質感がどんどん増していくのがわかる。

私が最も注目したのは「DEATH NOTE」と題されたスケッチの展示コーナーだった。
深堀さんの作品はほとんどが金魚を真上から見たもの。
しかし、これらのデッサンは真横から捉えられている。
実は死んでしまった金魚を描いたもので、動かないからこそ体の構造をしっかり観察できたそうだ。
スケッチには、金魚の名前、飼い始めた日、死んでしまった日などが一緒に記されていて、深堀さんの金魚への愛情が伝わってくる。
そして、驚くべきことにまるで生きているように見えるのだ。
深堀さんの手によってスケッチブックの中に永遠の命を与えられたかのように。

画像3

他にも、四季を表現した4部作も素晴らしく、見ごたえ充分!(写真は唯一撮影OKだった展示コーナー)
『金魚絵師 深堀隆介-金魚鉢、地球鉢』は11月7日(日)まで神戸市の神戸ファッション美術館でひらかれている。
観覧料は¥1,000。65歳以上と大学生は¥500、高校生以下は無料。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?