塩川 太嘉朗(SHIOKAWA Takao)

キャリア・アダプタビリティ / キャリア構築理論 / 立教大学大学院 経営学研究科 後…

塩川 太嘉朗(SHIOKAWA Takao)

キャリア・アダプタビリティ / キャリア構築理論 / 立教大学大学院 経営学研究科 後期博士課程中原研究室 / 日系製造業で人材開発担当 / マラソン / 温泉 / ビール / 日本酒

マガジン

  • 【note記事まとめ】キャリアについて書き綴ってきたこと。

    キャリアに関する論文や書籍についての感想を記したnote記事のまとめです。

  • キャリア構築理論/キャリア・アダプタビリティ(サビカス)

    M・サビカス先生が提示しているキャリア構築理論およびキャリア・アダプタビリティに関する論文や書籍のサマリーをまとめています。

  • 【記事まとめ】ジョブ・クラフティング

    ジョブ・クラフティング関連のブログのまとめ。

  • 【記事まとめ】サビカスの主要論文を徹底的に精読する!

    マーク・サビカス先生のキャリア構築理論とキャリア・アダプタビリティについて解説した記事のまとめです。 (1)Savickas(2013):キャリア構築理論について(全15回) (2)Savickas(1997):キャリア・アダプタビリティについて(全5回) (3)Savickas & Porfeli(2012):キャリア・アダプタビリティ尺度について(全4回)

  • 【記事まとめ】プラグマティズム徹底詳解

    『プラグマティズム古典集成』の全章解説を中心にプラグマティズム関連の記事をまとめました。600頁超の同書のポイントを、超意訳すると以下の三点です。 ▼ パース:困難を乗り越えるためにプラグマティズムはある。事実への疑念をきっかけに、意味の確定(=真理)を目的に探究せよ! ▼ ジェイムズ;真理はアプリオリに内在するのではなく、経験から生成される。未来を見据えた行為帰結主義によって真理を自らの手で生成せよ! ▼ デューイ:経験とは、能動性と受動性を兼ね備えた他者との相互作用である。相互作用を通じた内省によって将来を創造せよ! ▼ ビジネスパーソン向けに一文で要約するとどうなるか。ふと心に浮かんだのは、故・江副浩正氏の「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」です。R出身者の方々からお叱りを受けそうですが、プラグマティズムをざっくり掴むためには、この言葉がフィットする気がいたします。

最近の記事

  • 固定された記事

【入門篇】キャリア構築理論とキャリア・アダプタビリティをざっくり知りたい方へ

先日、池田先生(東京大学)が企画され、関根さん(東大・中原研究室OB)がアレンジしてくださった組織行動論勉強会に参加させていただきました。参加者のみなさまの読み込みの深さとツッコミの的確さにアワアワしましたが、マーク・サビカスのキャリア構築理論とキャリア・アダプタビリティについて発表してきました。池田さん、関根さん、貴重な機会をどうもありがとうございました! ※尚、表紙の画像は関根さんに許可をいただいて借用しております。(関根さん、こちらもありがとうございます!) 今回は

    • 【論文レビュー】アイスランドでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Vilhjálmsdóttir et al.(2012)

      キャリア・アダプタビリティ尺度開発に携わった13か国・地域としてアイスランドも参加しています。本論文ではアイスランドでの同尺度の検証内容をレポートしています。 記述統計アイスランドで調査対象となった方々は、日本で言うところの中学生から社会人まで幅広い状況で、平均では27.54歳二つの設問で天井効果が厳しいものがあり、全般的にスコアが高いですね。 すごくスコアが高いわけではないのですが、高い箇所については同じヨーロッパ地域にあるポルトガルでの回答傾向と近い印象です。 信頼

      • 【論文レビュー】ジョブ・クラフティングにおける「よい仕事」と副作用:高尾(2023)

        久々にジョブ・クラフティングの論文を読みました。高尾先生の論文を読むといつも学びが促されます! ジョブ・クラフティングとは仕事そのものによる内発的動機づけとしては、Hackman and Oldham(1976)の職務特性理論を用いて上司による職務デザインが従来は行われてきました。それに対して社員が自ら仕事の意味性を高めていくための工夫としてジョブ・クラフティングという概念がWrzesniewski and Dutton(2001)によって提唱されました。 このジョブ・ク

        • 【論文レビュー】ポルトガルでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Duarte et al.(2012)

          本論文は、ポルトガルでのキャリア・アダプタビリティ尺度に関する実証研究の結果に関するものです。最初に結論から記しますと、他のヨーロッパ諸国とは少し異なる回答傾向と言えそうです。 記述統計ポルトガルでの調査は、①9年生から12年生までの学生を対象とした平均年齢15.04歳の255名、②平均年齢46.62歳の現在働いている社会人395名、③平均22.43歳の職業についていない大人266名、という三つの群を対象として行っています。 24設問と4つの下位尺度の記述統計はこちらにな

        • 固定された記事

        【入門篇】キャリア構築理論とキャリア・アダプタビリティをざっくり知りたい方へ

        マガジン

        • キャリア構築理論/キャリア・アダプタビリティ(サビカス)
          181本
        • 【note記事まとめ】キャリアについて書き綴ってきたこと。
          321本
        • 【記事まとめ】ジョブ・クラフティング
          69本
        • 【記事まとめ】サビカスの主要論文を徹底的に精読する!
          24本
        • 【記事まとめ】プラグマティズム徹底詳解
          31本
        • マラソン日記〜サブフォー達成までと、その後〜
          11本

        記事

          【ランニング】It's My Life:2024年4月14日〜20日

          レース前の最終週に走った距離は18.8km。走る頻度は通常通りにしつつ、速さは最速でもレースペースまでに留め、また最後の2走の距離は5kmに留めて調整しました。今回のnoteでは、いつものタカヤマラソンチャンネルさんに全乗っかりして、レース1週間前、レース前日、レース当日の三つの時点についての準備事項を、私にとって都合の良いポイントだけ抜粋してまとめます。 レース1週間前大阪マラソン時に書いたレース2週間前の準備事項と重複することを避けて、重要だと思った点を抜き書きします。

          【ランニング】It's My Life:2024年4月14日〜20日

          【読書メモ】ウルトラマラソンとランナーズブルー:『走ることについて語るときに僕の語ること』(村上春樹著)

          『走ることについて語るときに僕の語ること』の第6章では村上春樹さんがサロマ湖のウルトラマラソンに出た時の心象風景を中心に描かれています。内省的なモノローグがきれいな筆致で書かれていて、著者の作品が好きな方にはオススメの一章です。他方で、キザっぽいと感じるアンチな方にはオススメできないのかもしれませんが。 フルマラソンとウルトラマラソンの違い著者はフルマラソンを毎年走り続け、四十代を迎えてから初めてウルトラマラソンに挑戦しています。そのため、ウルトラマラソンを走っているとき、

          【読書メモ】ウルトラマラソンとランナーズブルー:『走ることについて語るときに僕の語ること』(村上春樹著)

          【読書メモ】「大谷翔平とドジャースの挑戦。」:Sports Graphic Number1094・1095号

          今週号のナンバーの表紙を見ていただければ、いつものごとくのジャケ買いだとご理解いただけるかと思います。大谷翔平さんの冒頭の記事も期待以上の素晴らしいものでしたし、花巻東からスタンフォードに進んだ佐々木麟太郎さんと、「松坂世代」の一員としてはいつまでもスター視している松坂大輔さんの記事も読み応えが充分で、印象に残った点を書いてみます。 直感と決断インタビュアーからの選択に関する問いに対して、大谷さんは直感の重要性と考えることの重要性を以下のように語っています。 いや、深いで

          【読書メモ】「大谷翔平とドジャースの挑戦。」:Sports Graphic Number1094・1095号

          【読書メモ】『ヒューマンカインド(上巻)』(ルトガー・ブレグマン著)

          知人から勧められた本書。『サピエンス全史』のハラリ氏の推薦文が帯に載っていて期待値が上がって読み始めましたが、その期待を上回る良書でした!色々な読み方ができると思いますが、個人的には心理学でこれまで有名だった理論が生み出された実験に対する鋭い考察が興味深く、科学知に対する内省を促されました。 善性への信頼本書の全体を通じてのスタンスは徹底的に性善説であり、メッセージは善性への信頼に溢れています。ただ、ふわふわとしたきれいごとを観念的に書き連ねるのではなく、こうしたメッセージ

          【読書メモ】『ヒューマンカインド(上巻)』(ルトガー・ブレグマン著)

          【論文レビュー】フランスでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Pouyaud et al.(2012)

          キャリア・アダプタビリティ尺度はフランスでも検証されています。フランスでは日本の高校生相当の学生を対象として実施していて、平均年齢は16.60歳であることが述べられています。 記述統計4つの下位尺度および24設問に関する記述統計は以下のとおりで、天井効果や床効果は特に問題なさそうです。 13か国のざっくりとしたスコアの傾向は、Savickas & Porfeli(2012)に表が掲示されているのですが、詳細な値までは出ていません。ただ、全体の傾向はよくわかるので13か国を

          【論文レビュー】フランスでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Pouyaud et al.(2012)

          【論文レビュー】中途入社者の定着のために考えたいこと:宮本・池田(2022)

          本論文では、学習目標志向性とフィードバック探索行動との関係を明らかにしながら、そこに対してLMXが調整効果を持つことについて実証的に検証しています。 結論本論文の結論は、①学習目標志向性がフィードバック探索行動に影響を与える、②LMXは①の影響関係に調整効果を持つ、③心理的安全性はフィードバック探索行動に影響を与えない、という3点に集約できそうです。 ①は著者たちの仮説通りの結果であり、②は後述するように仮説通りに調整効果がありながらその内容は仮説と反対であったこと、③は

          【論文レビュー】中途入社者の定着のために考えたいこと:宮本・池田(2022)

          【論文レビュー】ベルギーでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Dries et al.(2012)

          キャリア・アダプタビリティ尺度はベルギーでも検証されています。ベルギーでの調査対象は高校生と大学生で、合計700名に対して調査したようです。全くもって余談ですが、某社で働いていた時によくレポートしていた相手がベルギーの方だったので、個人的にベルギーにはなんとなく親近感があります。 記述統計24設問と4つの下位尺度の記述統計は以下のとおりです。 天井効果や床効果はとくに問題なさそうです。他のヨーロッパ諸国と同様の傾向のスコアですね。 モデル適合度確認的因子分析を行い、4つ

          【論文レビュー】ベルギーでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Dries et al.(2012)

          【ランニング】Point of No Return:2024年4月7日〜13日

          今週走った距離は35.6kmでした。3/30に30km走ってからは、走る頻度とペースは維持しながら一回あたりの走行距離を短くするという方針で疲労を軽減するようにしています。これは以前のnoteで書いた通りです。30kmを走らなくてよいどころか、ハーフ走すらしなくてよいというのは精神衛生上よろこばしいものがあります。 足部のストレッチ30km走を走った日の夕刻に、左の足首の前方にだるさを感じてちょっと嫌な感じがありました。その後も、走っている際は痛みや違和感がないものの、走っ

          【ランニング】Point of No Return:2024年4月7日〜13日

          【読書メモ】持続する身体:『走ることについて語るときに僕の語ること』(村上春樹著)

          村上春樹さんの『走ることについて語るときに僕の語ること』の第4章は、走ることと、なんらかのアウトプットを続けている方々にとって読み応えのある内容だと思います。集中力と持続力、楽しさによる持続力、精神と肉体、といったポイントで書いてみます。 集中力と持続力村上春樹さんは、小説家にとって最も大事なものは才能だとしています。これは後天的にはなかなか開発できないものだそうです。やはり必要なんですね、才能。 ただ、才能に加えて2番目・3番目に必要なものが集中力と持続力としていて、こ

          【読書メモ】持続する身体:『走ることについて語るときに僕の語ること』(村上春樹著)

          【論文レビュー】オランダでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:van Vianen et al.(2012)

          Savickas & Porfeliのキャリア・アダプタビリティ尺度のオランダ版は、大学生を対象とした調査で検証されています。本論文では、特性系の概念との相関を見ることで妥当性を検証しています。キャリア・アダプタビリティと何との関係を見るかは国によって異なりますが、ここにも国や地域の考え方が表れているようで興味深いです。 記述統計キャリア・アダプタビリティ尺度の回答の傾向は、南北アメリカ大陸や中華圏のように高ぶれすることなくイタリアと近い状況で、いい感じのスコアに思えます。

          【論文レビュー】オランダでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:van Vianen et al.(2012)

          【論文レビュー】異動後における役割説明が社員の適応感を高める!:荒井(2018)

          異動の季節ですね。今回は、2018年にWEB公開されているリクルートマネジメントソリューションズさんの「異動決定時のコミュニケーションの効果を探る」という記事を取り上げます。 記事のリンクはこちら↓ https://www.recruit-ms.co.jp/research/study_report/0000000651/ 異動が多い=異動に適応しやすくなるという誤解日本の大企業では、必ずしも社員の現時点での経験や専門性と合致しない部門への定期異動が行われるケースが多くあ

          【論文レビュー】異動後における役割説明が社員の適応感を高める!:荒井(2018)

          【論文レビュー】イタリアでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Soresi et al.(2012)

          本論文は、Savickas & Porfeliが開発したキャリア・アダプタビリティ尺度をイタリアで検証したものです。ここまでいくつかの国・地域での検証結果を見ましたが、ここまでで一番フィット感があるきれいな結果となっているように感じます。 記述統計収まりが良い感じと書いたのは以下の記述統計を見ての印象です。 天井効果・床効果が懸念される設問は特にありません。また、四つの下位因子ともにクロンバックのアルファも問題ない内容です。4因子構造・24設問での確認的因子分析を行った上

          【論文レビュー】イタリアでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Soresi et al.(2012)