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東大生が時給3000円の家庭教師より時給1000円のマックバイトを選んだワケ-PL,BSの視点から-

こんにちは、元「東大生マック店員」の清原です。

私は、東大に合格した後、知り合いの方から時給3000円家庭教師をやってほしいと頼まれました。時給3000円は魅力的ではあったものの、お断りして、渋谷のマックで1年間、銀座のGUで1年間、そして今はクロネコヤマトでアルバイトをするに至っています。
「なぜ当時の私は時給3000円を断り、時給1000円のマックバイトを選んだのでしょうか?」
この質問に、3つの観点から答えていきます。
当時ぼんやりと考えていたことを言語化することで、皆さんが今後自分のキャリアの組み立て方に迷った時の判断材料の一つになれば嬉しいです。

①オンリーワンになるため
-全人口データベースから自分を検索する-

オンリーワンを目指そうと思ったのはきっかけがあります。私には兄がいます。兄は「東大みかん愛好会」というサークルを作りました。日本にそんな変なサークルはあるわけがなくメディアに大受けでした。肩書ひとつヒルナンデスマツコの知らない世界などに出演しているのを見て、自分だけのポジションを確立することのすごさを痛感させられました。

では、自分はどうやったらオンリーワンになれるのか考えました。椎名林檎が好きだったので、「東大りんご愛好会」を作ろうとも思いましたが、二番煎じなので、マックのバイトを選びました。

東大生×家庭教師」の組み合わせはありふれています。しかし、「東大生×マック店員×GU店員」には出会ったことがありません。「株式会社◯◯の社長」のように、一つの属性でオンリーワンになれないとしても、いくつかの属性を掛け合わせることによってオンリーワンになれるのです。

何をするか迷った時に私はよく次の思考実験をします。
世界中の人が載っているデータベースがあったとして、どういうキーワードで絞り込めば、自分を見つけ出すことができるのかを考えるという実験です。そしてもし自分を絞りきれなければ、どういう条件があれば絞り込めるのかを逆算して考えてみます。これがオンリーワンへの道の第一歩です。

②若手力で失敗を無効化できるから
-若者はマリオのスター状態-

2つ目は、成功と失敗の話です。
東大合格者にとって、勉強を教えるということは、今までやってきたことの延長線上にすぎません。変な話、東大生であれば、家庭教師のバイトでお金を稼げてしまうので、ある程度の成功が保証されています。
しかし、学生のいいところは、多少の失敗は誰かが責任をとってくれるところです。バイトで何か失敗したとても、会社やバイトリーダーが責任をとってくれるし、交友関係が嫌で逃げたとしても、「時間持ち」である若者は問題がないのです。
いわばマリオでいうところのスター状態と言えるでしょう。 ステージから落ちさえしなければ、甲羅に当たっても死にません。
とりあえずやってみて、失敗したり自分に合わない仕事だったら辞めればいいんです。
ノーリスクで失敗できて、失敗から得られるものはただでもらえるのに、保身する意味ってないですよね。

③お金はなくなるが、頭の中は誰にも盗めないから
-ブランド人構築もP/LとB/Sへの目配りが大切-

最後はP/L、B/Sの話です。このサブタイトルは、田端大学の12月の課題図書である「マーケティングの仕事と年収のリアル」(山口義宏 著)を参考にしました。この本の第3章に「キャリア構築も、P/LとB/Sへの目配りが大切」という節があります。

ひとつ留意いただきたいのは、常に目先の給与水準だけを考えて会社選びをする必要はない、ということです。むしろ目先の給与水準に偏った会社選びは、成長速度を遅らせ、長期的には収入を最大化できない阻害要因になることさえあります。特に若いうちは目先の給与水準にとらわれず、将来の市場価値が高まるようなスキルや経験を得られる環境に身を置くことも重要な投資です。(原文まま)

読んだ時にまさにこれだと思いました。
企業経営は、P/L(損益計算書)B/S(貸借対照表)の舵取りでなされます。単純に言えば、P/L単年でどのぐらいの利益があったかで、B/Sはその単年の蓄積の結果どれぐらいの資産があるかというものを表します。

時給3000円の家庭教師よりも時給1000円のマックバイトを選ぶことはP/Lでは大損しています。しかし私にとっては、マックバイトが家庭教師に負けているところってそこだけだったのです。

当時どう考えていたのかを少し言語化してみます。
店舗は、①企業にとって最も大切な財産である顧客と最先端で触れ合える場所であり、②オペレーション変更の効果を最初に体感できる場所なのです。そういう意味でまさにビジネスの現場です。
さらに、顧客と触れ合う仕事レバレッジが効きます。家庭教師がアルバイト中に一人としか触れ合えない一方、アルバイトでは何百人とも触れ合うことができます。大量のサンプルと触れ合ううちに、普通では気付かない微妙に違うものに出会った時に反応できるのようになるです。
これを説明するいい例があります。

マクドナルドは、レイ・クロックによって作られたのですが、彼の仕事はミルクシェイクなどを作るミキサーの営業でした。そこで、営業や導入に携わるうちに、マクドナルド兄弟が営んでいたレストランのオペレーションに感激し、フランチャイズ店の経営権を獲得したことによっていまのマクドナルドが誕生したのです。クロックが様々なキッチンやオペレーションを比較できる、風通しの良い、レバレッジの効く仕事をしていたから成し遂げられたことです。

これらのメリットを考えて、数年後にビジネスの世界に足を踏み入れる自分にとっては、マックのバイトが良かったのです。もちろん、分かりやすく説明する技術を身につけたいという人は家庭教師を選ぶべきでしょう。


これらの話を一般化すると次のことが言えます。
今やっている仕事で、お金以外に何を得られるか考えてみましょう。それは知識、専門性、経歴、人脈なんでもありです。そしてそれを認識した上で、全てバランスシートに乗っけた上で、自分の人生の舵取りをするべきなのです。

お金以外に何を得られて、それが長期的自分の人生の選択肢をどう広げ得るのかを考えることが、キャリア選択において最も大事なのです。
取れる選択肢の多さは、豊かさそのものです。お金が原因で選択肢が狭まることは逆説的です。

お金は使えばなくなりますが、一度手に入れた考え方は一生失われません。
高校時代に担任の先生が「頭の中は誰にも盗めないから勉強するんだ」と口酸っぱく言っていました。一生なくならない資産であるがゆえに、目下のP/Lは悪くても、勉強や、経験をするべきなのです。
特に、人を強くする「原体験」は後になってお金で買うことはできません。今この瞬間しか売られていない原体験のタマゴを買い忘れてはいけないのです。

まとめ

私は、バイトを選ぶ際に以上のような考え方をしましたが、この考え方は、志望校選び新卒の会社選び転職先選び職種選びの際も役に立つ考え方だと思います。
新卒の会社選びだったら、①と③を軸に逆質問したら質の高い情報が得られるかもしれません。


私も、来年には「東大生マック店員」という肩書きがなくなってしまうので、次の一手を画策中ということで、このnoteを締めさせていただきます。最後までお付き合いくださりありがとうございました。

清原(@Takashi0Zo)

過去のnoteはこちらから

今回参考にした本:
「マーケティングの仕事と年収のリアル」(山口義宏=著)


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