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『THE TEAM』 第3章 Communicationの法則を読んで。-現場を正確に把握するためのC-

こんにちは、清原です。

今回は、田端大学2019年4月度の課題図書
『THE TEAM 5つの法則』(麻野耕司)
第3章 Communication(意思疎通)の法則[最高の空間をつくれ]

を読んで、私が考えたことについてのnoteです。

目次
■『THE TEAM』とは
■コミュニケーションがなぜ大事なのか
■現場のことを一番知っているのは現場の人
■現場のありのままを聞き出すために
■いままでの田端大学課題図書とのつながり

■『THE TEAM』とは

『THE TEAM』は、チームを変える仕事をしている著者の麻野さんが、自分のチーム自体をコンサルティングした結果、劇的に良くなったという経験をもとに書いた本で、チームの在り方をABCDEの5つの法則に体系的にまとめた類書のない本です。

チームには絶対解ではなく、最適解しかない」という考えがこの本の根底に流れています。一般的に正しいと思われていたり、目指すべきだと思われている状態は、チームのタイプによっては正しくなく、自分のチームに合った適切な状態を見つけるべきだと述べられています。

したがって、チームリーダーは、「チーム」への誤解に気付かされる本であり、チームメンバーも、チームとの付き合いかたを考えさせられる本になっています。
「チーム」という見えないものの「在り方」を、徹底的に可視化した本です。

今回は『5つの法則』の3番目Communication(意思疎通)の法則を読んで考えたことについてお話ししていきます。

■コミュニケーションがなぜ大事なのか

第3章「Communication(意思疎通)の法則」では、「チームにはコミュニケーションが多ければ多い方がいい」という考えは誤りだということが述べられています。
チームメンバー同士が上手く連携し、協力して大きな成果を生むためには、頻繁で密なコミュニケーションを取る方が良いと考えられがちですが、これは場合によっては誤りです。

というのも、コミュニケーションを取るのには、お互いの時間といった見えないコストが存在するため、なくせるならなくした方がいいからです。

そして、そのコミュニケーションコストを下げるための方法が"適切な"ルール作りです。このルールの設計方法は、本書をご覧ください。


そもそもなぜ、Communicationが大事なのでしょうか。

私は、2つの回答があると考えています。

①伝えたい情報を正確に伝えるため
②知りたい情報を正確に聞き出すため

今回は②に注目します。(本書では①についても触れられています)

■現場のことを一番知っているのは現場の人

「超」入門 失敗の本質という本で、「知らない現場もわかっていると思い込む傲慢さ」が失敗の原因のひとつだと述べられています。
その本によると、日本軍の組織運営の失敗に共通する点は、
「上層部が、『自分たちの理解していない現場』を蔑視している」こと
「上層部が『現場の優秀な人間の意見』を参照しない」こと
の2つにあったと述べられています。

これは、チームにおいても同様のことが言えるでしょう。
プロジェクトが上手くいかない理由には、
リーダーが「リーダーの理解していない現場」を蔑視していること
リーダーが「現場の優秀な人間の意見」を参照しないこと
が存在するでしょう。

現場のことを一番知っているのは現場の人であり、また専門分野のことを一番知っているのもその専門分野の人です。

そのため、何かあったとき、何か大きな変化があったときに、一番最初に気付く人チームリーダーではなく、その最前線にいる人です。

そして、その人から正確に情報を得るために「Communicationの法則」が必要なのだと思います。

■現場のありのままを聞き出すために

Communicationの法則では、「心理的安全性を確保するための4つの方法」や、「モチベーショングラフ」が紹介されていますが、
これらはすべて、現場のありのままを聞き出すための手段です。(それぞれの手段については本書をご覧ください)

日産の会議は、いわゆる日本の企業の会議とは違うと言われますが、それもある意味でCommunicationの法則に基づいています。

なぜ日産は会議の議事録をつくらないのか(より引用)
「付箋紙に名前を書かない」ことも「議論深化」の要因でしょう。これは、部署・肩書に関係なく、参加者が自由に発言・提案できるようにするための方策。せっかく素晴らしい案を思いついたのに、会議の場で話すとなると緊張して声が小さくなり、言いたいことが言えない人もいる。でも、書くことならできる。議論の方向性が「声の大小」に左右されず、模造紙の中で純粋にアイデア勝負ができる。それが日産式なのです。

実は「意思決定者は会議に参加しない」こともルールのひとつですが、これも誰か(経営幹部など)に影響されず、積極的かつ建設的に意見交換する雰囲気をつくるためです。意思決定者は会議の最後に顔を出し、参加者が導き出した結論に対してGOかNO GOかを判断するだけ。(原文ママ)

1on1(上司と部下の一対一の面談)の重要性が、本書の中で述べられていますが、それも、現場の人間の一次情報を聞き出すための手段です。

現場の人間は、言語化しきれていないにしても、何が問題か、何がボトルネックかは感覚的に知っています。それを聞き出すための手段として1on1ミーティングがあるのです。

チームリーダーは、すべての現場、すべての専門領域を、自分の目で見て一次情報を得ることは物理的にできません
したがって、チームメンバーから率直な情報を、正確な現状を、いかに聞き出すかが極めて大事なことであり、そのための手段としてCommunicationの法則が必要なのです

■いままでの課題図書とのつながり

今月の田端大学の課題図書は『THE TEAM』ですが、本というのは一冊まるまるオリジナルということはなく、ほかの本に支えられて成立しています。

例えば、1on1ミーティングの重要性は、2018年9月に『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』(アンドリュー・グローブ)を使って散々議論されてきました。

また、2019年3月の課題図書である『V字回復の経営』(三枝匡)では、以下のような描写がありました。

カードを一枚書くごとに、全員に聞こえるように大声で読み上げ、自分でそれを壁に貼った。他の人が書いたカードの内容について、質問は自由だが批判をしないことが今日の約束になっていた。(本文ママ)

この描写は、心理的な安全性を確保して、率直な意見を引き出しているリアルな状況と考えることができます。

田端大学では、毎月の双方向的なやりとりでもって、一冊一冊を深く読むことでき、本どうしの有機的なつながりに目を向けられるようになります。
それは、本を立体的に読めるようになるということに他なりません。

一人での読書はどうしても二次元的になりがちです。
もちろん平面的な読書も楽しいですが、ほかの本との有機的繋がりや、ビジネスの文脈という深さの加わった読書体験はそうそうできるものではないと同時に違う楽しさがあると思っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

清原(@Takashi0Zo)

【本書紹介】
THE TEAM 5つの法則 (NewsPicks Book)
麻野耕司

参考文献
・HIGH OUTPUT MANAGEMENT(日経BP社)
アンドリュー・S・グローブ著
・「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ(ダイヤモンド社)
鈴木博毅著
・V字回復の経営―2年で会社を変えられますか (日経ビジネス人文庫)
三枝匡著
・なぜ日産は会議の議事録をつくらないのか(PRESIDENT Online)
https://president.jp/articles/-/11082

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