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「シックハウス」について書いてみた(一般の方向け)

(2664文字)

 こんにちは!

 今日は建築確認で意外に軽視されがちな、それでいて結構厳しい「シックハウス」換気についての話をしたいと思います。

 ・・・と、思って書いていたのですが、その前に「シックハウス」についての話をした方がよいと考え、急きょ内容がごっそり変わってしまってしまいました。

 やっぱり誰に向けて書くのかがぶれていると、説明が全然変わってしまいますね。反省^^;

 内容的には基本的な部分となりますので、「へーそんだー」レベルでお読みくださいです^^;

🔹 🔹 🔹 🔹

 住宅や学校などで、めまいや吐き気、喉の痛みなど様々な健康被害が生じている方が少なからずおります。

 それは「シックハウスシックスクール)|症候群《しょうこうぐん》」というものです。

 私には症状がないため身をもって体験したことがなく、大変な気持ちを理解してあげることはできません。

 しかし、平成15年(2003年)7月1日にシックハウスの規制が建築基準法で施行されました。

 施行された内容は大きくは2つ

 ①クロルピリホス
 ②ホルムアルデヒド

①クロルピリホス

 とは、毒性の強い有機リン系の化合物というものらしく、農薬シロアリの駆除などに使用されています(住宅では土台や柱、床下など)。

 このクロルピリホスは「居室を有する建築物」に使用することが禁止となりました。

②ホルムアルデヒド

 とは、揮発性きはつせい有機化合物VOC)のことで、水溶液では「ホルマリン」として広く使用されています。ホルマリン漬けとか聞いたことがありますよね。

 用途としては、

  • 理科室などで見かける、標本にするための防腐、固定処理

  • 病院などで使用する器具などの消毒

  • 水産業の養殖での寄生虫の駆除(ここが養殖の怖いところ。やってはいけませんが)

 ちなみに揮発性きはつせいとは、常温常圧で大気中に簡単に「液体」が「気体」になることで、ガソリン灯油などがこれに該当しますね。
気化きか」の中に
 ・「沸騰ふっとう
 ・「蒸発じょうはつ
 ・「揮発きはつ
 があります。

 説明がダブりますが、
 「気化」とは、液体が気体になることを言います。

・「沸騰」は、「液体(液体の内部)」→気化
・「蒸発」は、「液体液面)」→気化
・「揮発」は、「液体(常温で液面)→気化

 「沸騰」はイメージしやすいですよね。「蒸発」と「揮発」は常温であるかどうかの違いだったのですね^^; なんとなく理解してもらえたならありがたいです。

 このホルムアルデヒドは、

②-1発散する速さによって使用制限

 がかかっています。

 ホルムアルデヒド発散建築材料は、「第一種(F☆)」から「第四種(F☆☆☆☆フォースター)」の4等級に分かれていて

  • 「F☆」は、使用禁止

  • F☆☆ツースター」「F☆☆☆スリースター」は使用する壁や天井、床の「面」に対する面積によって制限

  • F☆☆☆☆フォースター」は、規制対象外で使っても良い

 となっています。

 室内での主な発生源は「合板ごうはん」です。壁、天井、押入、床のフローリングだけでなく、タンスや食器棚などの木製家具にも多く使用されています。

②-2機械換気設備の設置

 そして、F☆☆☆☆フォースターの材料をすべて使ったとしても、入居後購入した家具などからの発散もあるため、すべての建築物に換気扇(機械換気設備)を設置しなければなりません。

 第三種換気(各部屋に給気口があり、トイレなどに換気口のある方式)の場合、寒い冬には給気口から冷気が入ってきたりして、なんでこんなところに穴が開いているんだー!って思う方もいらっしゃると思います。

 しかし、これは法律で決まっているたのです。そしてそれが原因で呼吸もできず生活ができない方もいらっしゃるので、寛大な心で許してほしいと思います。

 換気扇の有効風量の求め方は、一般的に、住宅の場合は「気積❎0.5回」。

 該当する居室の床面積に天井までの高さを入れた「気積」を求めて、その気積が0.5回以上となるように換気扇を決定します。

 この換気扇の検討に含める床面積は、先ほども少し触れた第三種換気方式のように居室だけが対象とは限りません。

 例えば、リビングに給気口が付いていて、排気口が廊下を経由してトイレに設置してある場合は、空気の流れが、

 リビング
  ↓
 建具の隙間を通って(「アンダーカット」と言います)
  ↓
 廊下
  ↓
 建具の隙間「アンダーカット」
  ↓
 トイレ

 となりますので、換気経路となる部分もすべて含めて計算します。

 ちなみに私の住んでいるアパートは、各部屋に給気口がついており、
 廊下→洗面所→浴室となっております。これらすべてが換気経路となりますので、換気計算に含まれているはずです。

 以前にも書いたことがあるのですが、この浴室換気扇のダクトが実はトイレとも繋がっており、そのトイレは照明のスイッチと連動しています。

 真冬の浴室では、24時間換気のスイッチはもちろん切っています(本当は切っちゃいけない)が、誰かがトイレに入るときに、うっかりスイッチをつけてしまうと・・・(T_T)

 もう、裸で外に追い出された状態と全く同じです。しかもトイレは強制換気なので、すごい勢いで回転しており、人工の風まで吹き荒れています^^;

 設備工事は一か所にまとめると施工費も点検も容易なため、大手メーカーのアパートはほとんどこのような方式を採用していると思われるのですが、みなさん文句を言っていないのでしょうか?と疑問を思うことがあります。

 それほど、一歩間違えば、大変な状況になります^^;

 そして、最後は

③-3天井裏ついての措置

  • 下地材をホルムアルデヒドの発散の少ない建材(F☆☆☆スリースター以上)とする

  • 換気扇(機械換気設備)を天井裏につける

  • 気密層や通気止めを設けて居室と区画する

 これらひとつ選択することになります。とにかく居室に入ってこないようにするための措置ですね。

🔹 🔹 🔹 🔹

 シックハウスひとつとっても説明するとなると大変ですね^^;

 でもこの記事で少しでもそんなことがあるのかーって思ってもらえれば嬉しです。

 明日は、シックハウスの換気計画が途中でお客さんの要望などで変更があった場合の建築基準法についての考え方について事例をまじえて説明したいと思います。

 最後まで読んでくれてありがとう!
 今日はもう夕方になってしまったけど、みなさまとって良い祝日になりますように!

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