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【建築】余ったスペースに収納を作るのに何か問題が?


(3047文字)

今回は確認申請を提出した後でよく起きる問題について解説します。

みなさんのお家の中には「収納」がありますか?

そりゃありますよ!
逆に、収納がない家ってあるの?って感じですよね。

じゃぁ、「小屋裏収納」はありますか?

小屋裏って言えば・・・、そうそう「小公女セーラ」っていうアニメでね、セーラが住んでいた場所がたしか、ね。

いえ、あれは、「屋根裏部屋」です。
一応お部屋って言っているので居室でしょうね。(きっと^^;)

では、お答えします。小屋裏収納とは

小屋裏空間(余剰スペース)を活用した物を置くためだけの空間

なのです。この空間に該当すれば建築基準法上の床面積から除外しても良いことになります。しかも階数にも入れないくても良いという、とてもありがたいものなのです(詳しいことは後で説明しますね)。

この空間、建築では「小屋裏収納等」と言われます。
「等」がつくことにより、小屋裏だけでなく、他の場所の余剰スペースでも適用することになりました。さらにありがたいことです。

ただし、建築基準法では「等」はとても曲者なんです。
(話が脱線しましたー)

「等」って言われたら何を想像しますか?

例えば「人間等」って書いてあったら、人間以外の動物もあるのかな?って思いますよね。
サルは人間等でしょー。
ライオンも人によっては「等」に入るでしょ!?。
とか色々出てきて、結局その境界って人によって違うし、正解もないような気がしますよね。

ところが、建築基準法では「等」は原則決まっているのです!(どーん!)

「等」を判断するのは、国土交通省や地方公共団体(市役所)など一部に限られています。その他には、日本建築行政会議などが出している書籍もその方々が作っている訳ですので。

つまり、民間の確認検査機関が勝手には判断できないんです。

えー! でも、建築のお仕事をされている方なら、民間でも「等」の判断をしてるじゃないかーって思っている方もいらっしゃると思います。それには少し事情もありまして。ざっくりいうと、

民間の建築検査機関に毎年全国のお役所から大量に@@@しているからです。

だから? 民間と役所との区別がついていない場合が多いのです。
( ↑ ※あくまで個人の感想です)

それを踏まえた上で小屋裏収納等の条件をお伝えします。

①余剰空間であること
②物置であること
③内法(うちのり)の高さが、1.4m以下であること
④収納面積がその存する部分の床面積の1/2未満であること

ひとつずつ具体的に説明します。

①余剰空間であること。あくまで余剰空間である必要がありますので、無理矢理設置した空間は、余剰空間とみなされないことがあります。判断に困るところです。

②物置であること。たまにね、ほんとたまーにですよ。小屋裏収納に畳を敷いて板の間もあったりとか、布団を敷いてあったりとか・・・。
これはほんとこの場を借りてお願いしたい。小屋裏収納に色々明示しないでください^^;

③内法高さは1.4m以下。何故1.4mだと思いますか? ちょっと1.4mの高さに入ってみたのを想像してみてください。

どうですか? 腰、痛めません?^^;

そーなんです。この高さでは普通に立てないのです。だから床面積を除外してもいいって言っているんですね。

しかもこの1.4mは、平均高さではなく、一番高い場所でも1.4m以下にしないといけません。平均の天井高さという考え方は建築基準法にも別の法文であるのですが、この小屋裏収納等では、平均高さは使えませんの注意してください。

④収納面積がその存する部分の床面積の1/2未満であること。この「存する」という部分が分かりづらいですよね。これは、小屋裏収納等に入るための入口がどこにあるかで決まります。例えば、2階から収納に入る場合は2階の床面積の1/2まで作ることが可能ということになります。

(このタイミングで良かったのか疑問が湧いてきますが、そのことは気にせず、以下の説明を続けます(^^;)

別に床面積に入れればいいじゃん、それなら1.4m以下にする必要もないし。

と思ってました?^^;

そうなのです。この小屋裏収納等は、どうしても床面積に入れたくない場合にのみ適用したいものなのです。

では、どうしても床面積に入れたくない時ってどういう場合だと思いますか?

それは小屋裏収納が床面積に入ることによって、建物が2階建てから3階建てになってしまう時です。(厳密には「階数が3」ということになりますが、今回は説明を省略します。分かりやすく「3階建て」としました)
3階建てになると、住宅といえども、伝家の宝刀である「特例」が使えなくなるのです。

建築基準法では、資格を持っている設計者(木造建築士、二級建築士、一級建築士)が設計、監理をすることにより、建築確認申請の特例を受けることができ、図面を一部提出しなくても良いことになっています。
しかも木造を例にすると、

2階建ての住宅であれば、仕様規定というもので壁量や金物の簡易計算をすれば良いですが、

3階建ての住宅では、性能規定といって構造計算書で確認しなければなりません。
(注:木造2階建てでも性能規定でチェックしている業者さんももちろんいます。ただ計算書となると計算書の金額も別途かかりますので、よく設計者と相談の上決めていくことになります)

だから、床面積には含めたくないという事情があるのです。

そういう訳で、小屋裏収納は壁量(耐力壁)に影響を与えない程度で有効に活用していただければ良いと私は思います。

と、ここで今回の説明は終わり・・・たかったのですが、今回は調子に乗って画像に「ロフト」や「ハシゴ」も描いて?書いて?しまいましたので、この説明もしないといけません^^; 蛇足というものですね。

まず「ロフト」から。

ロフトのイメージはご存知の通り、片流れの天井の先に凹んだスペースがあって、ハシゴで登っていくと、そこには平なスペースがあり、布団を敷いたりとか、くつろげるスペースがあるんですよね。私も学生時代は夢のアパート暮らし(後半)をさせていただき、アパートの猫ちゃんとの共同生活が始まるまではロフトで寝てました。

今思えば、布団を敷いて寝ている訳ですから、完全にアウトですね。当然床面積に入りますので3階建てになります。もしかしたら、下の方もそのロフトで寝ていたら・・・4階建て^^;

ロフト」というのは、そういったスペースの総称なので、確認申請の時には「ロフト」という明示だけでは確認は通りません。ロフトが居室か非居室かが重要なのです。逆に言えば、最初から床面積にも階にも含めているのであれば、それは「居室」と考えているということなので、名称はロフトとあっても気にしてません(^^;

あと「ハシゴ」についてですが、少し前までは小屋裏収納等へ上がるための階段は固定階段はダメですと言われておりました。なので、昔の小屋裏収納等はみなハシゴが掛かっていたと思います。今ではもう階段の固定の有無は関係なくなりましたので、小屋裏収納等への階段は、ハシゴでも固定階段でもどっちでも大丈夫です。

余談ですが、この小屋裏収納等へ上がる階段は、厳密には「階段」とは言わず「段」といいます。なぜかというと「階段」とは「階と階をつなぐ段」という定義となっているからです。細かい話ですが、そういうルールになっています。

今回は内容が盛りだくさんで長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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