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90年代の音楽を知らないアナタへ その21 HEAD OVER HEELS(97)/ALLURE feat.NAS 期待の大型グループになるはずが...

マライアキャリーが満を持して立ち上げたレーベル「CRAVE クレイヴ」レコードから第一段アーティストとしてデビューしたのが4人グループの「ALLURE アルーア」だった。

マライアキャリーが全面的にバックアップし、プロデュースだけでなくソングライティング、バックアップヴォーカル、他アーティストへの協力要請などなど。アルーアは時代の寵児だったマライアの絶大な信頼と期待を背負って華々しくデビューできたのだ。

そのデビューシングルとして選ばれたのが「HEAD OVER HEELS」。頭からつま先まで、あなたのすべてに恋してしまったという初々しい乙女のような内容。もろにマライア好みの曲だし、長年のマライアのファンからみれば、きっとマライアが自分で歌うために用意していた歌だったのではないかと推測される。

プロデューサーはマライアキャリーとトラックマスターズ。トラックマスターズもマライアもお気に入りのNASをフィーチャリングして、かなりハードなラップと心地よいハーモニーをミックスしているマライアらしいキャッチーな楽曲になっている。

サンプリングに起用されているのが87年にリリースされたMC SHANの「THE BRIDGE」。イントロのフックをモロそのまま使ったひねりのない使い方だけど、この選曲と楽曲をぴたっとハメてくるあたりのセンスがさすが。

ポップ好きにも、ヒップホップ好きにもどちらにもアピールできた秀逸な1曲になっている。

最高のバックアップを得てデビューできたはいいが、当人達のイマイチな歌唱力と、ルックスがあまりにもブラックコミュニティー寄りすぎたせいか、ポップフィールドでも活躍が目覚ましかったガールズグループ全盛期において残念ながら生き残れなかった。この「HEAD OVER HEELS」1曲だけでも十分に後世に残るクラシックであることは間違いない。

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