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90年代の音楽を知らないアナタへ その22 SITTIN' UP IN MY ROOM(96)/BRANDY 90年代を代表するスイートソウル

ブランディのレコードデビューは94年。「モイーシャ」というキッズ向けのコメディ番組へ子役として出演していたため、全米での知名度は十分にあったおかげもあり、アルバムは爆発的に売れた。「I WANNA BE DOWN」「BABY」「BROKENHEARTED」「BEST FRIEND」といったシングルもすべてビッグヒット。歌手としては申し分のないスタートだったと思う。

TV出身の子役がノリでデビューしたのとはワケが違う。アイドル的な存在ではあったものの、やはり彼女の歌唱力がなければここまでの現象にはなっていない。ブランディには歌唱力があるのだ。ホイットニーやアレサフラクリンをメンターとして慕い、そんな彼女たちからもブランディの歌唱力に反応を返していることは何よりも嬉しかったに違いない。

ブランディのキャリアはファーストアルバムの成功のみに終わることなくその後も続いていくのだが、デビューの成功の余韻に沸き、まだまだ初々しさの残る96年に放ったコンセプトシングルがこの「SITTIN' UP IN MY ROOM」である。

この曲はホイットニーヒューストンほかアフリカン・アメリカンの女優陣が出演した大人の恋愛映画「ため息つかせて WAITIG TO EXHALE」という映画のために書かれたサントラからのシングルカットとしてリリースされ、順調にチャートを上り、その年の話題のシングルの1曲になっている。

プロデュースはベビーフェイス。ちなみにこのサントラは、まるまる全曲をベビーフェイスが手掛けている。それまでの彼の作品と比べてもこの曲含め、このサトラ全体のクオリティは神業としかいいようのない名曲揃い。当時馬鹿売れしたが、2019年になった今でも素晴らしい内容だと思うので未聴の方は90年代マストな1枚としてオススメしたい。

そうそう、ブランディについてだ。ブランディはローボイスで、楽に高音がでるタイプの歌手ではない。彼女のライブラリーの多くは基本的にローキーから成り、この曲はとくにTLCのようにサビにいくにつれて少しずつあがってくるようなユニークかつ、難易度の高い展開が特徴になっている。高いパートは当時ライブで披露する際に本人もかなり辛そうだったが、この展開が開けてきけてこそ、低い音から開放的に広がる歌唱の素晴らしさに病み付きになっていくのだ。音のレンジが広いこの曲を歌いこなせる歌手はそういないだろうと、私のような素人考えでも十分に感じ取れる、ブランディという歌手がいればこその曲になっている。

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