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聴き続けられる名盤 HIGH HOURSE(18)/KACEY MUSGRAVES テン年代の傑作登場!進化したカントリーミュージック

2019年グラミー賞で最優秀アルバム賞を受賞した「GOLDEN HOUR」で一気にその名前が世界的になったケイシーマスグレイヴス。

カントリーミュージックの新時代シンガーとして徐々に頭角をあらわしていたが、ここにきてついに、それもグラミー主要部門の受賞ということでスターの仲間入り。劇的な受賞の瞬間とスピーチが最高なので知らない人は是非一度チェックを。

ケイシーの音楽の魅力は、90年代のシャナイア、ミレニアル世代のテイラーのスタイルを継承した、つまり土着の強いカントリーミュージックをポップやエレクトロといった別ジャンルの要素でブレンドした音作りに進化させているところだ。

そんな彼女のスタイルを象徴するような曲がこの「HIGH HORSE」。意味は「傲慢」。高台から見下しているという情景からきたイディオムのようで、いわゆる「上から目線」に近いニュアンスだろう。

彼は自分が一番正しいと思っているけど、そんな様子を周りは滑稽に思い、うんざりもしている。サビで出てくる「GIDDY UP」は馬を走らせるときに使うフレーズで、彼にさっさと街から離れてと言う意味のダブルミーニングとして使われている。男に馬に使う用語を発している時点で、かなり馬鹿にしているし、とにかく「どっかいって感」が強いのがわかるのが面白い。

サウンドはエレクトリック・ディスコとでもいえるミッドテンポで体を揺らせる心地よさ。カントリーによくある鼻にかかった歌声が心地よく乗り、フィルターエフェクトを通すとこんなにも新鮮で、潤いたっぷりに仕上がるのはケイシーの持ってるポテンシャル故だと感じる。

同じカントリー歌手であるテイラーがいまは完全にポップ路線に染まってしまったのに対し、ケイシーのカントリー愛溢れる歌声に、メジャーフィールドで勝負できるサウンドをレイヤーしヒットさせた手柄は大きいと思う。

2019年以降も聴き続けられる音楽にようやく出会えた。

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