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90年代の音楽を知らないアナタへ その13 A LOVE SUPREME(94)/CHANTE MOORE シャンテムーア 「色気がありすぎると売れない」を証明した名盤

インタールード「WITHOUT YOUR LOVE」を挟み、ALICIA MYERSのディスコ「I WANT TO THANK YOU」のカバー。オリジナルがややハスキーでスムージーな歌唱なのに対し、シャンテの歌唱はメリハリが効いた音運びと、多重コーラスがハネた若々しいアレンジになっている。個人的にも大好きなカバー。

ダンストラックの後はクールダウンのミッドテンポ「MOOD」。いい感じに体を揺らせるリズムでアダルトコンテンポラリーなアレンジ。こういうミッドテンポはシャンテの得意範囲。軽快に歌い、彼女自身のヴァイヴもしっかり馴染む18番的な1曲だと思う。アナログ盤最後の曲は「AM I LOSING YOU」。オリエンタルな雰囲気を醸し出したマイナーサウンド。音数が少ないだけに彼女の歌唱力の高さを実感できる。

このアルバム「A LOVE SUPREME」の限定アナログ盤はCD盤よりも数曲少なく、時間の関係でカットされている。それに伴い曲順も若干違っているのも最後に付け加えておきたい。

私はこのアルバムがとにかく大好きなのだが、ほんとにヒットしなかったのがファンとして残念だった。歌ものとしての魅力は十分に凝縮されていただけに。売り上げを阻むものは何だったのかと考えたとき、「女を売りにし過ぎた」のではないかと思う。色気ムンムンな歌い方、プレイメイトのようなミュージックビデオ、半裸同然な宣材写真などアルバムのムードを具現化した要素はすべて男性のオカズにはなっても、ティーンの女性が共感するには刺激が強すぎたし、やりすぎは同性に反感を買ってしまう。男にこび過ぎたビジュアル戦略が仇となった気がしてならない。なんてったって同世代には飛ぶ鳥を落とす勢いのマライアキャリーがいた。シャンテとマライアは、なぜかあまり比較されないが、実力はともに張り合えるくらいだと思う。が売り戦略は真逆だった。実はマライアは今とちがって当時はまだ健康的な路線だったことがウケていた時代。シャンテの路線は今思うと早すぎたのかもしれない。

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