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90年代の音楽を知らないアナタへ その20 CONSTANT CRAVING(92)/K.D LANG 90年代最強の文芸ミュージック

KDラングの大ヒット曲「CONSTANT CRAVING」は文芸作品だ。美しくクリアな彼女の発音が生きた瑞々しいヴォーカルとマイナーキーに人間の渇望を訴えた、人間の本質に迫った歌である。タイトルは難しげ。月並みだが、聴く人次第でその世界観というものができ上がっていく魅力がある、まさに文芸作品的な要素に溢れた1曲である。

「CONSTANT CRAVING HAS ALWAYS BEEN」サビの歌詞はたったこれだけ。コンスタント・クレイヴィングとは訳してみると「どうしようもなく訪れる欲求」ということになる。日本語にしようとすると、直接的な言葉がないのでなんとなく消化不良な感じだが、いわゆる満たされない欲求ということに言い換えられる。

つまり人間は満たされない欲求(コンスタント・クレイヴィング)がいつもそこにあるから人間らしくあり、生きてく上で必要不可欠なのである、と歌っている。

他サイトからの引用になるが、ファンがK.D.ラングへ意味を問うたところ、「DIVINE DISSATISFACTON」と応えられたそうである。「DIVINE」をつけたところが凄く彼女らしい。食欲にせよ、性欲にせよ、所有欲にせよ満足いかない状態=欲求はそれがあらゆる意味で生きる活力となって結果的に人間にスイッチを入れされる原動力となる、そう言いたげなんだろうなと感じる。この衝動を彼女は「DIVINE=聖なる」という言葉で崇めていることが実にアーティスティックで、K.D.ラングらしい所以な気がする。

彼女はこの曲のヒットと、グラミー賞の受賞でこの先キャリアは安泰だと思ったと語っている。それくらい予想外のヒットであり、彼女をアーティストとして自信を持たせてくれた曲だという。

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