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DAISY WORLD, Blunt Chunks…最近のおすすめ 5 Best Songs:2024-9

最近の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 Best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotifyのプレイリストも更新してます。


DAISY WORLD

LAを拠点に活動しており、惜しくも解散してしまったバンドDAISYの中心人物Daisy Hamel-Buffaによるソロプロジェクト、DAISY WORLDがデビューアルバム『TOOTHPICK』をリリース。彼女はTyler, The Creatorの作品やSteve Lacyの作品に客演で参加している実力者。個人的にもソロ作のアルバムは待望です。
バンドDAISYでもファンキーで明るめなテイストの楽曲が多いですが、今回のソロ作でもそのカラフルなサウンドを踏襲しつつも、しっとりとしたメロウな楽曲からずっしりとビート重めのレイドバックソングなど、少しダーク目な曲も収録。ソウルやR&B、ジャズ、ファンク、ヒップホップなどテイストが散りばめられていて、特にビートの部分が非常にバラエティーに富んでいて、そのグルーヴィーな感じに酔いしれてしまいます。彼女のソウルフルでエナジーあふれる歌声も最高で、太陽のように聴き手の心を明るく照らしてくれるよう。


Blunt Chunks

トロントを拠点に活動するシンガー・ソングライター、Blunt Chunksがデビューアルバム『The Butterfly Myth』をリリース。彼女はトロントのコレクティヴJauntに参加していたり、Charlotte Day WilsonやNick Hakimなどのサポートをしてきたそう。
このアルバムを聴くまで全く知らなかったアーティストですが、一聴しただけで虜になってしまいました。カントリーやフォークをベースに、インディー・ポップやドリーム・ポップ、ジャズなどの要素を散りばめた、幻想的で滑らかな音楽性はオーガニックで瑞々しく光り輝くよう。そして伸びやかで陶酔的な美声と、フルートやサックス、パーカッションなどと重なり合うことで、耽美でロマンティックな世界へと連れ出されるよう。Kacey Musgravesのようなポップな一面もありつつも、The Weather StationやWeyes Bloodなどのような洗練されたインディーの側面の両面を持ち合わせた、類まれな才能を持つアーティストだと感じます。


Reyna Tropical

メキシコで生まれ、テキサスで育ち現在はLA拠点に活動するSSWのFabi Reynaによるプロジェクト、Reyna Tropicalがデビューアルバム『Malegr​í​a』をリリース。彼女はこれまでPriestsやRaveena、Sleater-Kinneyなどのバッキングボーカルやギタリストとしても活躍しているとのこと。もともとReyna TropicalはNectali Díazとのデュオでしたが、その片割れの彼が惜しくも2022年に亡くなってしまって、今作はその死を乗り越えて、デビュープロジェクトを発表することになったそう。
今作はペルーの民族音楽チチャやコンゴのダンス音楽スークースなどに、ラテン音楽を組み合わせた、独創的でトロピカルな作品に仕上がっています。ダンサブルで多幸感あふれる楽曲から、酔いしれるようなメロウな曲まで、彼女の妖艶で美しい歌声と共に、儚くも情熱的に共鳴しあっています。今年の夏にリピートで聴きたい作品です。



Vanesa Bedoret

ロンドンを拠点に活動するバイオリニスト/コンポーザー、Vanesa Bedoretがデビューアルバム『Eyes』をリリース。これまでにNYのコレクティヴStanding On The Cornerとの共演や、最近ではNourished by Timeともステージを共にしたそうです。8歳からバイオリンをはじめ、10代ではパンクバンドを結成したり、その後オペラやブラックメタル、ダンスミュージック、IDMなどさまざまな音楽に影響を受けていったそう。
今作はそんな多くのリファレンスを感じ取ることのできるアルバムに出来上がっていて、インダストリアルやニューエイジ、アンビエント、トリップ・ホップ、ソウルなど多くに渡るジャンルが内包された、幽玄でありつつもサイバーパンクのような世界観が広がる作品に仕上がっています。重厚でSci-Fiなダークサウンドが鳴り響く中、シルキーで透明感漂う美声の存在感も素晴らしく、彼女の作り上げる独特な世界観にどんどんと引き込まれていきます。既に彼女は、カルト的な人気を誇るML BuchやAstrid Sonneと今年ステージを共にしているのも注目ポイントで、今後さらにTirzahやLaurel Haloなどのシーンに続くアーティストになるかと。


Loren Kramar

Faye WebsterやWhitneyなどを擁するレーベル〈Secretly Canadian〉からの新星LA拠点に活動するSSW、Loren Kramarがデビューアルバム『Glovemaker』をリリース。彼はこれまでにFrancis and The LightsやTwin Shadow、Grizzly Bearなどと仕事をしてきた実力派のアーティストで、今回やっと自身のソロ作品にこぎつけたとのこと。
彼の特筆すべき点は、カラフルで彩られていくようなシネマティックで壮大なポップサウンドを奏でる、ソングライティングセンスを兼ね備えているところにあります。フォークやロック、サイケデリックなどにオーケストラを使用したポップス組み合わせた洗練されたドラマティックなサウンドには惚れ惚れしてしまいます。彼の甘美で伸びやかな歌声も素晴らしく、きめ細やかな声質から渋さ香るビブラートまで、レンジの広さにも驚かされます。
個人的にもネクストFather John Mistyだと思っていたら、すでに彼のツアーのサポートアクトで参加していたという、目の付け所もさすがですね。


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