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松本人志が週刊文春に勝てない3つの理由(1)

割引あり

文春砲の直撃を食らった松本人志氏だが、芸能活動を休止して裁判に注力する方針を示した。果たして、彼の選択は功を奏するか。かつて文藝春秋や週刊文春取材班と取材し、多くの記事を書いてきたジャーナリストの上杉隆が解説する。ちなみに、上杉は、週刊文春の顧問弁護士である喜田村洋一氏とは25年来の知己で、現在も顧問契約関係にある。また、松本人志の個人弁護士の田村政弘は、2009年から始まった週刊朝日誌上での東京地検追及の取材時、並びに検察取材のまとめ『暴走検察』(朝日新聞出版)での取材対象であった。その上杉が松本人志が文春に勝てない3つの決定的な理由を示した。

  1. 吉本興業、組織の論理と政府・メディアとの関係性

 松本人志氏の所属する吉本興業は、長年にわたって政府やメディアと密接な関係を築いてきた。とりわけ、2012年12月の第二次安倍政権以降の10年間は、その不健全な関係がさらに強化されたといっていい。

 日本全国の自治体イベントや観光PRでは、吉本の芸人が独占的にキャスティングされ、税金を原資とした「おいしい利権」を恣にしてきた。大阪万博でダウンタウンがアンバサダーに就任したのはほんの一例にすぎない。過去にもクールジャパン機構からの100億円融資や、NTTグループとの教育ビジネス構築でも吉本興業には莫大な税金が流れている。

 大阪で開催されたG20の最中にも、世界的なウェブメディアである株式会社NOBORDERの取材班(8名)の取材を事実上排除しながら、一方で、ジャーナリストの訓練も受けていない吉本興業のタレントを優遇したのはそうした癒着の背景があったからにほかならない。

  吉本興業といえども所詮ビジネスである。お笑いを通じた社会貢献や文化事業などと耳障りの良い言葉を羅列しているが、そもそも興業として成長してきた吉本に公共性を求める方がどうかしている。よって、松本氏以外の個々のタレントの活動や生活、端的にいえば、長年かかって作り上げた利権構造を維持するために、松本ひとりを差し出し、犠牲になってもらうのは経営の観点からいえば妥当な判断だろう。

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