#ザ・ノンフィクション 「テレビに出ると本が売れたり有名になれたりするのか?」---データ見るとそうでもなさそう。でも、いいこともあった

12月19日のザ・ノンフィクションという地上波民放(フジテレビ)に出た。固定ファンも多い看板番組で、日曜の午後2時といういい時間帯だ。僕の出番は数分だったけど、友人知人のSNSを見ると、たくさんのひとが見てくれたようだ。

内容は上のtogetterを見ればわかるとして、このnoteでは反響についてデータと経験・知見をシェアしよう。たぶん色んな人たち、テレビ出たいなと思ってる人や、マーケティングに興味ある人に役立つと思う。

テレビに出ると本は売れるのか?

2016年に最初の著書「メイカーズのエコシステム」を出版してから、だいたい毎年何かしら出版していて、これまで5冊になる。ほとんどがメイカームーブメントに関する本で、中国のイノベーションについての本として読む人もいる。
出演前のツイートや上記のtogetterまとめでは、番組内容にも近くてぼく的にもイチオシのハードウェアハッカーを宣伝していた。

番組に出たことで、僕のブログ他にたどりついて、そこからamazonに飛んで買ってくれる人もいるだろう。もちろん本屋で買ったものや、直接amazon等に飛んだひとはカウントできないんだけど、番組後の売れ行きはこんな感じ。

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番組放映の19日以降、僕のブログやSNSのPVは伸びて、アフィリエイトリンクを踏む人も増えているのがグラフからわかる。普段は一日30クリック程度なのが、10倍以上に増えている。
結果、プロトタイプシティ メイカーズのエコシステム ハードウェアのシリコンバレー深圳に学ぶ 揚げて炙ってわかるコンピュータの仕組み 等の自分や関連性が高い友人たちが書いた本がそれぞれ1冊ずつ売れた。
本を読んでもらえるのはありがたいのでとても嬉しいけど、紹介料の視点で見るとamazonギフト券買ってくれた人より安いし、そういうの全部ひっくるめても1,390円だ。今回の金銭的な報酬はこんな感じ。

自分の書評ブログと比較

2020年、コロナ渦で中国に戻れなくて日本でwork from homeしてたころは、何しろ時間がたくさんあったので、体力いる重たい本を読んで書評ブログを書くという活動をしていた。僕は早稲田ビジネススクールの大学講師だけど、ちゃんとPh.Dを取った人ほど勉強してないから、ちゃんと専門書を読んだほうがいいのだ。なにかアウトプットに繋げないと飽きてやめちゃうので、読んだらとにかくブログに残すことにした。

何冊か書いた書評ブログの中で、まあまあヒットした(バズった)のが貧乏人の経済学を紹介したものだ。もっとヒットした書評もあるけど、この本はテーマや値段的に僕の著書たちに近いのでこのケースを紹介する。
(クオリティは、もちろんノーベル賞受賞のこの本のほうがいいよ。ハードウェアハッカーなら、クオリティでも劣らないと思うけど..)

この書評は大ヒットして、はてなブックマークで445も集めた。ブログ書いた時点で8年前の本、つまり新刊でもなんでもない本で、分厚くて専門的なテーマの本のわりに、僕のブログ読んで買ってくれた人がかなりいた。
レポートを見ると50冊以上売れている。

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上下巻あわせて14冊売れているファスト&スローも同じ行動経済学をテーマにした本なので、カウントに入れていいだろう。クリック数もテレビに出たときよりも遥かに大きい。売上も19,719円と、テレビの10倍以上だ。

知名度勝負のタレント本とかならともかく、専門書みたいな難しい話を多くの人に届けようと考えた時に、テレビちょっと出るぐらいではあまり役立たないのだろう。
意外ではないけど、一つの事例としてデータ取れたのがありがたい。

今回でTwitterのフォロワーも500人ぐらい増えた。なぜか2021年になってから僕のフォロワーは増えがちなので、この500人がどのぐらいの価値かは測りづらいけど、だいたい1ヶ月分ぐらいの増量といったところだろうか。
無価値ではないけど、ないならないでいいな、という程度。

テレビ出た価値(みたいなもの)

以下は余談。
テレビで露出したことで本がどのぐらい売れて儲かるかなんて、たいした話ではない。ブログでヒットしたときの19,719円だって、僕がいくつか寄稿してる記事の原稿料を下回るので、お金の点では考えるに値しない。
もっというと、こういう活動がサラリーマンとしての時給を上回ることはほとんどないので、お金を最終目的地にすることは(僕の場合)間違っている。評価指標の一つ、ぐらいだろう。
そもそも僕はあまりお金を使わないたちで、新卒手取り18万とかのころから、支出が収入を上回ることはほとんどないし、タダでも面白そうなら寄稿や講演含めていろんな活動をしている…というか、全力を入れているのはたいていお金にならない活動のほうだ。結果的にそれで仕事も収入も増えてて、貧乏してる中で骨身を削ってるわけじゃない。最近は中国のVCからもお給料もらうようになったし、ちゃんと商売できることは僕のコアスキルの1つで、有償無償はどっちもエコシステムのなかの要素だ。

では、どういうところに価値があったのだろう? 一つはこういうことだろうなあ、と思っている。

ぶ厚い本は読んでもらえなくても、もうすこしふわっとした、技術やDIYの楽しさみたいなものが伝わった部分があったとは思っていて、それはとても良いことだ。

年賀状みたいなもの

面識あったり仲良しだったりしても、もうお互い大人でいろいろ忙しいし僕も外国にいるから、めったに会わない人はたくさんいる。そういう人が動画を見てくれたのもありがたい。すでに死滅した習慣だけど、年賀状みたいなもんだ。
褒めてくれた人たちがみんなともだち、というわけじゃないけど、こういう人たちがタイムラインをピースフルにしてくれたのはありがたい。僕のシーンだけ、番組を取り巻く雰囲気はなんかかわった。

ヌクモリティ

5chのスレもいちおう全部見た。自分の活動でスレが立ってるのは不思議な感じだし、彼らにどう写ってるのかは興味があった。
もう老人だからゲームもアニメも漫画もとんと疎くなっちゃったけど、僕は日本人のオタクであることにプライドを持っている。
反応はわるくなかったようだ。おまいら愛してる

twittetrおじさん

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オリンピックに明和電機を

これはとても嬉しかった。2chやtwitterに、「明和電機?」とレスが並んだ。取材時にわざわざ着てた価値があるというものだ。

明和電機は大好きだし、明和電機が有名になったり尊敬されることは、僕が書いたりオススメする本が売れることと同じぐらい日本の将来のためになる。札幌でオリンピックやるなら開会式閉会式はぜひ全部明和電機で、「スイッチ・オン!」から始めてほしい。



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