芸術って意味あるんですか?~高須賀の人生相談~

今回も質問文がわかりやすくまとまっているので、そこからはじめましょう。

今回の人生相談は「芸術って意味あるの?」です。


~質問文~
私は20代・工学部卒でエンジニアです。

趣味の一つに、芸術があります。

芸術を理解したい気持ちが、学生時代から一貫してあります。

こういう二元論を持ち出すこと自体稚拙だとは思うのですが、娯楽作品よりも、目の肥えた人が評価するものが好きです。

文学や映画や絵画や詩など、表現形式は問わないです。

それは私自身が貧乏で暇な学生時代にひたすら映画・小説・漫画に触れてきたことで目が肥えてきたということと、比例してもっと目が肥えた人間に対する敬意を抱くようになったためです。

彼らの評価を読むのも好きだし、仮に理解できず退屈に感じたとしても、いつか彼らが評価するものを理解できるようになりたいという気持ちも強いからです。

世界中の作品から、そこでしか味わえない経験、一生付き合っていこうと思える作品を追い求めています。

昨今は特に難解なものは毛嫌いされ、直接的な表現が好まれ、大衆に受け入れられるものが正義という論調が特に強まっているように感じ、私はそれに納得はしつつも違和感を覚えているのですが、言語化できずにいます。

芸術は、貴族階級の暇人のもので、すなわち現代ではもはや必要とされておらず、それを追い求めることは時代に適応できない人間の現実逃避でしかないのでしょうか。

芸術は現在の仕事には直接生きてこないことは分かっているのですが、何か人生を豊かにしてくれるような予感があるのです。

ですがそれをまだ言語化出来ていませんし、確かに実感もありません。

高須賀さんは、専門家でありながら色々なものに触れてこられてきたように私には見えます。

高須賀さんは人生においてどう芸術と向き合ってきてきましたか。

高須賀さんの人生において芸術がもたらしてくれたものは何かありますか?

そして、芸術って何なのでしょうか。

質問の焦点が定まっておらず、しかも人生相談になっているのかも怪しく、申し訳ありません。

ですが、最近そのことばかりを考えています。

お話を聞かせて頂けますと大変うれしいです。よろしくお願いします。


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以下高須賀の回答

今回の質問文のキモはこのあたりの文章にあるのかなーと思いました。もう一度再掲しましよう

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芸術は、貴族階級の暇人のもので、すなわち現代ではもはや必要とされておらず、それを追い求めることは時代に適応できない人間の現実逃避でしかないのでしょうか。

芸術は現在の仕事には直接生きてこないことは分かっているのですが、何か人生を豊かにしてくれるような予感があるのです。

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まず初めに僕のスタンスをいいますと、僕自身は高尚な芸術に限らず、人の全ての仕事や趣味活動には意味も価値もあると思っています。しかしそれについてキチンと説明するには、少しばかり様々な寄り道をしなくてはなりません。


まずは幸せについての話をしましょう。


ちょうど少し前に僕は連載媒体で「仕事で自己実現できそうにない凡人は、いったい何を仕事に求めるべきなのか」という記事を書きました。記事の要旨を書くと


①自己実現とは一部のプロエッショナルや偉人が仕事を通じて成し遂げることである。


②しかしそれができる人はごく限られた一握りの人だけであり、ほとんどの凡人は仕事で自己実現なんてできない。


③では凡人の産まれてきた意味とは何か?それは幸せになる事である。


④むしろ一部のプロエッショナルは自己実現をする機会を手にした代わりに、幸せになる権利を手放していたりする。例えばヒトラーや徳川家康、イチローは仕事に人生を捧げなくてはいけない天命がくだされており、凡人と違って怠ける事は許されない。


(興味があるなら、マイケル・ジャクソンのThis is itを見てみるといいでしょう。あれが仕事に人生を全て吸い尽くされた男の末路です。残念ながら彼は亡くなってしまいましたが、もし仮に生きていたとしても幸せになる事は難しかったと思います。あの映画をどうみるのかは人それぞれですが、僕は己のプロエッショナリズムに押しつぶされる、マイケルの悲壮感を感じ取りました)


⑤そういう意味では、ある意味では凡人というのは偉人よりも幸せになれる可能性が圧倒的に高い。


とまあ、このような事を書きました。


では幸せって一体なんでしょうか?

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