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エンジニアがカスタマーサクセスについて考える

Saleshubでエンジニアをしている安田です。

今日はカスタマーサクセスの青本を読んで考えたことについて書きたいと思います。
読書の動機は、エンジニアという役割を越えて、事業に関わるあらゆる側面について知りたい、その知識を活用して自分の役割の価値を最大化したい、もしくは役割を越えて価値を発揮したいという動機です。

以下、主にカスタマーサクセスの実践の原則①「正しい顧客に販売しよう」に関して考えたことについて書いてみたいと思います。

正しい顧客に販売しよう

この本では、カスタマーサクセスの実践の原則①として「正しい顧客に販売しよう」が置かれています。
この原則に最も関係深いのは、部署で言えばカスタマーサクセスではなくセールスかと思われるので、これが第一原則として定義されていることに少し意表を突かれます。
しかし、意表を突かれるそのことこそが、この定義の重要さを指示しているかと思います。

カスタマーサクセスは誰が担うのか?

今すでに多くの企業でカスタマーサクセスは「部署」として認知されつつあります。なので「カスタマーサクセス」と聞いたときに部署を想起する人も多いのではないかと思います。ですが、この本でカスタマーサクセスを言及する時は、部署ではなく「全社的な取り組み」を指しています(カスタマーサクセスを担う人は「CSM」とはっきりと区別して表現されています)。つまり「正しい顧客に販売しよう」はセールスといった特定部署にとっての原則ではなく、あらゆる部署のメンバーにとっての原則でもあるのです。

間違った顧客に販売しないためには、取引を進めるセールス担当者よりもカスタマーサクセスの担当者の判断を優先させる(拒否権を与える)べきだという話も出てきます。チャーンの防止、顧客のリテンションのためには、正しくない顧客獲得による一時的な利益の増大よりも、それによって引き起こされる無駄なリソースの消費を無くす方が重要だということです。

各部署はどうしても自分に与えられた役割の範囲内での、狭い視野でのわかりやすい成果(局所最適化された成果)を上げようとしがちです。
営業であれば受注件数でしょうし、マーケであればリード数。
しかし、間違った顧客獲得につながる数字であれば、実はそれを上げることは成果ではなく、むしろ事業に損害を与えることになるのです。

「正しい顧客に販売しよう」はエンジニアにも関係あるか?

エンジニアに関しても同様のことが言えそうです。
というかエンジニアにこそ、このことは当てはまりそうです。
そもそも「正しい顧客に販売しよう」という前に「正しい顧客は誰か?」を把握していないエンジニアも多いのではないでしょうか?
エンジニアの世界で「ユーザビリティ」とか「UX」という言葉は非常に頻繁に聞きますが、「間違った顧客は誰か?」みたいな議論はあまり聞きません。言い換えると、サービスを利用しているユーザーは当然「正しい顧客」である、もしくは正しくない顧客がサービスを利用しているとしたら、それは他部署の責任で自分たちはそれについて責任を持たない、といった前提があるのかもしれません。

しかしながら、実際にはカスタマーサクセスの第一原則として「正しい顧客に販売する」が定義されているということは、間違った顧客に販売するということが非常に多く起きている、ということかと思います。もし間違った顧客が提示してきた要望に従って、新たな機能開発を進めた場合、プロダクトは間違った方向に進化していくことになりそうです。

そう考えるとき「正しい顧客は誰か?」についてクリアなイメージを持つことは、セールス、マーケ、カスタマーサクセスに限らず、エンジニアにもとても重要なことだと思われます。

エンジニアが間違った顧客に気付くこともある

また一見「顧客の正しさ」に関してエンジニアは責任を持たなそうに見えます。なぜなら顧客をターゲットしたり取捨選択したりするのは、セールスやマーケではありますが、エンジニアにはその権限がないからです。
しかしながら、すでに記載したようにまず正しい顧客像をはっきり持っていなければエンジニアはプロダクトを間違った方向に進化させてしまう可能性があります。
また、エンジニアは例えばログやデータから、セールスやカスタマーサクセスが気付かないような顧客のユースケースやプロファイルに気付くこともできます。そしてそれをセールスやカスタマーサクセス、経営者にフィードバックし、サービスを利用している顧客像を伝えることができれば、データから「正しい顧客に販売する」取り組みを支えることができ、事業上とても価値があることになるかと思われます。

上記のように考えるときカスタマーサクセスの第一原則である「正しい顧客に販売する」はエンジニアにとっても開発するうえでの第一原則として意識されてしかるべきかと思われます。

さいごに

以上、カスタマーサクセスの青本を読み、それについて考える中で、カスタマーサクセスとエンジニアリングが交差する点について書いてみました。もしこの記事を読んでいただき、記事にご興味お持ちいただけた方いらっしゃいましたら、こちらにDMください。より良いエンジニアリングについて一緒に議論してみたいです!

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