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富樫勇樹は1億円プレイヤーに相応しいのか?

日本人初の“基本報酬1億円”

スポーツ選手の年俸1億円を
野球界では1986年にロッテ・オリオンズの落合博満
サッカー界では1992年に読売サッカークラブの三浦知良

そしてバスケ界で2019年に千葉ジェッツふなばしの富樫勇樹
達成しました。


富樫勇樹選手は1993年生まれなので、他のプロリーグにおいて初の1億円プレイヤー達成は彼の生まれる前の話です。

2018-19シーズンは全60試合に出場で、1試合平均14得点(リーグ21位)1.9リバウンド、5.5アシスト(リーグ3位)をマークし、レギュラーシーズンMVPに選出されました。

この記録だけみても、Bリーグに詳しい人や、NBAに詳しい人は懐疑的な選出だと感じる人もいたのではないでしょうか?

他のスタッツも0.8スティール、フィールドゴール成功率42.6%、3Pシュート成功率37.7%、フリースロー成功率77.8%、チームこそリーグ最高勝率で地区優勝を果たし、そこの中心選手であったことは間違いないです。

しかし、例えば、新潟アルビレックスBBのダバンテ・ガードナー選手は平均27.6得点(リーグ1位)、11.0リバウンド(リーグ3位)、3.8アシスト、0.6スティール、フィールドゴール成功率 57.6%、3Pシュート成功率 22.8%、フリースロー成功率 79.3%という数字はもちろん、今シーズンは昨シーズン全体の10位から3位の勝率、初の地区優勝とチームも飛躍しました。

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数字的にみてリーグ10番目前後あたりの選手がMVPであることがおかしいのではないか?実際、彼より数字的に優れている外国人選手は多くいるのにもかかわらずです。

例えばNBAと比較してもシーズンのMVPに相応しい“数字”なのか比較してみたいと思う。NBAのMVPですと、昨シーズンはジェームズ・ハーデン、その前はシーズン平均トリプルダブルを達成したラッセル・ウエストブルック、そして今年はまだ発表されてないが、ヤニス・アンテトクンポが受賞するのではないかと言われています。

彼らの受賞に、懐疑的になることは先ずないでしょう。NBAではアメリカとカナダのスポーツ記者、ジャーナリストなどの関係者などの投票によって行われるため、客観性が多少なりとも存在します。

かつては投票においてステファン・カリーが満票でのMVP、シャキール・オニールとレブロン・ジェームズが98%の票を獲得してMVPになった事例もありますがどちらも個人的な成績とチームの成績がトップであり貢献度が高いと評価されいるからです。

最も日本式らしいMVP

「チェアマンが指名した者により構成される選考委員会が決定する」とBリーグの規定で書かれているのですが、この方式もかなり日本式で、内部の人間が決めます。忖度をどうしても感じてしまいます。つまりリーグにとって誰がMVPであるべきかという視点が大きく関係してきます。

初年度は川崎のニック・ファジーカス選手がMVP、これは文句なしの成績でした。そして翌年には帰化し日本代表へ選出されます。2年目の昨シーズンはリーグ最高勝率だった三河の比江島慎選手がMVP。翌シーズンにはオーストラリアへ挑戦。両者ともMVP直後に大きなニュースが続きました。今回は富樫勇樹選手が日本人で初の1億円契約の発表。

またB.LEAGUE AWARD SHOWではMVP向けに、かつてのチームメイトや恩師の映像を流します。こういった、演出にも影響があるのだろうと考えてしまいます。外国人選手は?そして全員が納得する、それは単なる成績ではなく、ファンの感度(印象値)を重視した人物を選定しているのではないかと考えてしまいます。

なるべくしてなったのか、リーグの方針なのかわかりませんが、日本式らしいMVPだった印象を受けました。

ここまで読んでいると、アンチBリーグ、アンチ富樫かと思うかもしれません。先ずリーグ側として、この3年間のMVPの選出が悪かったとは思いません。MVPの基準としてリーグ全体で最高勝率の1位チームから選んでいるという共通項もあります。故に日本っぽさはあるが、ちゃんと選んでいるということです。

本題です。富樫勇樹は1億円プレイヤーに相応しいのか?


富樫勇樹のすごさ

富樫勇樹の凄さは何かと言われれば、間違いなく”スキル”と”メンタリティ”です。あくまで個人的な見解ですが、ハンドリングや20~40cmの身長差、50cm以上の最高到達点の差が前提のなかで、シュートまで持っていくステップワーク、スキルが非常にうまい。バスケットスキルの高さはBリーグトップクラスです。

そしてメンタリティ、自信というのがプレーに出ています。試合終盤では高確率で自分のシュートをセレクトし、それまで入らなかったとしても、4Q勝負どころで必ず自分を選択し、打って、高確率で決めてきます。身体のサイズ関係なくシンプルにこの点においてトップと言えると思います。

バスケットをかじっていた私としては、彼のスピードクイックネスとそれに伴うハンドリング、シュート力は相手にとっては非常に厄介だと思っています。

ここのバスケ視点の議論は長くなりそうなのでとりあえず動画を見てください。

1億円の価値

プロバスケ選手としての価値を測るのは

プロバスケ選手の価値=バスケ評価(実績)+ 経済評価(広告)です。

バスケ評価というのは文字通り選手が現場、バスケでどれだけの結果をだしたかであり、それは「個人のスタッツや成績」、「チームの勝率や成績」といった「定量的に測れるもの」と『キャプテンシーや精神的な士気』、『若手の見本と育成』といった『定性的なもの』の両側面があります。 

現状、富樫選手のバスケ価値だけで1億円プレイヤーとしての評価はないです。それは昨年度の年俸から今回の金額アップに見合わない(昨年の年棒についてはその手のルートからの推測です)のが事実です。

経済評価は今回彼の評価を大きく左右したと思われます。経済評価はスポーツ選手に置いて非常に重要な評価で、メディアが多様化し、様々なマーケやPRができるようになった昨今では”価値”を高めるのに必要な要素です。

こちらも「知名度やフォロワー」、「グッズ売上やインフルエンサー力」といった「定量的に測れるもの」と『人気度やキャラクター』、『密着度や話題性』といった『定性的なもの』の両側面があります。

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バスケ評価としては、リーグ最高勝率、シーズンMVP、3年連続ベスト5と評価をあげるものでした。

経済評価として大きかったのは”広告宣伝価値”と”バスケ経済効果”が非常に大きかったと思われます。

市場のタイミングが重要です。”日本人初の1億円”、”日本代表がW杯/東京五輪出場決定”、”新しい資本とアリーナ構想”という日本、バスケ界、という大きな潮流のタイミングで富樫勇樹こそが最も影響力をもつと判断されたのではないでしょうか。

カズさん(中村和雄:元秋田ノーザンハピネッツ監督)が富樫選手にしたアドバイスにもあったように日本の子供への影響力が絶大です。

「僕は勇樹に、『バスケ界の三浦知良になれ』と言っていた。早めに留学して話題性をつくれば日本の子どもたちがバスケをするから」

167cmと小中学生と変わらない目線の男が大きな選手を翻弄する姿、斗出したスキルは目を引きます。日本人の平均身長の比率、国民性を考えても、190cmを超える日本人選手、2mを超える外国人選手よりも、夢を与えるのは日本の平均身長よりも低い選手なのです。そこにはストーリーが大事なのです。

現実に希望をもつのは、バックボード頭をぶつける桜木花道ではなく、低身長でも3Pを決める車谷空なのです。

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(スラムダンク、あひるの空 1巻より)

日本人初のNBA選手である田臥勇太選手が173cmというサイズでNBAに立った時、不可能と言われた世界に、希望を持った日本人が数多くいたのは間違いありません。世界最高のサッカー選手が170cmのメッシであるサッカーの方が夢が広がるのです。

今の市場のタイミングで富樫勇樹が最も相応しいと判断した千葉ジェッツの島田社長が踏み切ったのでしょう。

記事にも「バスケが夢の職業」なんて書かれましたかが、富樫勇樹が1億円のプレイヤーに相応しいか否か。これからわかることでしょう。


おまけ

ここから先はおまけです。個人的な想いです。読みたい方だけ読んでください。口調も変わります。

トップスポーツ選手の才能なんて関係ない発言は無視すべき

才能には2つある。先天的な才能(ギフト)と後天的な才能(センス)

先天的な才能は、DNAによるもの。これは絶対的にあるものだ。特に身体的な能力に結果が大きく左右される競技こそ、特に「才能は関係ない」という言葉を発言しない。

サッカーという競技は後天的な才能が大きい競技特性のため「才能は関係ない、努力の才能」とか簡単に言う人がいる。努力の天才は後天的な才能の1つである。

バスケットボールという競技をみて、才能なんて関係ないなんて本当に思うのか?マイケル・ジョーダンを見て、レブロン・ジェームス、ケビン・デュラント、ヤニス・アンテトクンポ、カワイ・レナード、他にも沢山いる。とにかく見てくれ、検索してくれ、本当に才能なんて関係ないなんて言えるのか?正気?

NBAは人類中0.00000006%の人間のみが入れるリーグと言われています。

平均身長203㎝、平均体重104㎏

日本にはこの基準を満たす人間がほぼいないのである。そして、この体を自由に動かせる天才の集まりなのだ。

MVPを取ったステファン・カリーは?

彼は191センチ“しか”なく先天的にはこれでも“恵まれず”だが、父は16年NBAでプレーし、弟もNBA選手、後天的な才能に非常に恵まれたのだ。

NBAで最小のMVPアレン・アイバーソンは180センチなかった、しかし彼を見て才能がなかったなんて奴がいたらぶっ飛ばしたい。見てみろ。

先天的な才能がなければ、後天的な才能を磨くしかない。先天的な才能の比重が大きい世界において、努力ではどうにもならない世界がある。

才能が関係ないとか、努力の才能とか、簡単に言わないでほしい。

先天的な才能、DNAによるもの
後天的な才能、環境によるもの

スポーツという才能という世界によって挫折する人間が山のようにいる。

才能に勝つためにスキルを磨こう。スキルが追いつかれれば才能の差がそのまま差になる。しかし身体能力とスキルはセットで向上する。その身体能力、機能があるから、そのスキルが生み出されるなんてことはよくある。

165cmでダンクする選手はアメリカには普通にいるのだ。

だから富樫勇樹・田臥勇太が、八村塁・渡邊雄太がいかにすごいか。

最後に2つの動画で言いたいことまとめます。190cmの富樫レベルのスキルの高い選手出てこい。小さい選手は死ぬほど頑張らないときつい。



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