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TOO FAST TO LIVE,TOO YOUNG TO DIE #6

恥ずかしさでそそくさと後にした会場

「もうめちゃくちゃ恥ずかしかったわー」
「あれシャッター切れてなかったん?」
「なんかカチッってならへんかったし多分撮れてへんわ」
「うわーもったいな」
「ほんまやでカッコ悪いわー」
「まあそれも思い出になるんちゃうん」
「せやけどさーお前誰にも言うなよテンパってたん」
「そんなん絶対言うよー」
「なんでじゃいっ!」
TAKAKIの肩を軽く叩いた
そして二人で笑った

「ほなコーヒーでも飲んで帰るか?」
「うん」
缶コーヒーを買い会場前の地べたに座り込んでタバコを吸う
TAKAKIはヤンキー座り

昨年同様楽しそうに帰宅する人達を眺めていた
だが今年は去年と違い3選手のサインをもらいウハウハだ

「やっぱアジャは」とか「あの新人は人気出るでー」
と大会の感想を話していたのだが喋る割合が段々と自分が9割くらいになっていることに気付いた時だった
いつも笑顔の絶えないTAKAKIの顔が神妙な顔つきになっていた

そして
「AKANEくん、ちょっといい?」
声のトーンもいつもと違う

「え、お、おん。どしたん?」
「あんなぁバンド解散することになってん」
「え、なんで?上手くいってたんちゃうん?」
「いや、まぁ別に仲悪いとか音楽性がとかとちゃうねんけどさー」
「ほなら尚更理由わからんねんけど」
「うん、まあそやねんけど、、、ほら、みんなAKANEくんと同い年やん」
「そやなTAKAKIだけが2個下やっけ?」
「そうねん、、、で、就職してる人らもいるやん?」

そうこの時、自分と同学年の人間は高校卒業後に就職し社会人一年目として働いてるヤツも多かった

そしてTAKAKIは俯いたまま話しを続けた
「で、やっぱバンド続けんの厳しいねんて、、、」

この時の自分は夢ばかり見ていた
就職とかFUCK OFFくらいの勢いだった
なので夢も追いかけないで会社で働くなんて考えられなかった
実際自分も未成年まだまだ大人になるのは早いだろうと思っていた

でもこの街ではそうやって大人になっていくことが美徳なのもわかっていたし
たかだか18歳で将来を見据えるなんてもの凄い決意だと今ならわかるがこの時の自分は大人にならないことこそが美徳であり
TAKAKIの言葉にやるせなさを感じていた

そしてTAKAKIはため息をつきながら
「せっかくええメンバーやったのにまた1からやわー」と首を落とした

そんなTAKAKIを見て
気軽に「またがんばればええやん!」とか「お前なら大丈夫やって!」なんて言葉はかけられなかった

気が合い音楽性の合うメンバーなんてそう簡単に見つかるものではないことは自分が一番知っていたからだ

「なんでみんな急いで大人になろうとすんのかな?」ケツの汚れをパンパンッと払いながら自分が立ち上がった

「え?」
ヤンキー座りのままTAKAKIが自分を見上げた

「好きなことだけして死んでいってもええと思わん?」

「、、、うん」
と、頷く

「ま、オレたちは永久未成年ってことで夜露死苦!!」

「なんなんそれー全然カッコよくないで!」
TAKAKIも立ち上がった

「まあオレも暴走族みたいなモンやんか」

「全然ちゃうやん!原チャリ乗ってるし」

「何言うてんねん!こないだバブで河原町流してたらギャラリータコ踊りしとったで」

「それケンちゃんのケツに乗ってただけやろー」
二人で笑った


だが結局TAKAKIにいい言葉はかけてやれなかった

高校出たての人生経験なんて全くないような子供に確信的な言葉を紡ぐなんて到底無理な話だった
そして年月を重ねた今でもかけてやれる自信なんてない、、、


吸っていたタバコをコーヒーの空き缶に捨てた

「んじゃ、帰ろうぜ!!」


そして二人
ボロボロの原チャリに跨った







続く

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