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TOO FAST TO LIVE,TOO YOUNG TO DIE 〜続・TAKAKIとあの日原チャリで〜

初めてのプロレス観戦から一年が経とうとしていた

自分はバンドメンバーと春を目処に上京する為アルバイトに勤しみながらもオリジナル曲を制作し月に1〜2回のペースでライブ活動を
メイクもやめ路線変更し普段着のアメカジスタイルでのストリート系のロックでスターになるのを目指していた

TAKAKIは変わらずV系で彼も自身のバンド活動で忙しかった

でもそんな中でもしょっちゅうではなくなったものの集まったりそれぞれのライブに行ったりしていた

そして昨年同様9月くらいになるとどこからともなく全日本女子プロレスがやってくるという情報が耳に入ってくる

「TAKAKI、なんかまた女子プロくるみたいやなあ」
「あっこのローソン割引券ありましたよ」
「やんなあ、オレもファミマで見たわ」
「行きます?」
「そら行かんとなあ」

その場にいた他のバンド仲間達は「こいつら好っきゃなあー」という顔をしていた

あの観戦後しばらくはみんなと集まっていても
「貴子かわいかったわー」
「アジャ思ってるより×××××わー」
と二人でそんな話ばっかりしてたからだろう

話は即決!!

で、また待ち合わせはウチの家

アメカジの自分と相変わらずいやワザと更にチンピラ感を出してきたTAKAKI

どう考えても他人から見て友達には見えない組み合わせ

だが一つ違うのはTAKAKIがどっかから原チャリを借りてきたのだ
自分のZZもボロかったがTAKAKIの原チャリは「それ動くん?」という感じの代物だった
第一アイツは免許持ってたのだろうか?
まあ持ってたんだろう

お互い半キャップだが自分は普通に被るがTAKAKIは首に掛けるヤンキースタイル
自分も一度は試したことあるが風の抵抗で喉仏がギュンっとなるのが気持ち悪くて普通に被るようにしてたが喉仏ギュンより彼は己のスタイルを貫きたかったのだろうか

まあいいとにかく出発だ

道中はくっちゃべりながらトロトロ走ってると思いきや急に競走したり変な乗り方して笑かしあったりでこの頃にスマホあったら動画撮られて拡散されて身バレして未成年で人生詰んでたかもしれない
なのでみなさんも交通ルールは守りましょう!!

別に二人とも所謂ヤンキーではないがロックンロールやろうなんて奴は所詮はお調子者
若い奴なんていつの時代も同じってことだろう

電信柱にはポスターが
明智藪を抜けるとそこから会場までは全ての電柱に貼られている

「TAKAKI、今日は写るんです持ってきたから」
「ほんまー?今日は絶対貴子のサインもらいますわー」
「オレももう全員のもらったるわー」
「金あるんすかー?」
「2千円くらい?」
「それやと絶対無理ですやん!」

なんて並走しながら喋ってると(これもアカンよ!)すぐにグランドームが見えてきた



原チャリを停め咥えタバコで意気揚々と会場へ
去年いたガキもジジババもサラリーマンも女子高生もヤーさんもホステスもきっと来ていたのだろう

すると会場前のポスターに人だかりが

「何か集まってんなあ見に行こか」

人だかりの後ろの方で背伸びして覗きこむ

「えっ?!」
「えっ?!」

ポスターの井上貴子選手の所に本日欠場の文字がっ!!

「うっそだろー」

自分もTAKAKIも立ち尽くした
特にサインをもらう気満々だったTAKAKIのテンションの下がりようったらなかった

TAKAKIの肩を叩き
「まあしゃあないってこういうこともあるよ」
続けて「また来年くれば、、、」と声をかけたかったが来年はきっと一緒に来ることはないだろう
出そうになった言葉をグッと抑えた

「まあそっすねアジャも豊田もいるし、、、」
せっかく来たのだから切り替えて楽しもう
そして自分に気を遣わせまいと思ったのだろう
TAKAKIはそういうヤツだ


「そろそろ入ろうぜ」
落としたTAKAKIの肩をもう一度ポンと叩き
会場へ入っていった





続く

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