見出し画像

リトアニアで学んだ『ウィスキング』の教科書

昨年から今年にかけて、筆者は「ウィスキング」というサウナの新しい取り組みにチャレンジしてきました。サウナ好きの知人からは「ウィスキング最高!」という声も多くなり、ウィスキングへの注目度が高まっています。

昨年発刊された、日経トレンディ紙でのヒット予測でも『来年はサウナ × ウィスキングが必ずヒットする』と取り上げられていました。"サウナ"でも"ととのう"でもなく、あくまで"サウナ×ウィスキング"でのランクインです。

ドラマサ道の原作者でもあるタナカカツキ氏も、原田泰造氏との対談インタビューで、ウィスキングの今後の可能性について言及されています。サ道の原作者が着目している時点で、ヒットの兆しがあるということでしょう。

──新しいサウナ施設が次々にオープンしてますが、「こういうサービスや設備があればいいのに」と思うものはありますか?

タナカ これから出てくるサービスとして、たぶんウィスキング(※4)がくると思いますね。今日モニターで体験してきたんですけど、満足度高いです。ヴィヒタまみれになるのはいいですよ。

※ドラマサ道 対談インタビューより抜粋

なぜウィスキングが流行予測され、サウナ施設がウィスキング提供に注目をするのか。それは「ウィスキングを受けた後の感動と満足感がものすごい」から。ウィスキングを受けた方々の証言が何よりそれを物語っています。

上の記事では「母親の胎内にいる時の、赤ん坊の気持ちがわかった」「森の妖精に生まれ変わった感覚があった」など誇張が過ぎる表現が出てきましたが、ウィスキング体験者の感想を要約すると、以下のような内容でした。

①サウナ→水風呂→外気浴で得られるととのう感覚とはまた違う。まるで瞑想のような、ディープリラックスの感覚を体験することが出来た。ととのうというよりも生まれ変わる、という表現が近いかもしれない。
②さらにプログラム全体を通して、常に抱擁されているような安心感を感じた。通常のサウナよりも自然なものに直接触れる機会が多いため、人間が無意識に自然を求めて森林浴を行うような感覚に似ているのではないか。
③リンパが通っている手足など、植物を通じて直接暖めることができるから、全身の暖まり方が通常のサウナとは全く異なる。冷え性に悩まされている女性には特におすすめできる。
④サウナを通して自然を感じることでデジタルデトックスが出来る。仕事や育児など、ストレスフルな女性がリフレッシュできるのがウィスキング。受けたあとは肌がしっとりする。

①のディープリラックスの感覚は「いつもより深いレベルのととのい」「ととのっている時間が長い」ということでしょうか。②と関連する内容ですが、副交感神経が活発になる要素が通常のサウナ入浴時よりも多いのです。

過度な交感神経優位をもたらさず、ウィスクがもたらす香りやリラックス効果、施術中の安心感、深呼吸を繰り返すペース、ほどよい水温でのフローティングと、通常のととのいより長めの休憩など、副交感神経優位となる要素が数多くみられます

③については、ウィスキングがもたらす最大の恩恵と言えるでしょう。一般的なサウナ浴では暖まりづらい手/脇/お腹/背中全体/太もも/足裏などをピンポイントに暖めることができる。内臓の消化不良や血行促進も働きかけることができ、美と健康志向の女性に向いているのではないでしょうか。

④はふだん都会で仕事をしていると、まず自然のものを手に触れる機会って少ないものですが、植物に触れたり木のぬくもりを感じたりする機会は余り多くありません。ウィスキングを通じ意識的に、人としての自然との接点を取り戻すことができるところは何事にも代えがたい価値と言えるでしょう。

ウィスキングを提供するサウナ施設も『ジートピア』を皮切りに『かるまる』『サウナラボ』『おふろCafe utatane』と増加傾向にあります。サウナ人口が多い、首都圏を中心に新たなトレンドとして好評を博しています。

ウィスキングは「ウィスキングサービス」と表現する施設もあれば、「サウナトリートメント」「サウナリトリート」と称する施設もあります。後述しますが、ウィスキングはサービスの一つ、という捉え方が実態に近いです。

サービス提供範囲の幅こそあれ、ウィスキングも徐々に全国へと拡大しています。2022年3月には『ウェルビーグループ』が「ウィスキング出張サービス」を開始し、近畿地方でのウィスキングの体験機会が広がりました。

さらには長野の『The Sauna』もイベントを開催、そして2022年6月には大阪にある『なにわ健康ランド』がウィスキング専用サウナ室をリリースしました。ウィスキングの熱が今後も拡大していくのは間違いないでしょう。

施設のサービス提供が増えると同時に、ウィスキングを習練する人々も徐々に増えてきました。ウィスキングスクールや、Youtube等を見て自主練習に励む個人事業主なども現れ、ウィスキング師の人口も地道に増えています。

サウナの新規開業を考える事業者にとって、ウィスキングは初期投資を抑えることができ、マッサージその他の扱いで、ある程度まとまった顧客単価を見込むことができます。ウィスキング特化型施設も現れるかもしれません。

筆者はウィスキングの本場と言われるリトアニアで、リトアニアサウナスクールの門を叩き、トレーニングを受講して参りました。今後ウィスキングが日本で広まる中で、認識ギャップとズレが少しでも生まれぬように、ウィスキングの本質を正しい場所で学びたいと考えたのがきっかけでした。

リトアニアで学んだウィスキングの本質と、ウィスキング師が心掛けるべきもの。また、日本で100名以上にウィスキングを提供してみてわかったことや、事業者がウィスキングを提供する上で考えるべきこと、ウィスキングに適したサウナ室の構造など、筆者が得たリアルな知見を書いていきます。

そしてこのたび、初となる有料noteになります。筆者としては実験的な試みになりますが、いつも以上に踏み込んだ、現場第一主義の内容を書いております。そして本noteで得た収益については、ウィスキング発展に向けた投資に全額活用いたします。

1.ウィスキングを100名以上に提供してわかったこと

ここから先は

17,199字 / 38画像

¥ 980

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?