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バラバラなキャリアを統合する


1. キャリアの統合(キャリアインテグレーション)とは?

「キャリアを統合する」ってあまり聞き慣れない言葉ですよね?たまーにこうした言葉を使う人もいるのかもしれませんが、この言葉は「一見するとキャリアにまとまりがない、一貫性が無い」人しか使いません。

とっても簡単に説明すると、「バラバラなキャリアをひとつにまとめ上げる」ないし「一貫性のあるものにまとめてあげる」ということを意味しています。

私自身、全くもって何屋なんだかわからないキャリアをこの20年以上歩んできたことから浮かんできた言葉です。

私の職歴の変遷をざっと記すと

【外国語学部英語学科を卒業】
     ↓
【大手レコード会社に就職】(5年半)
     ↓
【暗黒時代(たった2年でバイトやフリーで5社経験)】
     ↓
【CD/DVD卸業者本部バイヤー】(4年半)
     ↓
【輸入玩具の新規事業・販路開拓】(1年半)
     ↓
【北京のドイツ系IT企業でPM】(3年)
     ↓
【北京のビジネスコンサルで営業】(2年半)
     ↓
【北京でコーチングビジネス起業】(3年半)
     ↓
※2020年8月28日追記
【天津で大手日系企業の総監職】


こんな感じなので、「何屋さんだかわからない」と言われることもあります。


こうした一見、バラバラに見えるキャリアを一貫性のあるものに統合していき、行き当たりばったりのキャリアではなく「しっかり一本筋の通ったものにしていきましょう。」ということも言いたいのではありますが、これからは一つのことをコツコツ続けるようにしましょう、ということを言いたいのではないです。

あくまでもあなたはあなたのままで、転職や転業、副業や複業などもしながら、そうした自分に誇りを持ち、かつ人にも説明しやすく語れるようになっていきましょう、ということです。

キャリアプランとか人生設計とかを考えると、どうしても時間軸で一本の線として考えがちになってしまいますが、長い目でみれば、円で考える、もっと言ってしまえば球として考えてみたときに自分が納得していれば良いんですね。  

2. 世間は天職ブーム

世間は天職ブームです。それに天職を見つけた人はやはり外から見る限りとてもエネルギッシュで輝いて見えます。脇目もくれずに自分の使命に邁進する姿はやはり美しい。それも確かです。ですから

「天職さえ見つかれば私は幸せになれるはず」

と思ってしまうことでしょう。

わかります。現に私もそうでした。自分だけの使命をみつけて、心の底から尽きることなく溢れ出るエネルギーを原動力として仕事に邁進していければ、悩むこともなく、やる気の問題にも苛まれることなく、自分が望む成功に近づけるのではないかと。

とはいえ、世の中の多くの人にとって、なかなかそうした天職を見つけるのは難しいのではないでしょうか。そのため、とりあえずマシに思える仕事を探して就業している。これが現実でしょう。そして、マシに思える仕事に就きながらも


「ホントは自分にとってはもっと素晴らしい仕事があるのではないか・・・」


と何となく感じながら、今の仕事にもあまり全力を注げずに何となく日々が過ぎていく。

なぜこうした考えになるのか?それは

”自分の夢や自己実現を職業ベースで考えている”

からではないでしょうか?これは、小さな頃の「大きくなったら何になりたい?」と大人からよく聞かれることに原因があるのかもしれません。

こう聞かれると子どもは大方とりあえず「プロ野球選手」「宇宙飛行士」「おまわりさん」といった”職業ベース”で答えます。今だったら「YouTuber」などもありますよね。

ですが、職業ってあくまで手段です。自己実現のための手段。そして時代の変化、技術の革新などによってもどんどん世の中に必要とされる職業も変化していきます。私が小さい頃によく見かけた駅の改札のキップ切りのおじさんは、地方はわかりませんが、都会ではまず見かけることがなくなりました。

ですから、職業的にやりたいことも大事ですが、最も大事なのは生き方・あり方のデザインであり、理念のデザインです。これは時代の流れや技術革新に振り回されることはありません。  

3. スペシャリストが優遇される社会

社会が”スペシャリスト”を優遇していることも、職業ベースによる天職探しブームを増長しているともいえるでしょう。

スペシャリストとして一つのことを長く続けていると、そのわかりやすさや豊富な実績からヘッドハントも受けやすいですし、年収も上げやすい。それとは対照的に、転業などを繰り返していると、毎回未経験者・初心者からのスタートとなり、転職の際にもよくて前職と同程度の給与提示、最悪は前職以下の年収になってしまいます。

こうしたことから、今やっている専門職以上にやってみたいことがホントはあるはずなのに、今の仕事・今の職種をずっと続けてしまっている人も多いのではないでしょうか。

日本なんかまだマシで、私が現在居住している中国やアメリカなどの先進国では、大学での専攻と結びついた仕事に就くのが当たり前の世界です。

だからといって、30代後半を過ぎたら自分のそれ以降も数十年は続いていくかもしれない人生を諦めてしまって良いのでしょうか?それで良いわけないですよね?

4. ゼネラリスト・何でも屋・転職多数は不利?

大手企業に長年勤めていると、ゼネラリスト的なキャリアを積んでしまっている人は多い。その結果、自社内でしか通用しないスキルしか身につけられず転職市場で全く相手にされない人も多い、という話はよく聞きます。

また、日本企業の多くは育成願望が強いせいもあり、35歳を過ぎると転職が難しくなりがちです。

こうした背景から、ゼネラリストや就社件数が多い人にとっての転職市場での可能性は狭まるのは確かでしょう。とはいえ、仕事が全然見つからないかといえば、決してそうではありません。私は実際に35歳を過ぎてから3回転職しています。今は私も既に45歳ですが、まだ会社でのフルタイムでの仕事を探そうと思えばまだいけそうです。ただし、何かしらの語学力が必要になる可能性がかなり高いですが。

仕事というのは、あるところにはあるものです。ただし、視野が狭いとなかなか見つかりません。それに、会社でのサラリーマンとしての仕事を探すだけではなく、自分で仕事を作り出す・創業・起業という考えも、これからはある程度必要でしょう。

ゼネラリストには、会社運営に一通り必要なことをある程度経験している場合もあり、もしかしたら、起業してからもしばらくスタッフを雇う必要もなく運営できてしまう可能性だってあります。

私は上述のように多数の転職を重ねてきた人間ですが、その中でも数回に渡り人事異動もあり、会社運営に必要な業務を営業系・コンテンツ制作系・宣伝販促・管理系と大方実務を通して経験してきているので自分でもある程度できますし、各業種その道のプロの方々とお話を進める際にも、専門家の方々が何を言っているのかがよくわかります。

こうしたスキルは、資金にゆとりがなくあまり外注することが出来ない創業時期においては非常に有効です。

※2020年8月11日追記:
さらに、最近気づいたことですが、ヘッドハントなどにより転職した会社で、入社したての会社の状況を把握しきれていないうちから部下の各種報告を受けて高度な判断を日々していかなければならないときにも、こうした多種多様な経験は非常に役立ちます。

5. 自分が持つリソースの素晴らしさに気付く

 世間の風潮がスペシャリストに有利であるため、自分の専門性の希薄さに焦りを感じてしまう人は多いことでしょう。

ですが、多種多様な経験を積むことによって、各分野の通訳者になれる、という利点もあり、この利点は多数にまたがる部署や会社が一緒になって取り組むようなプロジェクトマネジメントにおいては大きな武器となりえます。

それに、何回も初心者を経験してきていると、知らぬ間に学習能力が高くなっているかもしれません。新しいことを効率よく学習できる術を身に着けているかもしれません。変化がとても激しく、激流のような現代において、この能力はとても貴重なものと言えるでしょう。

また、環境適応能力も相当高くないとゼネラリストは務まりません。

それに、ゼネラリストには、スペシャリストには無い視点があります。部外者の視点というのは、物事の解決には欠かせないものでもあります。私はコーチングを学んでいて、有料セッションでもある程度実績を持っていますが、コーチングがクライアントにとっての問題解決に有効なのは、クライアントにはない視点を持っているからです。

スペシャリストの専門性にゼネラリストとしての視点を加えて、物事の解決にどんどん貢献していきましょう。

上述のように

・各職種/各業種の通訳力
・高い学習能力
・高い適応能力
・柔軟な視点

こうしたリソースがあなたに眠っていることに気付き、どんどん発揮していってください。

6. 多くの職種を経験する上での留意点

気を付けたいこととしては、ただ「広く浅く」ならないようにしたいところ。かくいう私も単なる「広く浅く」というのはあまり関心しません。しかし「広く深く」というのも時間的に難しいでしょう。ですから

「広く、一つ一つを集中してやる」

これがおススメです。集中すると、職務経歴書にも書ける立派な業績はいくつか作れるものです。

7.まとめ

僕自身も大学を卒業した頃には、今みたいに色々経験していることになるとは想像だにしませんでしたし、まさか中国に渡って中国語を操るようになるなんてことは全く思ってもみませんでした。

そして、音楽業界に10年いたにもかかわらず、今はそれとは全く関係ない道を進んでいるなんてさらに想像できませんでした。

正に行き当たりばったりで、今の自分にできることと自分に求められていることをやってきたら、今みたいになっていた、というだけの話です。

エリートとは程遠い泥くさい存在ですし、これから先も全く読めませんが、恋愛と同じで、縁のある人・縁のあるところとは勝手に繋がっていくもの。

ですから、ある程度自分の身近な未来を信じながら、いろんな業界・会社・仕事を経験をしてみてもいいのでは?

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