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21世紀の新しいパラダイムを自然界から学ぶ

・働く時間も場所も休みも、自分で全部決めて良い。

・給料はみんなで話し合って決める。

・社長はみんなの投票結果をもとに決める。

このような普通ではない、「ホラクラシー」と呼ばれる経営方法で話題になっているダイアモンドメディアの社長が書いた本を読んでみた。


「ホラクラシー」とはなにか?

本書の冒頭にはこう記されている。

従来の階層型(ヒエラルキー)に代わる新しい組織形態を表す言葉。 一般的には、組織内に上下関係がなく、透明性を重視し、メン バーの主体性に基づいて役割と権限を柔軟に調整しながら自律的 に動いていく点が特徴。


さて、この本を読んで私最も共感したポイント、心に刺さった点は、

「自然界の法則、摂理に則って組織をつくるとホラクラシーになる。」

という一文につきる。

ホラクラシーは、自然界の摂理に則っているので、無駄がない。デメリットがない。人間のエゴが抑制される等と書いてあった。

私が今注目しているティール組織の具体的な形態のひとつがホラクラシー。よって、ティール組織も自然界の法則に則った組織であると考えて問題は無いだろう。


そしてこの、「自然界の法則に則る」ということは、最近読んだいくつかの本にも書かれていた。

たとえば『お金2.0』で、著者の佐藤航陽氏は、経済のシステムと自然界のシステムの関連性に言及しつつ、

「自然界の構造に近いルールほど社会に普及しやすく、かけ離れた仕組みほど悲劇を生みやすいという視点」

を提示している。

また、『ZOOMオンライン革命』には、産業革命以降、人類の前提として存在していた機械論パラダイムが、インターネットの発達によって「生態系型のパラダイム」へシフトしている、ということが示されていた。


これらの本を通して思うことは、人間が謙虚になって、自然界から学ぶべきときが来ている、ということだ。

しかもその学び方は、本やVTR、講演を通して単に知識を得るだけでは不十分だと思う。

自然界は、部分最適の総和が全体最適になっている。個が個としての生命を全うすることが種の存続や繁栄、他の生物種の繁栄にも貢献している、共存共栄の関係になっている。そして自然界全体として、大きな揺らぎのなかで、ちゃんとすべてがきちんと循環し、バランスを保っている。

このようなことを、自ら自然界の中に分け入って、身体性の伴った、感情の伴った経験を通して学ぶこと。実践、体験の伴った知識を得ることで、はじめて大自然のシステムの素晴らしさを感じることができる。


それは決して難しいことでもなんでもない。ちょっと一手間かければ、だれでもできる。休日に登山や自然散策に出かけるなど自然と直接触れ合う時間をもったり、植樹や間伐などの森林ボランティアに参加する。あるいは農作業をやってみる。移動手段を自転車や徒歩に変えてみたり、プランターで野菜を育ててみることだっていい。

このような体験を通して、外にある自然と自分の内側にある生命がつながっているという本質的な学びが、今、人間には必要ではないかと思う。


通信技術の発達と、AI、仮想通貨、ドローンなど様々な新しい技術の開発や発達とが相まって、世の中の複雑性はどんどん増している。

また、人口の増大、資源の枯渇、気候変動による自然災害など、これまでの人間社会の在り方そのものの改変を迫る事象も多発している。

今までのルールが通用しない。ロールモデルもない今、どこからそのヒントをえるのか、それは大自然の中からだ、ということだ。

自然界の摂理に則った、組織の在り方を模索することは、自然界の摂理に則った生き方を模索することでもある。

そしてそれはきっと、自然界の摂理に則った、より良い社会や、平和で持続可能な文明を築くことにつながっていくのだろう。

実際、本書には、ホラクラシー組織は

「経済合理性、持続性、社会性、自然環境への配慮などを最大化させることが、 無理なく自然とできるようになる」

とある。

私が新しい組織の在り方を探求してやまない理由はここにある。

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