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#26 生成AI時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方(JTC経理DX課長の読書メモ)


はじめに

お読みいただきありがとうございます。某JTCにて経理DX課長を務める40代のおじさんです。

今回は、『生成AI時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方』を読みましたので、読書メモを残しておきます。私はド文系ですが、さくさくと1日で読むことができました。

生成AIを経理DXに活かす方法については、最近考える機会が多いです。この本を読んで、自分の取り組み方や思考は表層的だったと思い知らされました。経理DX課長を務める身として、この技術が業務プロセス改善にどう貢献できるかを探求することは、極めて重要なテーマです。

今回この本を読んでみて、改めてそういうことか、と分かったことがありましたので早速書いてみます。

興味深かった点

意義のデザインと意味のデザイン

本書で特に興味深かったのは、「意義のデザイン」と「意味のデザイン」が、生成AIを業務へ適用する上で非常に重要であるという点です。これらのデザインを通じて、AI導入の目的を明確にし、実際の業務プロセスにおいてどのようにAIを活用するかの方針を定めることになります。双方ができている領域であればあるほど、効果が出ることになります。

意義とは、解くべき課題(社会的、組織的)と理解しました。課題自体の大きさや切迫感がないと、意義は小さいものにとどまってしまいます。

意味とは、生成AIの本質的な価値が活かせる課題解決方法であること。課題解決にあたって、すべてのケースで生成AIが有用なわけはありません。生成AIならではの特徴や、強みを活かせる課題解決手法であるかを押さえる必要があります。コンテンツ想像コストのゼロ化、言語障壁の軽減、マルチモーダル(テキスト入力→音声・画像出力など)化、など。

よいプロンプトとは

もう1点、非常に興味深かったのは、実用的なプロンプトについて示されていた点です。Youtubeやブログで具体例が示されていることはありますが、ここまで丁寧にまとまっている書籍は読んだことがなく、ありがたかったです。

最初によいプロンプトの条件が示されています。

  1. 役割定義(あなたは経験豊富な〇〇です)

  2. #変数を用いた条件付与

  3. プロンプト作成に必要となる情報をChatGPT自身に教えてもらう

  4. 出力フォーマットの指定(#Desired Format:)

  5. アウトプットの自己改善(どんどんアウトプットをソリッドに)

  6. 採点基準の明確化(5番と組み合わせると◎)

特にアウトプットの自己改善は、とても実用的で、早速使ってみて、出力結果がどんどんよくなっていく様を見ると、人間のアイディア出しって何なんだろうと思えてきました。Chat GPTを使ってはみたけれど、なんだか出てくる結果がいまいちだな~と感じる方は、この部分だけでも読む価値があると思います。即効性あります。

ただし、いい出力結果を出すにはChat GPT Plus(有料版:$20/month)が必須だと思います。Chat GPT 4.0と、3.5だと明らかに出力結果の質に違いを感じています。

超優秀かつ文句を一切言わない秘書が雇えると思えば、$20は高コスパな気がします。

気付き

書籍を読んで気付いたのは、生成AIの導入においては、当然ながらただ導入すれば結果が出るというものではないということ。意義のデザインと意味のデザインをしたうえで、進める必要があります。

経理DXへの活かし方

経理DX課長として、生成AIがどういう領域に使えるのか、書籍には特に書いてませんが、考えてみました。

  1. 自動化と効率化: まず、経理業務における繰り返し行われる作業や時間がかかるプロセスを特定します。例えば、請求書データの自動マッチング処理、経費管理などがあります。これらの作業に生成AIを導入することで、業務の自動化と効率化を図ることができると思われます。

  2. データ分析と予測: 生成AIを活用して、過去の経理データからトレンドを分析し、将来の費用発生、利益、キャッシュフロー等を予測します。これにより、より精度の高い財務計画を立てることが可能になります。

  3. コンプライアンスとリスク管理: AIを用いて、経理業務におけるコンプライアンス遵守を支援し、リスク管理します。生成AIは、ルール変更の監視や不正検出などにも利用できます。

  4. スタッフのスキルアップと役割の再定義: 生成AIが経理業務の伴走者となり、経理ナレッジを元に経理処理をアドバイスする役割を担う。経理担当者は不明点があれば生成AIとともに経理処理を考え、経理業務をスムーズに行う。経理スタッフは従来の単純作業から解放され、より戦略的な業務に集中できるようになります。

    これらの可能性はあるものの、ベネフィットに対するコストパフォーマンスがあるのか、という視点を天秤にかけなければなりません。あるいは、コストパフォーマンス以外の観点(例えばガバナンス向上)を併せて考える必要があると思います。

まとめ

『生成AI時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方』から得た知見を活かし、経理DXにおける生成AIの導入を進めることは、業務効率化と生産性向上に大きく貢献します。

技術の進化に合わせて、組織全体のマインドセットも更新し、持続可能な成長を実現するための基盤を築いていく必要があります。この本を読んで、改めて生成AIの経理領域への活用可能性を探求していきたいと思いました。

巻末には生成AIの情報キャッチアップのために有用なニュースレターが複数紹介されていて、さっそく登録してみました。すべて英語のニュースレターしかないのは、そういうものなんでしょうね(日本語の情報はマイナーで、遅いということ)

Ben's Bites (beehiiv.com)

今回もお読みいただき、ありがとうございました。


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