束本くん02

真実はジャンクフードではない 11/5(月)の日記

真実とはいつもつまらないものなのだな、と思う。「食事はバランスよく」とか「あいさつをしましょう」とか。本当に大切で、ここにこそ本質がある、というものは往々にして「あたりまえ」だし「おもしろくない」。

でも世の中でウケるものは極端な思想だ。「りんごだけ食べよう」「炭水化物は抜こう」とか。わかりやすくシンプルで、かつ「濃い」ものは届きやすい。いわば思想もジャンクフードのほうが遠くに届いてしまったりする。

編集してて難しいのはこのへんの塩梅。もちろん真実は届けたいけれど、それを真正面から届けようとすると、どうしてもスルーされがち。そこをあの手この手で届けることが編集者の役割なのだけれど。

でも、そこにまったくウソが混ざっていないかというと自信はない。というか、嘘から出た真じゃないけど、トロイの木馬のごとく、入り口の演出は許してよってとこがある。うーん、このへんはなかなか答えが出ないよなあと思っているところ。

だからこそ、そのへんをわかったうえである種「芸者」になって真実を伝えようとしてくれている人は頭が下がる。なかなか勇気のいることだと思う。

……なんてことを考えてる夜。今日は朝走って、東急エージェンシーで青木真也さんのラスト取材。めちゃめちゃ示唆に富んだおもしろい本になりそうで、編集が楽しみ。ここに真実が詰まってるので、ぜひ読んでほしい。

夜は新宿でサンマーク出版の淡路くんと、精神科医の星野概念さんと会食。これまたおもしろい話が聞けた。

いやー、ほんと、ライティング・編集の仕事はおもしろい。こんな「役得」がある仕事もそうそうないなと思う。ある日は今をときめく経営者にみっちり話を聞き、ある日はトップのクリエイティブディレクターと話をし、ある日は普通に生きてたら接点がないであろう格闘家に話を聞き、ある日は精神科医に話を聞きーー。こんなおもしろい日々を過ごさせてもらってるからこそ、その美味しいところをギュッと凝縮して多くの人に味わってもらいたいなと思う。

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