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売りたいならパッケージに「成分」と「効能」を明記せよ

 売れる本をつくるときに大切なのは、その「顔」である「表紙(カバー)」をどうするか、です。ブックデザインはもちろん、タイトルや帯のコピーをどう魅力的なものにするか。多くの編集者が頭を悩ませるところです。

 表紙(カバー)で伝えるべきことは大きく2つです。

 ひとつは「何が書いてあるのか」。当たり前ですが「この本には何が書いてあるのか」がわからないとお客さんは安心して買えません。「マッキンゼーのコンサルタントが教える英語の本」とか「注目の起業家が語るこれからの働き方」とか。「ようするにこれ!」というものが1秒でわかることが重要です。

 そしてもうひとつ。忘れがちなのが「何の役に立つか」です。本は著者の言いたいことを発信するものですが、一方で、それがお客さん、読者にとってどういう役に立つのかが置いてけぼりになっているものも案外多いのです。

 人がお金を出すのはどういうときか? それは「これは自分の役に立つ!」と思ったときでしょう。「この本を読めば人生が変わる」「やせる」「話がうまくなる」「いい気分になれる」「お金持ちになれる」など、自分にとっての「いいこと」が明確になれば人はお金を払います。

「何が書いてあるのか」と「何の役に立つか」。それを表紙(カバー)に明記することが大切なんじゃないかというのが僕の持論です。

例)自分の担当作の例で恐縮ですが、こういうことです。↓

 ……で、あるとき、これ、何かに似ているなあと思いました。

 「薬」です。

 薬のパッケージにはかならず成分と効能が書かれています。

「何が書いてあるのか」=「成分」
「何の役に立つか」=「効能」

 そうか、本は薬なのか!と思いました。

 手元にあった胃薬を見てみると、

 はっきり「胃もたれ・食べすぎに効く」という「効能」が書いてあります。パッケージの裏には「テプレノン、ソウジュツ乾燥エキス」などの「成分」が明記されていました。

 アリナミンには「疲労の回復・予防に」という「効能」が明記してあります。成分は「フルスルチアミン配合」だそうです。なんかよくわからないけどスゴそうです。

 何が入っているのか、そして、それが何の役に立つのか。本も、薬も、売れるものにはこの2要素がきちんと明記されているのです。


「クスリ系」コンテンツが売れる時代

 ついでなので、もうちょっと話を進めます。

 ひと昔前まで、本は暇なときに読むものでした。「ちょっと時間があるからエッセイでも読もう」「通勤時間にやることがないからマンガでも読もう」という具合です。

 しかし最近、人は暇なときに本を読みません。暇なときにやることと言えばLINE、メッセンジャー、無料ゲーム、ツイッター、インスタあたりでしょうか。暇つぶしはぜんぶスマホにとられてしまいました

 じゃあ、本は全滅なのか、というとそうではありません。それでも売れる本というのがあります。それが「クスリ系」です。(薬をカタカナで書いたら危ない感じになってしまいましたが気にしないでください。)

 クスリ系、つまり、「何かの役に立つ」ものです。健康本、ビジネス書、自己啓発書、お金に関する本、実用書などは出版不況と言われる今でもヒット作は次々に出ています。

 小説やマンガはどうでしょうか? 実は、小説やマンガにもクスリ系があります。エンターテイメントの顔をしているクスリ系です。たとえば『嫌われる勇気』や『君たちはどう生きるか』もクスリ系でしょう。読めば人間関係がスッキリする、生き方が変わる、「だから買ってでも読んでみよう」とお客さんは思います。マンガだと「ドラゴン桜」や「宇宙兄弟」もクスリ要素があります。前者は勉強法だし、後者は生き方・自己啓発です。

 いま本が売れないと言われていますが、ぼくの考えでは「暇つぶしのための本」が売れていないだけで、クスリ系、つまりお役立ち系の本にお金を払う人はまだまだいるんじゃないのかなと思っています。

 暇つぶし市場は狙えないけど、お役立ち市場、問題解決市場はまだまだ需要がある。よって、これからのコンテンツには「成分」と「効能」を明記するといいんじゃないか。少なくともこういう意識があれば大ハズシはしないんじゃないかなと思うのです。

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竹村俊助/編集者

株式会社WORDS代表取締役。『メモの魔力』(前田裕二)『実験思考』(光本勇介)『段取りの教科書』(水野学)『ぼくらの仮説が世界をつくる』(佐渡島庸平)など書籍の編集・執筆。「週刊文春」「ハフポスト」などでも執筆。SNS時代の「伝わる文章」の探求をしています。ポテトサラダが好き。

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