ていくすりー

バーテンダーとしての人生を選び、幾星霜。日常を小噺に換えてエッセイ、掌編小説などを書き…

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バーテンダーとしての人生を選び、幾星霜。日常を小噺に換えてエッセイ、掌編小説などを書き綴っております。お題/コンテストにもしばしば投稿中。

マガジン

  • 『ていくすりーの”酒場学”』

    カクテル、ボトルの覚書置き場。営業トークで使用する

  • バーテンダーが書く#お題&コンテストまとめ

    投稿した#のまとめ。

最近の記事

モダンで始めるハイランダー『イゼット・ルーツリー』のすゝめ

はじめに。 皆様、マジック・ザ・ギャザリングの"モダン"は遊んでいますでしょうか?  現代マジックにおいて、カードプールが広くて使われているカードの種類が少ないレガシーと、プールが狭く使われているカードが多いパイオニアの間にあるモダンは、個人的に最もエキサイティングな1v1フォーマットだと思っております。  今まで統率者戦しかプレイしていなかった自分にとっては構築や対戦様式に慣れるまで1年ほどかかってしまいましたが、今回は自分が愛して止まないデッキの話を書いていきます。

    • Lv5~Lv6統率者デッキ─『運命の炎、ユースリ』

      はじめに。 統率者戦はとても楽しいフォーマットです。自己表現と勝ちへの執念の度合いを自分自身で決めることが出来、それに合致した知人友人と誘い合わせゲームをプレイ出来ている時は何よりも幸せです。  公式が推しているレベル5,6帯では様々な統率者を見る事が出来、かつそれらにマッチしたカード群も多く体験することが可能です。レベル7以上の3ターン目にゲームが終了するようなパリっとした環境も面白いですが、ターン数が伸びやすいから故に成せるコンボも多くありますので、僕自身はこのレベル帯

      • 「勝ち組たちの一夜」─#呑みながら書きました

        「勝ったな、と思った事はあるか?」という僕の問いに対して、我が友は「それはどういう意味なのか」と、どうにもピンときていない様子であった。 「キミは随分前に起業して、社員がいて、結婚していて子供がいて、同じような歳の僕よりも収入が3倍くらい違っていて。どう見ても成功者なのだと感じるワケだけれど。勝ち組になったなって思うた事はあるか?って意味だよ」 「相変わらずシニカルだねぇ。嫌いじゃないけど」  彼は自分のグラスに口を付けながら軽く笑った。 「けっこう、真剣に質問してい

        • 「イヤイヤ独り酒」─#雨の日をたのしく

           雨はかねがね好きである。休日の昼過ぎに目を覚ましてカーテンを開けた時、シトシトと音が強くなった気がしてマンションのベランダから見えるドヨンとした空は愛おしい。 「あー、なんでせっかくの休みだっていうのにこんな天気なんだよー」  全く感情の乗っていない捨て台詞をオトコ一人暮らしのタコ部屋へ吐いてみたりする。軽くシャワーをして身体を温めた後、髪も濡れたままですかさず冷蔵庫よりビールを取り出しプシュリ……。 「どっか行く気力も雨のせいで湧かなくなったじゃないかー」  今度

        モダンで始めるハイランダー『イゼット・ルーツリー』のすゝめ

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          10本

        記事

          「初めてのオンナ達」─♯青春と人生の交差点

           生まれて初めて女性誌を買った。24歳の秋のコトだ。  ファッション系というよりは"オンナ"という生き物の生態を知りたくて、一般女性は何を考えて生きているのか? といった特集やそんなアンケートが載っている雑誌を積極的に探して買い漁っていた。  その期間で何かを得られたかは自分でも解らない。ただただその頃の自分自身をどんな方向からでも良いから納得させてくれる文章や言葉を求めていただけだった気がしている。 「貴方がいなくても、もう大丈夫になりました」  彼女に浮気をされ、

          「初めてのオンナ達」─♯青春と人生の交差点

          「蒼い救世酒」─バーテンダーの視(め)

           突然ではあるが、4ヶ月で7キロの減量に成功した。キッカケは自身の仕事場へ久しぶりに顔を見せてくれた古い常連さんの「丸くなったねぇ」という一言だった。 「え、そうですか?」 「うん。良い意味で貫禄がついたよ。男の30代はそれくらいじゃなきゃぁな」  僕の返した言葉には、明らかな「ついに身近な方々以外にバレてしまったかぁ……」が内包されていたのだが、それも見破ったのか実に紳士的なフォローまでしていただく始末。 「これだけ長い営業時間で夜働いてて、いつも元気な笑顔でいられ

          「蒼い救世酒」─バーテンダーの視(め)

          「居酒屋ディスタンス」─バーテンダーの視(め)

           慣れない新しい職場の、慣れない事務仕事を終えて、特にバタバタと動き回ったワケでも無いのに、ヘトヘトになりながら最寄り駅の通勤路にしている繁華街を歩いていた。  世間は今まさに感染症の脅威が落ち着き出してきているが、まだまだ元の賑やかさを取り戻すには至らない。  いつもいる強面でとても客引きの出来なそうな立ちんぼお兄さんや、マスクを付けながらもタイトな身体のラインがしっかりと出るような制服を着た猫背のお姉さんも、さすがにそういうお店が休みになっているのか見かけない。 「

          「居酒屋ディスタンス」─バーテンダーの視(め)

          「竹に花が咲くまでに」─#cakesコンテスト2020

           秋葉原へ降り立つと、駅前の広場では人だかり。なんとも可愛らしい格好をした女性が唄い、踊っている。それを囲むように立つ各々方は彼女と同じように踊る人もいて、じっとその様子を観察する人もいて、あぁこの街は変わっていないんだなぁと思わせる。 「お久しぶりですねぇ」  声の聞こえる方に目をやれば、ポッと懐かしい顔が1つ。13の頃より知った間柄。フッと男は胸を撫で下ろす。 「随分と、時間が経ったように感じますな」  歳の同じ男が集まれば、仕事話にも花が咲く。片方はズイと先を行

          「竹に花が咲くまでに」─#cakesコンテスト2020

          「本日締め切り。皆様の”#バーテンダーとの思い出”を聞かせてください!非公式の投稿コンテストの告知」

           ふと思いつき、つぶやいてみれば自身が予想していた以上の皆々様より反応をいただけた今回の非公式コンテスト。企画しておきながらも転職準備などと重なり自らがあまり参加する事が出来ずに不甲斐ない進行となってしまったが1ヵ月なんて早いモノでもう投稿の締め切り日。  フィクション、ノンフィクションを問わず、小説、エッセイなど多くの”思い出”に触れる事が出来てとても嬉しくなった。現職のバーテンダーとしても感謝しかない。  あと7時間……。  また全ての記事をじっくりと読み返せると思

          「本日締め切り。皆様の”#バーテンダーとの思い出”を聞かせてください!非公式の投稿コンテストの告知」

          「断酒・だんしゅ・レボリューション2nd.STAGE」

          「2週間ぶりのビールは美味い……ッ!」  先月からお酒を断っていた我が友が、ついにその禁を解いた。あらあら、随分と短い期間だったのねと突っついてみるけれど、自分がじゃあやってみなさいよと言われたら、きっと3日も乗り越えられないであろう。  しかし平日に惰性でアルコールを摂取するのはそろそろ時間もお金ももったいないと最近は感じていて、そして何よりも”最初の一口”が美味しいお酒。断酒は無理でも減酒くらいしてみても良いのかもしれない。  フィットネス関係の知人曰く、 「この

          「断酒・だんしゅ・レボリューション2nd.STAGE」

          「Classic:その奇跡の名をブルームーン」

          『ブルームーン』というカクテルは、映像や文字の作品にたびたび登場し、その物語にツンとしたアクセントを与えてくれるクラシック・カクテルの1つである。  現実世界では、ひと月に2回の満月が空に昇る現象の事を指すが、これが起きるのは数年に1度。ここ最近でようやく観れた人も多いのではないだろうか。  随分と聞かなくなって久しいが、”カクテル言葉”というオトナのお遊びが流行っていた時代があり、紳士淑女の社交場で密やかに、しかし確実に語り草として広まっていた。「once in a b

          「Classic:その奇跡の名をブルームーン」

          「酔客カッパ物語」─#ごちそうさまグランプリ

          「あんな、兄さんに食べて貰いたいモノがあんねん」 「ほほう。何でしょうか」  もう10年近く前の話だ。僕の立つカウンターはビストロのウェイティングバー。この方はここではお酒しか飲まない。大体、赤ワインを1本とウイスキーをダブルで2杯。それで毎週欠かさず3日ほど通ってくれているのだから、ありがたいお客様には違いない。しかしたまにはお勧めの煮込み料理くらい口にしてくれたらいいのにと思いながら、こちらはせっせとお酒を給仕する。 「最近この近所に出来た寿司屋でな、そこの”カッパ

          「酔客カッパ物語」─#ごちそうさまグランプリ

          「断酒・だんしゅ・レボリューション」

           公私共に付き合いのある友人より突然、「酒をしばらく止めるから」と宣言を受けた。なんでも12月の忘年会から続き、1月中も飲んで、飲ませて、飲み返して、不思議なコトに飲みが飲みを呼び続けてしまい、今に至ったと言う。  それだけ周りから必要とされているのであれば、それはそれで幸せなんじゃないかしらと無粋な思いもあったが、本人からすると仕事と飲みが繰り返す内に体調も元より、お財布の中も寒くなってしまったと。それじゃあ仕方がない。  その次の日。彼女がBARへ来店する。 「あら

          「断酒・だんしゅ・レボリューション」

          「音を視る魔法使い達」─#バーテンダーとの思い出

           現在主催しているコンテストです。ぜひ多くの方に読んでもらい、書いてもらい、一緒に盛り上がってもらえたらなと思います! ------------------------------------------------------------  営業の片付けを一通り終え、一息。その日は珍しく明日分の仕込みもなくダラダラしていた。  初夏を迎えるという頃で、軽い暑さも帰路へ着く気持ちを遠退かせる。まかないのパスタを食べ終わり、休憩室に居座って漫画を1つ読んでいた。フレンチの

          「音を視る魔法使い達」─#バーテンダーとの思い出

          みなさんの「#バーテンダーとの思い出」を聞かせてください!投稿コンテスト開催します。【非公式】

           ”BARとバーテンダーを伝えるモノ書き”に、いつもお付き合いありがとうございます。はじめましての方はこのnoteへ興味を持っていただきまして、とても嬉しく思います。  バーテンダー兼料理人兼モノ書きの、ていくすりーと申します。 <「#バーテンダーとの思い出」を語る非公式コンテスト開催 > かねてよりここnoteではお酒、BAR、そしてバーテンダーにスポットを当てた記事がとても少ないと感じており、グルメのタグで検索しても1日に数件しか増えていないという状態でした。  し

          みなさんの「#バーテンダーとの思い出」を聞かせてください!投稿コンテスト開催します。【非公式】

          「Others:アフターディナーの過ごし方」─ていくすりーの酒場学

           飲み会もちろん、デートや接待に欠かせない、アフターディナータイム。せっかく良いリストランテにて美味しい食事を取ったならば、その余韻をもっと大きな喜びへと変えたいもの。  ただ人間は面白く、基本的には皆時間で行動を起こすために、ガヤガヤとした二次会の場や、そもそもお店に入れなかったなどは、極力避けたいモノ。  そんな時、BARに行くとどうでしょう。  お店にも寄りますが、オーセンティックバーであれば、あまり席を沢山置かず、他のお客様との距離感が取りやすいお店作りをしてい

          「Others:アフターディナーの過ごし方」─ていくすりーの酒場学