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「2.ガラス越しで!スーパーコンピュータ「富岳」見学」と「5.体験コーナー」:理化学研究所 神戸地区 一般公開2023 R-CCS わくわく「富岳」 その01

2023年11月03日、私は理化学研究所 神戸地区(以下神戸地区) 計算科学研究センター(RIKEN Center for Computational Science:R-CCS,図01.01)を訪れ、一般客として理化学研究所 神戸地区 一般公開2023 わくわく「富岳」(以下「わくわく富岳」,[1][2])に参加した。なお、神戸地区 一般公開は、神戸医療産業都市 一般公開2023の一環でもある([3])。

図01.01.理化学研究所 神戸地区 計算科学研究センター(R-CCS)。
肖像権対策のため、モザイク処理済。

「2.ガラス越しで!スーパーコンピュータ「富岳」見学」で、ガラス越しとはいえ、私は「富岳」計算機室内の多数の計算機ラックを見ることができた(図01.02,2,[4])。私にとって、これは最高の「嬉しい誤算」であった。

図01.02.「富岳」計算機室内の多数の計算機ラック。
肖像権対策のため、モザイク処理済。

「5.体験コーナー」で、R-CCS複雑現象統一的解法研究チーム坪倉誠チームリーダー(神戸大学大学院システム情報学研究科教授)らの共同研究グループは、2020年に世界最速のスーパーコンピュータ「富岳」と「富岳」に実装を進めている超大規模熱流体解析ソフト「CUBE」を用いて、詳細かつ定量的な新型コロナウイルス感染症(COronaVirus Infectious Disease, emerged in 2019:COVID-19)の飛沫・エアロゾル拡散モデルを構築し、感染症疫学のデジタル トランスフォーメーションに初めて成功したことを、R-CCSは伝えた。2021年11月19日、本研究が、高性能並列計算を科学技術分野へ適用することに関してイノベーションの功績が最も顕著と認められた研究に与えられる米国計算機学会のゴードン・ベル賞のCOVID-19研究特別賞を受賞したことが発表された。特に飛沫やエアロゾルの飛散の様子を可視化することで、飛沫エアロゾル感染についての理解と対策の重要性を啓発し、日本のみなならず世界の人々の行動に変化をもたらしたことが評価を受けた(図01.03,2,[5][6])。

図01.03.ポスター「「京」から「富岳」へ継承した技術で新型コロナウイルス飛沫拡散シミュレーションを行い、新型コロナウイルス感染症リスク対策の視覚的啓発と感染防止ガイドラインの策定に貢献しました。」。

その一環として、R-CCSは、株式会社JSOL製VR飛沫体験シミュレータを紹介した。このシミュレータは、「富岳」による高度な科学計算技術を用いたシミュレーション結果に関して、XR(Cross Reality:仮想空間技術の総称)技術で可視化することに国内で初めて成功したものである。

これまで、「富岳」によるシミュレーション結果に関しては、二次元の画面上にて再現してきた。しかし、平面上での静的な情報をもとに、より実際的なイメージをするには限界があった。

今回、3Dグラフィックを活用してシミュレーション結果を三次元化するとともに、XR技術を用いてVR(Virtual Reality:仮想現実)コンテンツ化を実現したことによって、動的な情報によってより臨場感があり、分かりやすく“体験”することができるようになった。

この技術のトライアルとして、まずは「富岳」による飛沫シミュレーション結果をVR上で可視化し、体験できるコンテンツは開発された。ヘッドマウントを装着することで、VR上に再現したオフィス空間において、複数人で立ちながら、あるいはテーブルを囲んで着座して会話をしている状況下でどのように飛沫が飛散していくのか、具体的な状況を三次元で追体験することができる(図01.04,[7])。

図01.04.VR飛沫体験シミュレータ。

VR飛沫体験シミュレータなどのXR技術の進歩は驚嘆に値するが、それよりも「富岳」がCOVID-19から数多くの人命を守ったことが評価に値する。


参考文献

[1] 国立研究開発法人 理化学研究所 神戸事業所.“理化学研究所 一般公開 in 神戸 2023 ホームページ”.https://www.kobe.riken.jp/event/openhouse/23/#outline,(参照2024年02月24日).

[2] 国立研究開発法人 理化学研究所 神戸事業所.“わくわく「富岳」 南エリア”.理化学研究所 一般公開 in 神戸 ホームページ.R-CCS わくわく「富岳」.https://www.kobe.riken.jp/event/openhouse/23/ccs_ja.html,(参照2024年02月24日).

[3] 公益財団法人 神戸医療産業都市推進機構.“神戸医療産業都市(KBIC) 2023 一般公開 ホームページ”.https://www.fbri-kobe.org/kbic/ippankoukai/2023/,(参照2024年02月24日).

[4] 国立研究開発法人 理化学研究所 計算科学研究センター(R-CCS).“「富岳」を支える施設”.理化学研究所 計算科学研究センター(R-CCS) トップページ.「富岳」について.https://www.r-ccs.riken.jp/fugaku/facility/,(参照2024年02月25日).

[5] 国立研究開発法人 理化学研究所 計算科学研究センター(R-CCS).“室内環境におけるウイルス飛沫感染の予測とその対策(課題代表者;理化学研究所/神戸大学 坪倉 誠)”.理化学研究所 計算科学研究センター(R-CCS) トップページ.「富岳」について.「富岳」プロジェクト沿革.新型コロナウイルスの克服に向けて(2020年4月~2021年3月).実施している研究課題と成果.https://www.r-ccs.riken.jp/fugaku/history/corona/projects/tsubokura/,(参照2024年02月25日).

[6] 国立大学法人 神戸大学.“「富岳」を用いたCOVID-19の飛沫・エアロゾル拡散モデルシミュレーションが、2021年ゴードン・ベル賞COVID-19研究特別賞受賞”.神戸大学 ホームページ.お知らせ.受賞・採択.2021年11月19日.https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/award/2021_11_19_01.html,(参照2024年02月25日).

[7] 株式会社JSOL.“「富岳」のシミュレーション結果を初めてXR技術で可視化~社会課題の解決への応用を視野に~”. JSOL ホームページ.ニュース.2023年度.2023年04月10日.https://www.jsol.co.jp/release/2023/230410.html,(参照2024年02月25日).

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