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JC論:なぜ事業の対象者が小学生なのか

青少年事業の対象者が小学生ということが、よくあると思います。青少年事業自体は、JCの使命のところにも書きましたが、「青年に成長と発展の機会をあたえる(JCI Mission)」という意味で、JCの使命とも言える事業ではあります。

ではなぜ事業対象者が小学生なのでしょうか、幼稚園児や中学生や高校生、大学生ではダメなのでしょうか?事業構築の度にこの点をぜひ考え直して欲しいと思います。

小学生は事業対象者として魅力が小さい

小学生は、社会人になるまで昨今なら少なくとも6年近くかかります。社会に影響をあたえるまでにはさらに何年もかかります。たった1時間とか1日の事業では記憶には残りにくいでしょう。数日の事業であるとしても、そこで得た成長は持続するでしょうか?そこで学んだことが社会を本当に変える行動を起こせるでしょうか?議案上に書いてある建前ではなく、心からそう思っているでしょうか?

小学生から伝えてもらって親を変える、という姑息な目的もよく見ますが、本当にそんなことが起こると信じていますか?そのインパクトは持続的なものでしょうか?

たかだか数十人の小学生を変えることで、社会が変わるインパクトがあると本当に思っている人はおそらくごくわずかなのではないでしょうか。

なぜ歴史的に小学生が対象となる事業が多いのか

歴史的にJCでは小学生対象事業が多くあります。この最大の理由は、昔は30代のJCメンバーにはほとんど小学生の子どもがいたからです。これによって以下のメリットがありました。

1、会員拡大のため
昔は、小学生対象の事業をすると、その親も集まってくるので入会候補者集めに有利でした
2、昔は小学生対象のイベントが少なかった
昔は、キャンプ事業や就業体験のような体験系のイベントを開催する団体が少ない状況がありました
3、対象者集めが簡単
昔は、メンバーの子どもも含めると、対象者集めが簡単でした

しかし、現在ではメンバーの4割に子どもはおらず、小学生の子どもを持つメンバーは1割にすぎません。このことから、上記のメリットはもうほとんどないと言えます。

小学生対象事業が続く理由

ではなぜ小学生対象の事業がいまだに多いのでしょうか。
1、惰性
前から小学生対象の事業が多いので、何の疑問もなく青少年事業=小学生になっています。
2、扱いが楽
大学生や高校生ぐらいになると、メンバーとの差が小さくなるので、計画が不十分だったりすると批判される事になりますが、小学生では批判されづらい面があります。また、団体行動もさせやすいので、扱いが簡単です。
3、メンバーがやりがいを感じる
小学生ぐらいの子どもたちの笑顔は大人にとって魅力的です。社会的インパクトがあってもなくても、子どもたちの笑顔を見るだけでやりがいを感じます。
4、地域とのつながりの維持
地域によっては、お祭りなどで子どもを集めたを実施し、JCは小学生事業を実施する団体として認知されている場合があります。この場合、小学生事業を実施し続けることで、地域とのつながりを維持することができます。

小学生対象事業の問題点

小学生対象事業の最大の問題点は、メンバーの拡大につながらない→LOMの衰退につながる、ということです。前述の通り、事業を通して親を集めてメンバー拡大をすることはもはや望めません。

また、LOMが小学生対象の事業をやっていることをいくらPRしても、子供のいない入会候補者にとっては「忙しくて他人の子どもの面倒を見ている暇はない」という断り文句につながるだけでしょう。

これを見て怒りを感じている人もいるかもしれませんが、全国の衰退しつつあるLOMを見ていると、残念ながらこれが実態なんだと思います。

小学生対象事業をやるべきでない、と言っているわけではありません。背景、目的から考えて小学生を対象とするのが、本当に社会的なインパクトが大きいものなのか、LOMにどんなメリットがあるのか、ということを考える必要があるということです。

例年踏襲の小学生対象事業を続けることで、LOMがどんどん衰退する。そんなことにならないことを祈っています。


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