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JC論:なぜ青少年事業を行うのか

なぜ事業の対象者が小学生なのか」について多くの反響をいただきましたので、ではこれからの青少年事業はどこに重点を置くべきなのか、について順次書いていきたいと思います。まずは、なぜ青少年事業を行うのか、という背景部分について考えてみましょう。

なぜ青少年事業を行うのか

そもそもなぜJCで青少年事業を行うのでしょうか。青少年自体の社会に与える影響力は限られていますので、「明るい豊かな社会を築き上げる」ということ、いわゆる社会開発に直結するということは容易ではありません。あるとしたら、青少年が抱える問題や可能性を社会に訴えかけることで、社会を変えていくということです。若い世代の抱える問題や可能性は、若い世代にしかわかりません。若い世代の集まりとして、若者の力を集めるというのは重要です。

もう一つは、やはりJCの使命である、「より良い変化をもたらす力を若者に与えるために発展・成長の機会を提供すること」、つまりは人材開発・リーダー開発が青少年事業を行うべき理由となります。

若者の抱える問題や可能性を発掘し若者の力を集めて社会開発を行う、若者に欠けている能力を補う人材開発を行う、この辺りが青少年事業を行う背景部分となりそうです。

データに基づく背景を作ること

背景を考える前に、注意すべきことが、データに基づく背景を作ることです。若者を対象とする場合、対象とする「若者」は年々変わっています。10年前の若者と、今の若者は同じではありません。10年前の考え方に基づいて10年前と変わらない背景を掲げていたら全く外れたものになるでしょう。大切なメンバーの時間とお金を使う事業です。必ずデータにあたってください。

ファクトフルネスという本が一時期話題になりました。この本はJCの事業を考えるときにぜひ一読をお勧めしたい本です。多くの事業の背景が、データに基づくものではなく、思い込みに基づいて作られています。どんな事業であれ、「必ず」データを探してみてください。きっと見つかるはずです。

例えば、今の若者には、感謝する心や道徳心が足りないと思いますか?
データはこう語っています。国民性調査の道徳心を聞く質問によれば1998年と2013年では、恩返しは43%から58%に、親孝行は70%から75%に上昇しています。今の若者の方が昔より道徳心は高い結果が出ているのです。学校の特別の授業に道徳が入ったのでこの傾向はさらに高まると予想されています。もはやJCではわざわざ手がける事業の背景とはなり得ません。

いじめはどの年代で多いでしょうか?
10年ぐらい前までは、中学1年生が最も多い世代でした。今は小学校低学年が最も多い世代であるという調査結果(2017)が出ています。いじめが現に起こっている世代に対策を打っても手遅れですから、その前の世代に教育を行う必要があります。その意味では、昔は小学校高学年を対象にした事業は有効でした。しかし、今いじめ対策を行う対象となる年齢は、小学校に上がる前の幼稚園児である、ということになります。

若者に足りない能力はなんでしょうか?
企業が学生に求める能力の調査(2018)によれば、主体性、実行力、課題解決力、チームワーク、社会性、といった能力のようです。一方で日本の大学生は世界一優秀(2015)、というデータもあります。つまり、日本の大学生は、いわゆる「お勉強」はできるけど、企業が求めている能力はあまり身につけていない、ということが言えるのでしょう。となると大学生・高校生あたりはJCの攻め所になりそうです。

以上のようなことは、少し調べれば簡単にわかることです。例年踏襲で背景と対象者を選ぶのではなく、データを調べて適切な対象者を選んでいく姿勢が重要なのです。

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