京都会議式典会頭スピーチ原稿

2019年1月20日 京都会議 式典 @ 京都国際会館
公益社団法人日本青年会議所 2019年度 会頭 鎌田長明

1 、序

来賓の皆さま。
シニアの皆さま。
そして全国のメンバーの皆さん
ようこそ、この京都会議の式典にお越しいただきました。

来賓、シニアの皆様、平素よりご支援大変ありがとうございます。
現役メンバーの皆さんと、2019年共に活動できることに感謝したいと思います。

では、メンバーの皆さん、あなたは、なぜ、今日ここに来ているのでしょうか。
多分、みなさんも、私と同じように、家族を離れて、会社を離れて、地域を離れて、来ているんだと思います。
では、なぜ、ここに来ているのでしょうか?

「より良くなりたい」、 そう思って、わたしは今日ここに立っています。

私自身が、私の家族が、私の会社が、私の地域が、そして愛すべきこの国日本が
より良くなってほしい。
そう願っています。
そして、どうか、私に関わる全ての人々が幸せであってほしい、そう祈っています。
だから、今日も愛すべき地域を飛び出して、ここに来ました。

多分、あなたも、多かれ少なかれ、そんな思いを持ってここにいるんじゃないでしょうか。
だから、これからしばらくの間、今日ここにきているあなたと、私たち自身の未来をより良くするべく、考えていきたいと思います。

 2、なぜ2019年度の運動をやるのか

では、何をより良くしていきたいですか?
私が一番はじめに良くしていきたいこと、それは私の収入です。
あなたも実際そうじゃないですか?
でも、あなたの手取り収入、最近増えていますか?
景気は悪くはありませんから、額面自体は増えたという人もそこそこいらっしゃるかもしれません。
でも、思ったより、手取り収入は増えてないんじゃないでしょうか。

それもそのはず、ある試算によればここ15年間で、年収が500万円なら35万円、年収が700万であれば、50万円も手取りは減っているんです。
これは、社会保険料が上がり、税金の各種控除がなくなった結果なんですが
もちろん、それらは、日本社会を維持するために、必要な負担です。
私たちは社会保険料や税金を払っていることに、胸を張っていいと思います。
私たちが社会を支えているんです。
でも、この負担はこれからも、増えてくるでしょう。高齢化が進むんだから。

じゃあどうすればいいのか、青年経済人なら、もっと稼げばいいんです。そうするしかない。
でも、稼ぐのも簡単な時代じゃない。

地域によっては、2040年までに3割も人口が減ると予測されています。人口が減るということは、仕事も減るわけで、職業によってはこれから20年で3割以上も売り上げが減ってくるんです。あなたの会社、3割売り上げへって、利益でますか?結構厳しいですよね。

じゃあやっぱり、今の内に商売広げていかなきゃならない。でも商売広げるのも簡単じゃない。
だって、一人じゃ商売広げられないですよね。やっぱり一緒にやってくれる人材が必要です。

でも、今の日本の求人倍率は1.6、人を雇うのも、簡単じゃないんです。それはもうあなたも感じてますよね。外国人が入ってくるって言ったって、その人と新ビジネス。始められますか?

そう。少子化が一番の問題なんです。

でもこれも簡単に克服できる問題じゃぁない。
なんと、2020年、来年ですよ。来年には、女性の2人に1人は、50歳以上になるんです。少子化対策って言ったって、子供を産み育てる力も弱まっているんです。

じゃあもう私たちはどうすればいいのか?

このままジリジリ経済的に悪くなって、夢も希望もない未来しかないのか?
私たちの社会は持続不能なのか?
そんなの、許せるわけないじゃないですか。

だからこそ、私は、2019年度、あなたに、私たちの未来を変える3つの「発想の転換」を提案したいと思います。

私たちの力で、現状をすぐに変えることは簡単ではありません。でも、JCの最大の強みは、若いことです。今年卒業される方でも、あと30年は仕事を続けなければならない時代です。30年先のために、今行動を始めれば、未来は必ず変えられます。30年後、後悔しないためにも、今発想の転換を行なって、行動をはじめようじゃないですか。

3 発想の転換1

では、未来を変える1つ目の「発想の転換」、それは、経済を良くして、社会を良くする、という考え方からの転換です。
戦後以来、日本では経済を発展させて、社会を良くするという考え方を取ってきました。
そして、実際そうなった。
日本は高度経済成長を果たし、社会も良くなった。それは疑いようがない。
しかし、もうこれからの時代、黙ってて経済が発展する時代ではありません。
じゃあどうすればいいのか、この発想をひっくり返しましょう。
「社会を良くして、経済を発展させる」
これが1つ目の発想の転換です。

これからの時代、よい社会があるところに、人も、お金も、集まってきます。
例えば、上海の方が日本よりいい給料がもらえる時代が来ています。ではなぜ中国の人が日本に来るのか?そういう人は皆口を揃えて言います。それは、日本が中国より、よい社会だからです。
もはやアメリカや中国に経済的に勝つことはできないかもしれません、でも、それらの国より日本がよい社会を作ることは、可能なんです。
そして、よい社会を築くという点では、日本のどんな地域にも、可能性はあります。
「地域社会を良くすれば、地域経済も良くなる」のです

しかし、よい経済、ということはGDPで示すことができますが、よい社会ってどういうことなんでしょうか?
私たちは、何を目指して社会を良くしていけばいいのでしょうか?

その世界に通用する社会を良くするための目標、それが、国連の定めた持続的な開発目標「SDGs」なのです。
SDGsという目標を目指して、社会を良くしていけば、それは世界に通用します。そして、よい社会は世界中から人とお金を引き寄せ、私たちの経済はもっと良くなるのです。

そして、私は、この場で、あなたにに一つお約束をしたいと思います。
2019年、青年会議所は、日本で最も、SDGsを推進する民間団体になります。

なぜ、そんなことが言えるのか、それは、青年会議所が全国で行なっている、運動や活動の多くが、すでに、SDGsに関連できるものであるからです。
これまでやっている運動、これからやろうとしている事業、それをSDGsと結びつけ、強力に推進するだけで、青年会議所は、日本津々浦々で最もSDGsを推進する団体となるのです。

そして、2019年度、日本政府は東京オリンピックパラリンピック、そして大阪万博と絡めて、SDGsを推進していきます。今年中には、SDGs、誰でも知っているキーワードになるでしょう。その時、日本中で、最も、SDGsを推進している団体に、青年会議所はなるのです。
そうすれば、あなたのLOMの事業も、拡大も、もっとやりやすくなり、私たちの力はもっと大きくなるんです!

そして、昨日、この京都会議の総会において、SDGs推進宣言が全国の理事長の全会一致の賛成で採択されました。
さらに、政府のSDGsを統括する外務省と青年会議所はタイアップ宣言を行いました。
私たちはすでに、日本一のSDGS推進団体としての第一歩を踏み出した訳です。
そして、SDGsを目指すことは、青年会議所だけでなく、あなたの会社をもよくすることができます。

さああなたも、社会を良くして、経済を発展させ、私たちの未来を明るく、豊かなものにするために、SDGs、推進していこうじゃないですか。

これが、1つ目の発想の転換です。

4 発想の転換2

2つ目の「発想の転換」それは、ビジネスの話はJCではしない、という発想からの転換です。
これまで、JCではビジネスの話はダメだ、とされていました。なぜか、それは、メンバー同士て物を売ったり、お金を集めたりしようとした人がいるからです。
確かにそれは褒められたことではありません。

一方で、私たちが今やらなければならないことはなんでしょうか。
それは自分の、あなたのビジネスを発展させることです。
青年経済人ができる最高の社会貢献はビジネスを通じて価値を生み出すことに他なりません。

ではなぜ、今、JCでビジネスの発展をうたうのか、それは、普通に働いていては得られない、知識や、ネットワークや、経験をJCでは得ることができるからです。
これこそが、JCにおけるビジネスの機会です。

あなたも、JCで、新しいビジネスやビジネスを改善するヒント、ビジネスを広げるネットワーク、ビジネスを回すスキル、得たいと思いませんか?
そして、JCには、政策や技術の最新情報や、世界とのネットワーク、そして、経験を積む場があります。

2018年には、日本JCの定款に、「ビジネスの機会」が明記されました。
もうビジネスの機会をJCで得ることに抵抗を感じる必要はありません。
発想を転換し、JCでビジネスの機会、掴んでいきましょう!
そしてさらに、地域のあるべき経済ビジョン、ともに描いていこうではありませんか!
あなたのビジネスがよくなることから、地域は、日本はよくなっていくのです。

これが二つ目の発想の転換です。

5 発想の転換3

3つ目の「発想の転換」それは、少子化対策から子供が増える社会、多子社会創造への転換です。
もちろん、子供が増える社会という言葉に抵抗を持つ人がいることも理解できます。
子供を産むかどうかは、個人の自由であり、自由が脅かされるように思うからです。
でも、そんな人でも、現在の社会の最大の問題が少子化であることは理解していると思います。
若者が少なくなる中で、ただの少子化対策では足りないんです。、もっと子供が増える社会に変えていかなければならない。
単なる嫌悪感で、子供が増える社会、多子社会の議論を止めるのは、高い社会保障を望みながら、税金払いたくないというのと同じように無責任なことです。

JCメンバーでさえ、希望出生率は3ないんです。
あなたは子供を産み育てることを諦めてはいませんか?
私たち自身が、喜んで、より多く子供を産み育てたくなる社会を作ろうじゃないですか?
たとえ自分で子供を持つ気はなくても、子供が多い社会は、あなたの将来を、きっと幸せにするはずです。
私たち青年が、多子社会を唱えることは、大きな社会的インパクトがあります。
それは、私たちが子供を産み育てられる世代だからです。上の世代には、なかなか言えないし、いいアイデアもない。
今年は、統一地方選挙も、参議院選挙もあります。
各地域で、子供を産み育てたくなる社会「多子社会」を実現する政策、候補者に聞いてみようじゃないですか。

財源だって問題にはなりません。
子供が増えれば、20年も経てば、その子供が税金を払うようになります。子供に税金を投入しても必ず、税金として将来帰ってくるんです。
経済的な問題の根本も多くは少子化であるならば、多子社会を作ることこそが、最も可能性の高い、日本の成長戦略なのです。
そして、今育ちつつある子供達のなかから、とんがった人材、異能人材を私たちの目線で発掘していきましょう。これも、私たち青年しか、できないことです。

6 組織改革
以上、社会を良くして、経済を発展させる。JCでビジネスの機会を得よう、多子社会創造という3つの発想の転換を提案させていただきました。
そして、これらの発想の転換をみなさんと共有するために、各グループ、地区、ブロックで運動を進めてまいります。

でも、言うまでもなく、発想の転換だけでは、不十分です。
そして、青年会議所が最も力を持つのは、一人一人のメンバーが行動を始めた時です。

でも、そんな青年会議所にも、今持続不能になりつつあります。
会員数の減少は、数字の上では年間3%ほどですが、会員の平均年齢が上がり、三十人以上のLOMが減るなど、中身は急激に悪化してきています。
正直な話、このままでは、10年後に、メンバー数が1万人を切り、LOM数が半分になっていても、全くおかしくないと私は思います。
いくらいいことをやっていても、拡大し、メンバーの年齢構成を変えなければ、もうJCは持続不能なのです。

じゃあどうすればいいのか、JCは今、若者が多く入ってくる組織に変わる必要があるのです。
JCに若者が惹きつけられる理由、それはいつの時代もどの場所でも同じです。
「おもしろい」と思うからです。

ではなぜおもしろいと思うのか、それは、それまでの社会生活では得られなかった変化が自分に生まれるから、成長を感じられるからです。
だから、若いメンバーの成長なくして、会員拡大はあり得ません。
会員拡大するなら、若いメンバーの成長を重視してください。
いくら拡大しても、若いメンバーの成長を考えない、無責任な団体になってはいけません。
そして、JCという組織の最大の社会貢献は、一人でも多くの若者を育成すること、ひいてはあなた自信が成長し、より良くなることなのです。

議案や事業や懇親会に明け暮れる前に、どうすれば一人一人のメンバーが成長するかを考えてみてください。
あなたのLOMでは、若いメンバーが参加しやすい仕組みになっていますか?
おかしな伝統に縛られて、時間とやる気を浪費していませんか?
私たちはLOM自体を変えていく必要があるんです。

それは、理事長だけの仕事ではありません。自分がどう成長したいのか、親しいメンバーにどう成長してほしいのか、まだJCに入会していない若者に、どう成長してほしいのか。

JCは学校ではありません。
先生などいません。全てはひとりひとりそれぞれです。
自分自身がどう成長したいのか?
あなたが考えはじめることから、全ては始まるんです。
さあ一緒にJCを変えていこうじゃないですか!

7 終わりにーやりましょう

話を終える前に、一つ私の個人的な話をしましょう。
私の今経営する会社は父から引き継いだ会社ですが、以前非常に厳しい経営状況になったことがあります。
そのとき、私の父の青年会議所の友人が言っていたことがあります、
それは、あなたのお父さんは会社経営には一度失敗しかもしれないが、会社もお父さんも社会に必要な存在だから、行動し続ける限り、心配することはない。あなたも社会から必要とされる人間になりなさい。ということでした。
それから20年が経ち、いま、会社は再生し、父は地域のために県会議員をしています。
父や会社の社員が社会のために行った行動は未来を変えたのです。

それは、今生きる私たちに取っても同じです。
私たちがより良くなろうと社会のために行動を起こす時、未来はきっと変えられます。

あなたが、行動を起こすかどうかにかかっているんです。
もちろん、一人でできることは限られています。でも、二人、三人、五人も同志が集まれば、地域は変えられます。
そんな例は、みなさんの地域にもたくさんあるでしょう?
そしてその仲間がいるのが、青年会議所なのです。

どんな困難があろうとも、私たちが挑戦をやめない限り、私たちの思い描く、明るい豊かな社会は必ず実現できます。
子供達の笑顔が溢れ、若者が活気に満ち、弱者が希望を失わず、老後に安らぎがあり、公平で・公正な社会、
誰もが挑戦できる幸せな国日本は、実現することができます。
私たちが、いくつになっても、朝希望と共に目覚め、感謝と共に眠る、そんな人生を送ることは、必ずできます。
だから、2019年、今日ここから始めましょう。

そう!行動を始めましょう
やりましょう!あなたも変われます。
やりましょう!ネットワークをもっと広げましょう。
やりましょう!人材を増やしましょう。
やりましょう!面白いビジネスを作りましょう!
やりましょう!地域を変えましょう。
やりましょう!もっと、ワクワクする日本の未来を作りましょう。

心踊る未来は、私たちが共に行動するならば必ず実現できます
さあ、やりましょう、やりましょう、やりましょう!

一年間どうぞよろしくお願いします。
ありがとうございました。

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