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YARDSについてのあれこれ。 (前編)

Yu-Gi-Oh! AR Dueling System − YARDS。このシステムをいつオープンなものにするかはまだ未定ですが、興味を持ってくださっている方々のために、どういう経緯で作ったのか・どうやって作ったのかといったことを、2回に分けてご紹介したいと思います。

前編となる本稿では、開発の経緯からこのシステムの立ち位置、そしてこのシステムへの思いを綴っていこうと思います。

やや長文になりますが、どうぞお付き合いください。

経緯

元々は、最近トレンドなARやVRといったものに触れてみたいという純粋な興味から始まりました。なにか簡単なゲームでも作ってみたら大凡の仕組みとかが分かるかなーくらいの気持ちで、遊戯王のシステムを作るなんて考えてもいませんでした。

ただ、作るからには誰かに見てもらいたい、という気持ちもあり、何かしらの機会がないか考えてみました。その結果、長期休暇にカードゲームやボードゲームで遊ぶ友人たちがいるので、まずはその人たちを驚かせよう!ということにしました。

初めは簡単なボードゲームでも作ろうかと思っていたのですが、ある時「ハッ!! 遊戯王のソリッドビジョンみたいなものを作ろう!」とふと思い立ち、作り始めることにしました。

それを思い立ったのが2017年8月1日。次集まる機会はお盆休みだったので、もちろん2週間では到底間に合いませんでしたが(笑)、その後合間を縫いながら1年かけ、ようやく最初の投稿まで漕ぎ着けました。

コンセプト

作ることを決めたからには、どういうものを作るのか考えなければいけません。ということで、まずは似た事例を探してみました。

1つは、YouTubeにアップされているようなヘッドマウントディスプレイを使ったVR決闘。今ではVRChatを使って対戦するような試みもされているようです。
しかし、僕が作りたいものはこれではありませんでした。なぜかというと、せっかく今まで集めていたカードを使わず、データだけで決闘していたからです。たしかにアニメでもVRAINSでは完全にカードのデータだけで決闘するようになりましたが、違うそうじゃない。今まで苦労して集めたカードを使えなきゃ意味がない、実際に紙のカードを使いたい、と思いました。
以上のことから、VRの線はほぼなしになりました。

では、ARはどうか。ARであればカードを認識して3D映像を出すことはできます。ただし、映し出す先は結局スマホ上かヘッドマウントディスプレイになってしまう。何かしらプレイヤーが装備しないと使えません。
リアルのカードをリアルの目を通して見なくてどうする?と思い、安直にこの案にするのは止めました。

……とここまで、カッコ良いことを並べていますが、もちろん別の事情もあります。
今回の開発にあたっては基本1人で行うつもりだったので、3Dモデルをカードの数だけ作ることはできません。複数人であったとしても、今ではほぼ月一のペースで出るカードに追いつくことは、到底できることではありません。
また、ヘッドマウントディスプレイが (近年価格が下がってきたとはいえ) 結構高くて、個人で2台揃えるのに抵抗があったというのも正直なところです。

そんなこんなで色々考えた末、
・リアルのカードを使う
・プレイヤーへの負担は極力少なくする
・スケーリングできる (開発負荷が少ない)
ということをシステムのコンセプトとしました。これらを満たすように考えた結果、このシステムは今の技術では到底難しいソリッドビジョンを残念ながら排除し、「演出に特化したシステム」とすることにしました。

具体的なシステムについては、後編で少し触れられたらと思います。


ターゲット

このシステムは当初「友人を驚かせるため」だけに作っていましたが、ここまで考えた段階で結構熱が入っており(笑)、既に他の人にも遊んでもらうことを考えていました。

当時くらいから、YouTubeで遊戯王の対戦動画を見るようになっていました。もちろん、演出が凝っていて、かつ分かりやすい動画は沢山あります。ただ、少し寂しいなと思ったのが、「この動画に出演している人たちは、いつも通りカードで遊んでいるだけなんだ」ということです。多分大抵の方が疑問符を浮かべていると思うので、もう少し説明します(笑)

普通の人からしたら当たり前のように感じるかもしれませんが、あれらの動画は「みんなで予定を立てて・集まって・撮影して・編集して……」と、様々な工程を経て作られたものです。特に、最後の編集工程に関しては、この前はじめて経験しましたがかなり時間をかけて作らなければならないものです。

編集の工程を撮影の段階に移行することができれば、カット編集だけである程度の質を担保できるようになります。そうすれば、量を増やしたり他の編集に時間を費やしたりできるようになります。もしかしてこれって、動画編集者にとっては夢のようなツールでは?
そんな気持ちから、実は対戦動画用のシステムというのが僕の個人的な思いとしては強かったりします。

もちろん、今いろんなところで体験会を開催しているように、できるだけ多くの方にこのシステムで遊んでもらいたいのは事実です。が、このシステムを使った対戦動画をいろんな方に投稿してもらいたいというのも1つの夢です。

ということで、動画投稿者の方、コラボのお誘いお待ちしてます!(笑)


次回は、より技術的な側面のお話や、今後の展開について今考えていることなどをお話しできればと思います。

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