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ロボットを通してヒトを知る

最近、ロボットの専門家みたいな感じで紹介を受けることがあります。会社でもロボットのエキスパートという肩書きを貰っていたりします。では、ロボットが好きで好きで堪らないかというと、そういう訳でもありません。では、なぜロボット業界に身を置いているのか書いてみたいと思います。
※ロボット研究者の方には、当たり前すぎる内容かもしれませんが、お許し下さい。

2つのタイプのロボット研究者

ロボットの研究者には2つのタイプの人がいると思っています。ロボットが好きで好きで堪らない人。作ってること、動かしてることが楽しい人。これが1つ目のタイプの人です。ロボコンとかやっている人の多くはこちらのタイプなように感じます。動かなくて悶絶している時もありますが、本当に楽しそうに作るので、見ているこちらも嬉しくなります。一般の方が想像するロボット研究者はこちらのタイプですかね。
ただ、残念ながら私はこちらには属しませんでした。。。

もう1つのタイプは、ロボットを使うことで、ヒトとは何か?、ヒトってどうなっているのか?ということを知りたい人。ロボットを通してヒトを知りたい人。例えば、ヒューマノイドロボットを使って、人はどうやって歩くのかとか研究している人とかがいます。私は完全にこちらのタイプです。

他にも、ロボットを使った事業を作ることに興味がある人、人の役に立つことに興味がある人など分類できるかもしれませんが、アカデミックな興味という点では2つに分かれるのではないかと思ってます。

ロボットを通してヒトを知るとは

では、ヒトを知りたい人の研究として具体的にはどんな研究があるかと言うと、例えばアンドロイドの研究で有名な阪大の石黒先生なんかでしょうか。

本人に直接聞いたことはないのですが、きっとアンドロイドを通してヒトとは何なのか?コミュニケーションとは何なのか?という問いに対する研究をしているのではないかと思います。

他には、認知発達ロボティクスというような分野もあり、赤ちゃん型のロボットを使って、どうやってヒトは学び、成長していくのか、ということを研究してる人たちもいます。

このような心の研究だけではなく、身体機能の研究も行われています。例えば、人の足構造を模擬したロボットを使うことで、ヒトの足機能の解明に挑戦している研究者もいます。

私自身もヒトとロボットが相互に学習していくシステムの中で、人がどのように自身の動作を修正、学習していくのかという研究をしたことがあります。

ヒトを知るためにロボットを使う理由

なぜヒトを知るためにわざわざロボットを使うのか?理由は2つあると思います。1つは「再現性の確保」もう1つは「センサーとしての活用」です。

ヒトを知るためにとにかく厄介なのは、当たり前ですが、ヒトはそれぞれ違うということです。更に同じヒトであっても、日によっても体調も違えば気分も違う。同じ動作をしてもらったとしても、全く同じになることはまずあり得ません。このバラツキこそが人らしさでもあり、魅力的なところでもあるのですが、原理、現象を分析する中では分かりにくくなる要因にもなります。一方、ロボットはとにかく再現性高く繰り返すことが大の得意分野です。

もう1つのセンサー活用。ヒトで実験するときに計測できるものは限られています。ほとんどが体の外から計測できる関節の位置とか足裏の力とかになります。それ以外の値は推定することになります。一方、ロボットの場合には、センサーを付ければ人では取得できないような多くの情報を取得できます。また、実験条件を変えながら、何度でも何パターンでも再現性を保った状態で試験することができます。ロボットは電源さえ与えてあげれば疲れることはありません。

このようにセンサとしてのロボットの一番の事例はダミー人形でしょう。ヒトの代わりに色々な条件で評価試験を行いながら、全身に配置されたセンサーでヒトの安全性や使い勝手などを評価することができます。

福祉機器の評価や車の運転評価などにもリアルシミュレータとして使われるようになっていくと思います。

というわけで、ロボット研究者にも色々といるということや、ロボットには知られていない使われ方もあるということを知っていただけたら幸いです。

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では、また来週。


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