タケチヒロミ(Roulottes)

社会人大学院生|ドレスの仕立て屋・リメイク作家。日本各地の布をめぐる「いとへんの旅」を…

タケチヒロミ(Roulottes)

社会人大学院生|ドレスの仕立て屋・リメイク作家。日本各地の布をめぐる「いとへんの旅」をしています。こちらでは服と旅と学問にまつわる偏愛エッセイを。文藝春秋SDGsエッセイ大賞2022グランプリ・2023優秀賞、学芸員資格 ✉️ classique.cloque@gmail.com

マガジン

  • 繕い繋ぐリメイクのこと

    直し繕う仕事のこと。ヴィンテージドレスのリメイク、お母様のウェディングドレスのリメイク、廃材リメイク作品など。古き良きものを長く大切に。

  • 日常を旅にする方法(日本の旅エッセイ)

    国内各地の旅のエッセイをまとめています。「旅とブンガク」「旅とアート」など「旅と○○」シリーズもこちらに。

  • art & fashion

    アートとファッションにまつわるエッセイ集です。「○○とアート」「○○とファッション」などのシリーズはこちらに。

  • 大学生になりました。

    大学生の息子のいる現役芸大生の勉強奮闘記です。文芸を勉強しています。小説を書き上げるのが目標です。

  • 旅のエッセイ(海外編)

    海外を中心に旅の日記をまとめています。旅先:イギリス、韓国、インドなど

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40代、ドレスと学問は両立できるか?

 学びは、わたしたちを、思いもよらない素敵なところに運んでくれる船だと思う。  3年前の今ごろ、わたしは40代後半で通信制大学に入学することを決めた。ドレスをつくる仕事と、学業との両立には不安もあったし、ふたりの子の母でもあるわたしが大学で勉強を始めることは、最初は家族にいい顔をされなかった。  でもわたしは学びをあきらめなかった。  そしてわたしはこの春、芸術大学の文芸コースを卒業し、学芸員資格も習得できる見込みとなった。 40代で大学に入った理由 きっかけは、コロ

    • いつの間にか終わっていたけど、いい春だったな

      きのうのドレスの発送をもって、春の繁忙期がひとだんらくしました。 夢中になってドレスをつくっているうちに、いつの間にか桜がほころび始め、きゅうに満開になって、やがて葉桜になり、そして気がついたら桜が終わっていました。 でも。 いい春だったなあ。 さて、これから週末の大学院のゼミの準備をします。 それからたまりにたまったnoteに書きたかったこと、これからぼちぼち書いていきますね。 どうかまた、遊びにきてください。

      • めちゃくちゃいいドレスができた #3行日記

        めちゃくちゃいいドレスができた。 それがすべてだと思った。 …というThreadsが、いつもよりちょっとバズった日。 Threadsのドレスの仕立て屋タケチヒロミ (@takechihiromi)

        • はじまりました、社会人大学院生。

          繁忙期の途中ですが、週末は大学院の入学式のために京都へ行ってきました。 京都はちょうど桜が満開で。 新入生気分をたっぷり味わうことができました。 さて、わたしは大学院の「芸術学・文化遺産領域」で、日本の近代(江戸〜明治期)の、北前船による繊維製品の交易と衣装文化について研究します。これがものすごい持続可能な循環システムだったんです。きっと現代につながる学びも多いはず。 それにしても、まさかの日本の歴史ですよ。 漢字が苦手で日本史は選択してこなかったのに、なんでこんな

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        • 移動式チャペル「ルーロット」の旅
          12本

        記事

          いっしょにワクワクしてくれてありがとう

          何がうれしいってやっぱり、新しくウェディングドレスのリメイクのお問い合わせがあったとき。 もちろん、お仕事をいただけるってことがとってもありがたいし、うれしいんだけど、 まずその前に「次はどんなドレスなんだろう〜」ってワクワクする気持ちがいちばん最初に来る。だって世の中にはひとつとして同じドレスがないんだもん。だから次はどんなドレスが来るのか、う〜ん、楽しみ、早く見てみた〜い! って、子どもみたいにワクワクする。 いつも新規のご予約があると、「お会いできるのを楽しみにし

          いっしょにワクワクしてくれてありがとう

          この花が咲く頃いつもわたしは

          繁忙期。 この花が咲く頃いつもわたしは繁忙期。 真っ白な花が咲く頃、真っ白なドレスを縫っています。 書きたいことはたくさんあるので、また遊びに来てね。 待っています。

          この花が咲く頃いつもわたしは

          なんでわたしが仙台に? 神戸-青森の長い旅でみつけたこと

          ちょっとちょっと、なんでわたしが仙台へ? なんで仙台おんね〜ん!夜中の仙台駅前で写真を撮りながら、思わず笑ってしまった。神戸から青森に向かっていたはずなのに、なんでわたしが仙台おんね〜ん! と。ネイティブじゃないのに関西弁が思わず口をついて出てしまうほどの事態。(ほんとに口に出してた) ああ、わたしのファースト仙台がこんな形で。(ファーストキスみたいに言うな)仙台にはね、ちょっと憧れていたのよ。だってここは伊坂幸太郎の聖地なんだもの。それがまさかこんな形で訪れることになる

          なんでわたしが仙台に? 神戸-青森の長い旅でみつけたこと

          「大学を卒業しました」 息子じゃなくて…わたしが。

          大学の卒業式に出席しました。卒業したのは、息子じゃないですよ、わたし、わたしです! じぶんで勝ち取った卒業わたしは2021年から通信制大学に入学し、文芸と博物館学芸員資格課程を学び直しました。学ぶことは楽しかったけど、仕事をしながらの勉強は決して簡単なことではありませんでした。めちゃくちゃがんばりました。 だからこそ卒業式は、思っていたより何倍も感動しました。卒業証書も、こんなにうれしいとは思わなかった。これは、間違いなくじぶんで勝ち取ったものだと思えました。 じぶんで

          「大学を卒業しました」 息子じゃなくて…わたしが。

          旅とブンガク|大学卒業の知らせを太宰治の生家で知る

          この度、通信制大学の文芸コースを、ぶじに卒業できることになりました。これで博物館学芸員資格も、同時に取得できることになります。ああよかった。 大学の事務局にも単位の取り忘れがないことは確認していたし、たぶん大丈夫だとは思っていたのですが、はっきりと「卒業可」って言われないとなんだか不安で。だっていままで何度も思い違いをして失敗してきたから。でも今度こそは大丈夫そう。 長かった。2年で卒業するつもりが3年かかりました。結果だけいうと、あっという間に卒業できたみたいだけど、そ

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          津軽こぎんの旅|ただの旅行者だったわたしが県の事業で青森へ行くまで

          昨年より青森県の事業に関わらせてもらっていて、もうすぐ青森へ行きます。うれしい。 今回、青森の伝統工芸・こぎん刺しのウェディングドレスを制作させてもらったので、そのお披露目会というかたちでトークイベントに参加…、というか「登壇」するのです。ひゃ〜、登壇だって!  ああ、なんでこんなことになったのか。つくづく不思議です。みなさまも、なんで神戸のドレス作家が青森県の事業に参加してるんだ? とお思いでしょう。 そうですよね、わたしだってそう思います。なんでただの青森好きのわた

          津軽こぎんの旅|ただの旅行者だったわたしが県の事業で青森へ行くまで

          インスタを毎日投稿してみたらどうなるか実験しています

          急に思いついて、2月はInstagramを毎日投稿してみています。ドレスの仕事用のアカウントです。 これはちょっとした実験です。わたし、じぶんで実験するのが好きなんです。 変化はね、ありましたよ。まず、リール動画をつくるスピードがあがった! 最初は1本のリール動画をつくるのに3時間(!)もかかっていたのだけど、いまはめっちゃ早くなった。やっぱり慣れって大事ですね。 それからさまざまな機能にも気がつきました。「詳細設定」とか、あんまり開いたことなかったですけど、けっこうい

          インスタを毎日投稿してみたらどうなるか実験しています

          ことばの届く距離を想う

          ことばが流れ星みたいにびゅんびゅん届いて、その反響にじぶんで驚く、という1週間だった。 北海道・二風谷から「ゴールデンカムイのnoteを拝見しました」とわたしのInstagramに連絡をくださったのは、なんと映画ゴールデンカムイの小道具や衣装をつくられたアイヌ工芸家さんご本人だった。 えっ!!! うそでしょ。 あの、エンドロールに名前のあったご本人? まさかご本人と繋がるなんて!!!!  間違いなくご本人だった。映画のためにつくられた小道具や着物の刺繍のことなどを教

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          映画とファッション|衣装からみた映画「ゴールデンカムイ」

          映画「ゴールデンカムイ」、見ました? めっちゃよかったですよね。ゾクゾクしました。 登場人物が現れるたび「うわー、土方歳三きたー!」とかひとりでキャーキャー思いながら観てました。 さまざまな角度から映画「ゴールデンカムイ」については語られていると思いますが、ドレスをつくる仕事をしているわたしはやはり、「衣装」の面から映画「ゴールデンカムイ」のすごさをみてみたいと思います。 また、博物館学芸員資格を学ぶわたしは、今までゴールデンカムイやアイヌに関連するさまざまな博物館展示

          映画とファッション|衣装からみた映画「ゴールデンカムイ」

          旅するウェディングドレス、チェコへ。

          キューバ、チェコ、マルタ島、ロンドン…。 これらはわたしがつくったドレスが旅した場所。それはもはやわたしが旅したとは言えないだろうか。言えないか。 でも気持ちはいっしょに旅するような気持ちで花嫁さまとドレスを送り出している。心をこめてつくったドレスが世界中を旅している。そう考えただけでうれしい。わくわくする。わたしの旅するドレスたち。 旅するドレスドレスをつくる仕事をしているわたしは無類の旅好きで、「旅をしてドレスをつくる」という仕事スタイルをずっと模索してきた。コロナ

          旅するウェディングドレス、チェコへ。

          こぎんドレスで青森に呼ばれたかも?

          「今年はもう5パーセント終わったんだってツイッター(X)で流れてきました!」 そんな知り合いの声にびっくりしていた1月20日、大寒の日。 そうかもう5パーセントたったのか、と思いつつも、まだ5パーセントしかたっていないのに、ともわたしは思っていた。 そう、今年が始まってまだ20日しか経っていないのに、早くも今年の目標がひとつが動き始めた。 年末年始に(手書きの)日記に書いていたわたしの目標のひとつは、「こぎんドレスで青森に呼ばれる」だった。  それがなんだか、早くも

          こぎんドレスで青森に呼ばれたかも?

          北前船の寄港地49ヶ所で、旅して学んで恋をして。

          わたし、北前船に恋をしてしまいました。 みなさんは「北前船(きたまえぶね)」って知っていますか? わたしはつい最近までちっとも知りませんでした。 北前船とは、江戸〜明治時代に、上方(大阪)から瀬戸内海経由で日本海沿いを北上して北海道までを結んでいた商船のことです。旅をきっかけに北前船の存在に出会ってしまい、いまはもっと知りたいと思っています。もっと知りたい、それはもはや恋。 さらにわたしはあろうことか、全国にある北前船寄港地49ヶ所をめぐりたいと思っているのです。それが

          北前船の寄港地49ヶ所で、旅して学んで恋をして。