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無意識のひらめきとロックミシン・タイムマシン。

ヴィンテージドレスのリメイク。

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トップスのインナーを全て作り替えたこのリメイクですが、触りたくなかった箇所もあります。

ここです。元のヴィンテージドレスの背中のくるみボタン。

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ここ、たまりませんよね。

このドレスの一番のデザインポイント。

そして、ヴィンテージならではの醍醐味がぎゅぎゅっと凝縮されているところ。

そう、花嫁さまの背中のきゅっとしたS字のシルエットは、最大の萌えポイント。

ここは触りたくない。

本来なら背中心に縫い付けられている部分を解いて、縫い直して取り替えるのですが、ここはヘタに触りたくないので、そっくりそのまま残す方法で進める事にしました。

背中心に縫い付けられているインナーを、縫い代分を残してカットするという方法。

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美しさのためには時に大胆な方法も必要なのです。

しかし、カットした部分の端始末をどうするかが問題です。

こういう時、お直しの基本としては、元のドレスの方法に準じます。このドレスは1950年代のもの。まだロックミシン(端をかがるミシン)が普及していない時代のドレスなので、端の始末は場所により断ち切り、ピンキング、細かい三つ折りでされていました。

まず、元のドレスがそうなっているとはいえ、断ち切り始末には抵抗があります。ピンキングもあんまりだけど一度別布で試してみようか…あっ!ピンキングはさみ、今日アトリエにもってくるの忘れた!

じゃあ、やっぱり三つ折りか。

と、細かい三つ折りで端始末をしてみました。

う〜ん。

下のインナーと表生地の間に三つ折りが入ると、わずかですが厚みの差が出来て、そこに影ができてしまいます。レースを重ねるとその影が強調され、くるみボタンの邪魔をするのです。

きれいじゃないなあ…。

ここで本日の作業時間のタイムアップ。

明日、ピンキングはさみをもってきて試してみよう。


翌日。

またピンキングはさみを忘れてしまうというダメなわたし…。

端始末、どうしたものかな〜と考えながら、アトリエの準備でミシンのコンセントのスイッチを入れている時、いつものクセでロックミシンのスイッチもパチンと入れてしまいました。

パチン。

ああ、今日ロックミシン使わないのに入れてしまった。

ん?ロックミシン?

「ロックミシン!」

パチン!と閃きました。

そうだ、ロックミシンを使って端始末を試してみよう。

1950年代、このドレスが生まれた時にはなかった機械が、今この現代にはあるんです。まさにタイムマシン!

別布でロックミシンを試してみたら、ものすごくきれいにレースになじみました。なんの邪魔もせず、くるみボタンの美しさだけに目がいきます。

ロックだったか〜。

古いものを活かしながら新しいものを取り入れる。

それがロックってことよね。

それで仕上げたら、ものすごく美しく仕上がりました。

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ロック最高!

ロックに生きるぜ!

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私はよく、問題解決をするとき、めちゃくちゃ考えたら、あとは寝る。

という方法をとっています。そしたら明け方の夜に解決策をひらめいたりします。

無意識が、解決してくれることって、ありますよね?

このときは、無意識にピンキングはさみを持ってくるのを忘れ、無意識にロックミシンのスイッチをパチン!と入れたときにひらめきました。

無意識ありがとう。


というわけで、

今日もひらめきが降りてくるのを待ちながら早く寝ます。

おやすみなさい。



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ドレスの仕立て屋タケチヒロミです。 日本各地の布をめぐる「いとへんの旅」、大学院で研究することになりました! いただいたサポートはありがたく、研究の旅の費用に使わせていただきます!