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もしも初心者が契約書をつくることになったら?【ビジネスの守り方】

まったくの初心者が、ある日突然契約書をつくらなければならなくなったら? あなたが業務委託契約書(イラストを描いてあげるとかシステムを作ってあげるとか、コーチングやコンサルティングを提供するなど、なんらかのサービスを提供する契約)をつくるとき、どこに気をつけますか?

基本はビジネス文書だと思えばよい

契約書といっても基本はビジネス文書なので、あまり構えずに挑むことをおすすめします。ようは、構えすぎないこと。正確でわかりやすいことを目標にすれば、大きく間違えることはありません。

迷ったら「わかりやすいか」を考える

契約書は、相手との行き違いをなくすためのもの。古風な表現や異様に詳しく書いていたりと独特ですが、当事者の解釈を極限まで近づけるための工夫です。もし極端にわかりにくければ、当事者の意図に合うように書き直しても構いません。

要素は書式(ひな形)に従う

書式を活用することで、どんな初心者でも必要な項目を漏れなく記載することができます。プロでもまったくの白紙から条文案を考えるのは難しいものです。積極的に書式(ひな形)をつかって、条文の抜け漏れを防ぎましょう。ただし、テンプレートと自分のビジネスは違うことも忘れずに!

条項は通常用とトラブル用に分けて考える

条項はどれも等しく大切なのでしょうか? もちろん大切ですが、コツとしては2通りに分けて考えることができます。たとえば支払(いつまでにいくら払ってもらえるのか)に関すること、あなたが提供する仕事の内容(具体的に何をするのか、しないのか)に関すること、というのは、業務の仕様書のような意味合いが強いです。これは契約書がなかったとしても、いずれは相手と共有しなければならない事項です。

一方で、損害賠償とか解除といった項目は、予想できないことがおきたときや、残念ながらトラブルになったときのための、リスク予防のための項目です。つまり契約書にならんでいる数多くの条項は、通常用とトラブル用とにグループ分けができるのです。この切り分けは非常に重要です。

通常用の部分は、本当に自分がこれからやるビジネスの内容とぴったり合っているかどうか、を確認する必要があります。「通常」ですからなにかあってもなくても「いずれにせよ適用」されます。続いてトラブル用の方は、もし何かあったらどう解決するのか、という意味ですから、逆に言えば「何もなければ出番もない条項」です。もし何かあったら、自分にとって不利にならないように先手をうっておきます。

通常用の条項=いずれにせよ適用
目的、業務の範囲、納入、検収、再委託、秘密情報の取扱い、納入物の所有権、納入物の著作権、契約期間、権利義務譲渡の禁止、合意管轄など
トラブル用の条項=なにかあったら適用
契約不適合責任、知的財産権侵害の責任、損害賠償、解除など

バランス感覚が必要なトラブル用条項

トラブル用の、損害賠償の条項は、少々悩みどころです。

損害賠償 → なにかあったら損害を賠償する、という合意を具体的に決めておきます。たとえば賠償をいくらまでにする、と、金額の上限を決める規定などがあります。

たとえばあなたのミスでお客さんに納品ができなくなってしまったら、どうしたらよいでしょうか。何かあっても責任を負わないし解除もできない、などと書けばあなたには有利かもしれませんが、相手が納得しなければ契約ができませんし、消費者相手の契約では事業者が一方的に有利になるような規定が制限されています。ある程度フェアに決める必要もあります。

ただし譲歩し過ぎてもよくありません。お客さんに生じた損害をなにからなにまで完全に賠償してあげることはできないと考えるべきでしょう。あくまでもトラブル用の項目であって、なにかあったときの話ですから、登場の可能性は低いと考え、妥協できるぎりぎりのところで規定しましょう。

気を付けたい言葉づかい

意味が曖昧になってしまってはよくありません。例えば「判断する」とかかれているけれど、「誰が」判断するのか書いていないことがあります。契約書の作文に慣れていない方は、主語が抜けてしまうことが多いので気を付けましょう。

契約書にはくどい表現が多いです。たとえば「甲は乙に対し委託し、乙は甲より受託する。」というような表現。普通はここまで書きませんよね。「あなたは私に対して頼みごとをし、私はあなたからの頼みごとを受け入れる」って言っているようなものですから。でも契約書では普通は省略するような言葉でもあえて繰り返し表現します。

最後にもう一度確認することリスト

仕上がったら読んでみて、まず条文の数(第一条、第二条・・・)が正しいかどうかたしかめましょう。数字が抜けていませんか? こういう初歩的なミスほど多く発生します。次に誤字がないか。たとえば非常に多い誤字は「×意義→〇異議」です。それと「とき」と「時」は使い分けられているので気を付けましょう(「とき」とは条件のことで、「時」はある時点をあらわしています)。「または/又は」はどちらも正しいですが、契約書全体を通してどちらか(漢字かひらがな)に統一した方がよいでしょう。

まとめ

契約書はビジネスを守ってくれるもの。自ら学んで、自分のビジネスは自分で守りたいですね。

・書式を見て、構えずにわかりやすく
・条項は通常用とトラブル用とに分けて考える
・トラブル用の条項は不利にならないように気を付ける
・ケアレスミスが多いので気を付ける

↓ さらに初心者向け記事を以下にまとめましたので参考にしてください。



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