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契約書作成で売主がおさえておくべき3つのポイント【あなたが売主の場合】

契約書を作成する際に気を付けるべきポイントは何か

先に答えを知ることが正解への最短距離です。売主の場合のリスクを整理してから契約書をつくれば、契約書がよりリスク予防に役立つことになります。簡単にいうとあなたが「売主」である場合には主に3つのリスクがあります。ちなみに僕のクライアントのほとんどは売主です。

売主のリスクは3つある

①ちゃんと代金を払ってもらえるかどうかというリスク
②お客さんが買った商品に不満をもつリスク(過大な期待や要求)
③原材料や商品が仕入れられないなど、遅延してしまうリスク

契約書のポイントも3つある

①は未払いリスクと呼ばれるものです。契約書はこれを防ぐためにあるといっても言い過ぎではありません。契約書がないと、そもそも何をいくらで依頼されたのかが曖昧になり、証拠が残らないため依頼主が逃げたりします。よく、フリーランスの方が出版社から原稿やイラストを依頼されたのに、なんだかんだで支払ってもらえなかったというケースでは、ほとんどの場合契約書がありません。

②は期待のすれ違いリスクです。もちろん不良品を届けてしまったり、委託された業務に明らかなミスがあれば売主の責任ではあります。しかしもともと依頼されていないことを、お客さんが勝手に期待しているだけかもしれません。クレームになってしまってからここを議論すると水掛け論になるので、最初から契約書で確認できれば理想的です。たとえばイラストレーターさんが、納品後に若干の修正を頼まれたりすることがあると思いますが、これも程度の問題があります。気になるところがあれば修正します、とはいったものの、おなじところを10回も直させられたり、あとから根本的な部分を書き直したりというのは「若干の修正」を超えています。これも、事前に契約書でルール化しておいたほうが良い部分です。

③は不可抗力リスク。売主の都合のようにも思えますが、自分が責任を負える範囲を超えてなんらかの遅延が起きてしまうことだってあるわけで、あらかじめ想定しておくべきリスクです。たとえば天災などによって仕入に支障がでてしまい、結果的にお客様にご迷惑をおかけしてしまう、ということも現実に起きます。業務がストップしたり、返金となったりはしても、損害賠償等の責任までは負わない、などという取り決めをしておくと安全です。

売主にとってどういう契約書がいいのか

売買契約にしても、業務委託契約にしても、必ず売主と買主がいるわけで、両者の都合は違います。あなたが売主の場合には、まず「売主」としての立場で契約を見直す必要があります。支払い金額やその時期は納得できるものなのか、納品するもののクオリティや条件は過大でないか、もしものときの免責や損害賠償については不利でないだろうか、と確認すべきです。ひな型を使うときに特に注意が必要で、ひな型というのは、通常はどちらの立場でも使えるものが多いからです。

契約書は必ず必要か?

必要です。といいたいところですが、契約書が無理でもあきらめないでいただきたいので補足します。たとえばフリーランスの未払い問題はいまだに多いようですが、「契約書を結ぶのが面倒」というのが原因のひとつだと思います。契約書が手間に感じることがあるのも事実です。そこで、契約書そのものではなくてもよいので、発注の事実がメールやLINE、など、とにかく文字情報として残るように意識されるといいです。

発注事実を明確にする方法

その際、あなたが売主であれば、①報酬はいくらをいつもらえるのか、②納期はいつまでであり、具体的仕様はどうか(原稿なら文字数やサンプル原稿、イラストなら具体的内容とカラーやデータ形式などの仕様、など)を決めてもらい、それをメール等のなかで「以下の内容でいいですよね」と確認すればOKです。③の要素はむずかしいかもしれませんが、「念のための確認事項」などとして話題にしておくことは不可能ではありません。

メインは、発注事実が客観的に確認できれば相手からも、「本メールを持って発注します。」、とか「本通知をもってご依頼します。」といった言葉がひろえると最高です。


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