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契約書を読んでみよう!【業務委託契約書の業務内容】

契約書の具体的な読みかたをまとめます。業務委託契約書から切り取った条文を、どう読むべきか。無機質に思えたあの契約書が、より実感を伴って読めるようになるかもしれません。

業務内容の例文

第○条(委託業務)
甲は、次の各号に掲げる業務(以下「本件業務」という。)を乙に委託し、乙はこれを受託する。
(1)○○に関する業務
(以下略)

これを見たら、僕はまず「本件業務」という用語の部分に着目します。これが契約書全体で、ちゃんと統一されているかを確認するためです。

契約が目的としている業務を読む

もし、あとのほうで「本業務」とか「当該委託業務」みたいに、表記ゆれをおこしていたらチェックしておきます。このミスは意外と多く、だいたい3件に1件くらいの割合で、「本件業務の表記ゆれ」がみつかります。なんだそんなことか、と思うかもしれませんが、ある契約書が何を対象にしているかは、ものすごく重要な事です。なので真っ先に気になってしまいます。

読み進めると、業務の内容が箇条書きになっています。ここから、この契約書がどんな業務を規定するのか読み取ります。つまり、何をする業務委託なのか。ポイントは具体性です。ここが抽象的なのはよくありません。読んだだけで具体的作業がイメージできるくらい詳しく記入されるべきです。抜け漏れがないか、慎重にチェックしましょう。

ただし、基本契約と言って、あとで個別契約のほうに詳細は書きますよ、とか、あるいは詳しい業務内容は別紙に書きますよ、というタイプの契約書もあります。その場合は「個別契約に規定する」、「別紙に規定する」、などと書いてあるはずですので、そちらで確認すればすみます。

条、項、号

ところで念のためにいっておくと、この箇条書き部分を、号といいます。条文のなかは「条-項-号」という階層でならんでいます。つまり、

「甲は、次の各号に掲げる業務(以下「本件業務」という。)を乙に委託し、乙はこれを受託する。」

の部分が「項」。一行目なので第1条1項と呼ばれる行です。

で、

「(1)○○に関する業務」

の部分が「号」です。言葉で表現すれば「第1項1号」です。


契約の法的性質がわかる

この内容を読むことで、だいたいこの業務委託契約の法的性質をよみとります。つまりこの場合は法的性質としては委任であるなとか、請負だなという風に判断します。

委任か請負かの区別ですが、仕事完成義務の有無でほぼ決まります。業務の性質上、仕事完成義務があれば請負契約、仕事完成義務が認められないのであれば委任となります。もちろん、委任なら無責任でよいというわけではありませんが、仕事完成の義務はなく、「善管注意義務」を負うにとどまります。

ここで法的性質をつかんでおくことは、この後契約書全体を読み解いていくうえで大きな手掛かりになることがあります。業務委託契約の場合は、たいていは請負か、委任です。まれに売買を含むことがあります。また、はっきりとわかれているのではなく、混合契約になっていることもありえます。




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