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【映画感想】『ケープ・フィアー』「狂気」は褒め言葉!?※ネタバレあり

マフィア映画に欠かせない男、ロバートデニーロ。渋くてカッコいい男がハマリ役の彼が、ある一家に嫌がらせをする男を怪演した映画『ケープフィアー』の感想だ。

ただ、ひたすらに嫌がらせを描く映画

14年前、女性に対する暴行事件で起訴されたマックスの弁護を担当したサム。しかし、サムはマックスに有利になる証拠を掴んでおきながら、個人的な感情からそれをもみ消した。その恨みを14年間、抱き続けたマックスは、出所したと同時にサム一家に復讐を開始する。そんなマックスの復讐の行方を2時間たっぷり堪能できる映画が『ケープ・フィアー』だ。

映画を見ずに上記を読んだ人は、「こんな内容の映画、誰が見るのだろう?」と思うかもしれない。だが、何故か引き込まれてしまう映画なのだ。

この映画の何がいいの?

自分なりにこの映画の良さを考えてみた。何が良くて2時間も見てしまうのか。

その理由はやはり、マックスを演じるロバートデニーロの演技力だろう。『ゴッドファーザーPartⅡ』や『グッドフェローズ』のカッコいい兄貴肌のデニーロはこの映画には出てこない。むしろ、『タクシードライバー』の時のような狂気に満ちた表情のデニーロを堪能できる。

このデニーロの「狂気」こそがこの映画最大の魅力なのだと思う。

「狂気」は褒め言葉!?

狂気が魅力と書いたが、一般的に「狂気」という言葉を聞いてあまりポジティブな印象を受ける人はいないだろう。犯罪者などを形容する時に使う言葉であり、「君は狂気的だね」なんて言われた暁には、それを悪口と捉えるのが普通だろう。

しかし、私の場合、ちょっと嬉しいかもしれない。

その理由は、狂気を感じる人は、何かに向けてエネルギッシュに努力している人が多いからだ。

人として何か一つのことに没頭し、エネルギーを注いでいる人は非常に魅力的に映る。こっちまでそのエネルギーを分けて貰えるような気持ちになるし、そんなに一生懸命になるほど情熱を注ぐものがある人を羨ましくも思う。命を削りながら何かに打ち込む人生は、素晴らしいと思うのだ。

❝「真の才能は『狂気に満ちた集中』から生まれる」❞          引用元:https://toyokeizai.net/articles/-/86473

上記の言葉は精神科医の名越さんの言葉だ。狂気という言葉をポジティブな意味で使用しており、この記事において「狂気(的な集中力)」は、偉大な発明をもたらす「才能」を養うものだとしている。

「狂気」が必ずしもネガティブなワードではないことを感じていただけたと思う。「集中」や「没頭」という言葉と相性が良いし、エネルギッシュというプラスの側面もあるというのが私の考えである。

だから狂気的だと言われても、それを単純な悪口という風に捉えられないのである。

マックスの狂気

マックスの場合はその狂気のベクトルがかなり問題だが、人がひたむきに何かを成し遂げようとする姿は応援したくなってしまう。映画の途中、マックスはサムに雇われた暴漢に襲撃されるが、その際にマックスを応援してしまう自分がいた。

字すら読めなかったマックスが法廷で自分を弁護できるほどの法律の知識を得たのは、並大抵の努力じゃない。

また、体中にはメッセージ性溢れる数々のタトゥー。きっとサムへの復讐心を忘れないために、自らの体に刻み込んだのだろう。復讐が彼の生きる糧となったのだ。

最終的なマックスの目的はサム一家を殺すことだったのかは分からないが、この一家は一連の復讐劇で身も心もズタズタになり、消えることのないトラウマを植え付けられた。このことから、マックスの狂気に満ちた復讐劇はその目的を十分に成し遂げたと言って良いだろう。

復讐に人生を捧げ、成就させたマックス。ある意味幸せだったかもしれない。映画終盤のサムとの殺し合いのシーンでは、どこか満足気な雰囲気がマックスから感じられた。

最後の最後、聖書の一節(?)を唱えながら沈んでいくマックスと、それを見ながら恐怖と絶望と少しばかりの安堵が入り混じったサムの表情はかなり印象的だった。

最後に

マックスの狂気こそがこの映画を魅力的する最大の要因であることは間違いない。そしてマックスを演じたロバートデニーロも「演技」に関して狂気的な俳優なのだと思う。(ぞれを裏付ける逸話はたくさんあります。ググってみて下さい!)マックスを演じられる俳優はそうそういないはずだ。

ひたむきに何かに打ち込んでいる人は魅力的だし、自分もそんなギラギラした人になりたいと思う。

「狂気」は人を魅力的にする。そんなことを感じさせる映画だった。

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