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「自分らしさ」を見つけてもらうのもいい


私が「ヘアデザイン」に関心を持つようになった

強烈な体験があります。


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20年ほど前、私は都内の女子校に通う、高校1年生でした。

その頃はコギャルがブームで、小麦色の肌、ハイトーン茶髪、ミニスカート、ルーズソックス、が、女子高生の定番でした。

一方、そのブームに乗れない子たちは、なんとなくオフトレンド感があったように思います。

かく言う私も、上のようなブームのアイテムをかじってみたものの、

当時流行っていた「ストニュー(東京ストリートニュース)」に載るようなカリスマ高校生にはなれないし(図々しいしおこがましい)、

クラスの中で、コギャルアイテムを絶妙なこなれ感で着こなしている子達のようにもなれず、なんとなく自分のスタイルにしっくりきていませんでした。

今でいう「キャラが作りきれてない」ような中途半端感がありました。


ある日のこと、仲の良かった友人K子の家に泊まりに行くことになり、週末代官山から中目黒の彼女の実家まで、服屋(ハリウッドランチマーケット)や雑貨屋(OUTLET)など寄りながら買い物を楽しみました。

おしゃれな街で買い物をすると、自分もすっかりおしゃれになった気になる単純さで、気が大きくなった私は、そのノリで次の日K子が通っていると言う、代官山のとあるヘアサロンに紹介で予約を入れてもらいました。

(当時超人気のあった、某P率いるグループのボーカルが行ってるとのことで、それにもちょっと惹かれた)

今まで地元(神奈川県)でしか髪を切ってもらったことのない私は、緊張しながらそのヘアサロンのドアを開きました。

腰くらいまで長さのある、スーパーロン毛の人が出てきて、私を担当してくれました。

その時のやりとりはもうほとんど思い出せないのですが、伝えたことは「短くしたい」「おすすめ」、あとは(せっかく代官山のヘアサロンで切ってもらうので)「変わりたい」的なことは伝えたと思います。


しばらくして鏡を渡された私は、びっくりしました。


合わせ鏡の中には、サイドはピシーッと前下がり、バックは絶妙なバランスで刈り上がった頭があったのです。

いわゆる「ボブ」として、正面からセット面の鏡は見ていましたが、特にサイド〜バックは、自分が今まで16年生きてきて体験したことのなかったライン。その技術の高さは、知識のない高校生でもわかりました。

そこには、「コギャルになりたくてもなりきれない」中途半端な私ではなく、「おしゃれな洗練された私」、「自分のスタイルに主張を持っていそうな」私(あくまで主観)が映っていたのです。

「すごい!さすが代官山のヘアサロンだ・・・」

素直にそう感じました。

その時私を担当してくれた美容師さんは、店長さんだったのですが、

私が5000円しか持っていないことを知ると、店長価格の6000円から1000円おまけしてくれました。

非常にテンションが上がった私は、K子を再度呼んで、中目黒か自由が丘のゲーセンの、当時はあまりなかった16連写対応のプリクラ(当時はプリント倶楽部)で、K子と一緒に自分の頭をいろんな角度から撮りまくったことを覚えています。

「ヘアサロンで自分らしさを見つけられた」ことが私のターニングポイントになりました。

女子校というのは身近な子の変化に特に敏感です。

そこから同じようなテイストの友人たちがクラスを超えて集まるようになり、一つのコミュニティを為して、そのコミュニティに名前をつけて、

BIG MINIで写真を撮りあったり、布に絵を描いたり、下北や高円寺の古着屋を回ったり、文化祭の出し物とかをしていきました。

つまり、私は「代官山のヘアサロンで髪を切ってもらった」ことがきっかけで、自分のキャラを確立して、同じような趣味の仲間を増やして、当時のメジャートレンド(ギャル)に対抗する(と言っても6年間180名で入れ替わりもほとんどない女子校だったので皆のんびりして仲が良かった)一派を作った、という体験をしました。


途中、何度か浮気もしましたが、今も私はそのヘアサロンに通っています。

一番最初に髪を切ってもらった店長さんは、オーナーとして、業界全体から愛される大御所になり、今はおいそれと切ってもらえませんが、今もたくさんの髪の毛に触れています。

彼の技術やホスピタリティが継承されている大好きなサロンで、今も毎月楽しい時間を過ごしています。






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