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#鹿島国立 はこれまでの30年で掴んだ一戦であり、これからの30年を掴むための一戦である

毛色の違う名古屋との上位決戦

5月14日、名古屋グランパスとのホームゲームを鹿島アントラーズは国立競技場で開催する。今季の鹿島はリーグ戦4連敗も経験。一時は15位まで順位を落としたが、ここに来て4連勝で暫定ながら5位まで浮上。3位名古屋との試合は上位決戦なだけでなく、今後鹿島が本格的に上位戦線に加わっていくための大事な試合、という位置付けで迎えることができた。

ただ、名古屋との試合は連勝中とはいえ、簡単な試合ではない。4連勝している勢いがあるとはいえ、名古屋はその4連勝したチームたちに比べて毛色の違うチームだからだ。鹿島の4連勝中の相手は新潟、G大阪、札幌、C大阪とボールを保持することを基盤にしているチーム。そうした相手にまず守備を固め、そこからのカウンターを狙うという戦い方は、連敗中のチームにとって受け入れやすいものであり、また実行しやすい戦い方でもあった。結果、C大阪戦以外はボール保持率が40%を下回りながら、チャンスを確実に仕留めて全て勝利と狙い通りの戦いを演じ、C大阪戦でも雨で難しいピッチコンディションの中、球際のバトルで先手を取り続けて、セットプレー一発で勝利。いわゆる「鹿島らしい」戦いで勝点3を掴んできた。

だが、名古屋は鹿島と同じく相手にボールを持たせながら、そのボールを中盤で刈り取ってカウンターを狙ってくる。つまりは、鹿島と同じことを狙ってくるチームでもある。さらに、相手にはキャスパー・ユンカー、永井謙佑、マテウス・カストロと独力でワンチャンスを沈められる強力なアタッカーを擁しており、守備陣も今季J1最小タイの8失点と固い。鹿島にとっては噛み合わせが悪く、その上で相手の実力もあるといった格好だ。

おそらく、鹿島も名古屋もボールを持つことにはこだわらない中で、鹿島としてはボールを持たされる時間も多くなるはずだ。そのときに、ここ最近の試合の中でやろうとしているボール保持がどの程度通用するのか。完成度としてはまだ発展途上と言わざるを得ないし、その中で相手にボールを持たせることに対するやり切りを見せたり、早い時間帯に先制できたことでボール保持にこだわる必要がなかったりと、様々な理由でこの問題と向き合うことを避けてきた鹿島だが、今節早い時間で先制できなければ、この問題を解決しないことには勝点3を掴めない展開になるだろう。ボール保持でどこまで名古屋相手に有効性を示せるか。鹿島勝利のカギはこのポイントが握っている。

これまでの実績で掴んだ国立

また、今節は国立競技場で迎える鹿島にとっては特別なホームゲームである。国立で行うホームゲームはおよそ12年ぶり。新国立競技場となってからは初めて行うホームゲームになる。

この国立での試合をJリーグ30周年スペシャルマッチとして行える、というのはこれまでの鹿島の歴史の賜物と言っていいだろう。名もない田舎の弱小チームが「99.9999%不可能」と言われたところからJリーグ参入を果たし、それでも実力を疑問視されていた中で、開幕戦でジーコがハットトリックを決めて名古屋に5-0の大勝でビッグインパクトを与え、世間の印象をガラリと変えた。

その後も時代の変革の中で、チャレンジを続けた鹿島は1996年に初タイトル、2000年にはJリーグ史上初の3冠を達成、さらに2009年には前人未到のJリーグ3連覇を果たしてみせ、ここまで積み上げたタイトルはJリーグ最多の20。この実績こそがこれまで鹿島を鹿島たらしめ、Jリーグでの地位を築き上げてきた。その結果が、今回国立で与えられたJリーグ30周年スペシャルマッチという舞台であり、その舞台を一地方のチームのホームゲームとして用意されるということは、とても光栄なことであろう。

これからの栄光を掴むための国立

一方で、ここ最近の鹿島が芳しい結果を残せていないのも事実。4年間タイトルから遠ざかり、ここ3年はロクに優勝争いにも加われていない。「常勝軍団」と呼ばれるには程遠いパフォーマンスにこのところ終始しているのが現状だ。

そんな中で今は岩政大樹監督の下で、常勝軍団復活に向け「新しい鹿島をつくる」ために鹿島は歩みを続けている。思うような結果が残せず、道のりは決して順風満帆とはいかなかったが、それでも上述したようにこのところの連勝で今の鹿島はやっと上昇へのきっかけを掴みつつある。そのきっかけをより確実なものとして、成果として持ち帰ることができるか。今節はそんな試合でもある。もちろん、その先にかつて味わった栄光を再び取り戻せる日が来るであろうことは、言うまでもない。

これまでの30年で掴み取った舞台で、これからの30年の可能性を示せるような試合ができるか。5月14日の国立がそんな試合になることを願っている。

遠征費とスタグル代に充てるので、恵んでください