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さらなるテクノロジー進化の前に最低限のルールや倫理観を構築しておこう


「テクノロジーが進化すればするほど哲学分野の需要はどんどん増えるはずです。個人的な思想などもそうです。」


この言葉は、先日行われたヤマシタマサトシさんで企画させていただいている「R30人生相談」で、哲学を勉強されている参加者の方への助言としてお伝えしたものです。


今、テクノロジーの力によって世界は大きく変わろうとしています。しかしテクノロジーを使う上でのルールや倫理的な問題よりも早くテクノロジー利用が進むため、まず使ってみてから考えるという流れになってしまっているのが現状です。

僕の職種でもあるスペキュラティブデザインはまさに「未来を先に想定しておく」というデザイン領域で、僕自身今のままテクノロジーが進化し、それらを安易に活用してしまうと多くの問題が生まれてしまうと感じています。

例えばSNSもポジティブな状況を生んでいることも確かですが、ネガティブな問題が解決できないまま使われているのが現実です。


ここではヤマシタさんのツイートについて考えてみましょう。

日本の選挙は、最新の参院選の選挙区の投票率が48.80%と総務省が発表しました。これは1995年に次ぐ低水準となっています。投票率の低さを解決するために数年ほど前から言われ始めたのがネット投票という投票方法でした。

ネット投票とはパソコンやスマートフォンなどのタブレット端末から気軽に投票ができる仕組みとして一時期注目を集めました。しかしサイバー攻撃や大規模災害時の対応などを理由に有識者会議において「応用可能」とはしたものの実現には至っていません。

でも、もし上記のようなリスクを回避できたからといってネット投票を運用してもいいでしょうか。ここでヤマシタさんの問いなどが生まれてきます。

もしネット投票が運用されれば、日本だけでなく世界は大きく変わるはずです。少なくとも現段階で困る政党も多く、多くの政治家が難しい局面に立たされるでしょう。

さらにヤマシタさんの問いもそうですし、最近問題となった炎上系の話題に人が集まっていることも考慮するべきだと思います。今、個人が数百万単位での影響力を持つ時代に、ネット投票がどんな問題を起こすかは簡単に想像ができます。民主的に投票が行われるか疑問が残ります。

選挙の問題だけではありませんが、ネット投票を導入する前にやるべきことは

選挙について、政治について、国について、政治について、政治と関わる自分の身近な物事について、一人一人がしっかりと考える環境や仕組みを構築しておくこと

だと考えています。まさにネット投票というテクノロジー利用の前に、政治などに対して個人的な哲学や思想、ルールや倫理観の構築が必要なのです。


ただ、逆説的な問いも生まれ、ネット投票は「投票を今よりも簡単にする」だけであって、投票は18歳以上であれば誰でも権利として与えられています。なので本来の投票方法がネット投票になったからといって世界が大きく変わってしまうのはおかしな問題でもあるのです。個人的にはそう考えてきました。

だからネット投票導入の最低条件は本来の投票方法での投票率が90%を超えること、とするのも良いかもしれません。それだけ国民が「選挙について考えている」状態が生まれている証拠となり、ネット投票になろうが本来の投票方法であろうが結果は変わらないはずです。


今回は選挙についての問題提起(スペキュラティブデザイン)ではありましたが、テクノロジーを取り巻く社会は星の数ほどあります。その数だけルールや倫理観、個人的哲学や思想の構築が必要なのです。

すべてを完璧に網羅しなければテクノロジー利用ができないということはありえません。しかし、創造できる範囲の中で、最低限のルールや倫理観、個人的哲学や思想の構築はこれからもっと必要になってくると考えています。


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竹鼻良文/TAKEHANAKE

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