ずnote

カスタマイズからバージョンアップへ-分野を成長させる方法論-


今、2016年のUnder 35 Architects exhibition(建築家の展覧会)で展示した


「無意識へのシナリオ」


を掲載しようと準備しています。


この論考は僕の中でとても大切な存在で、22歳(12年前)から考えてきたテクノロジーや社会の変化がデザインや建築の分野に及ぼす影響によって、人そして自分はどのように生きていかなければならないかをまとめた内容になっています。


僕が伝えたかったことと伝わらなかったこと


この展覧会では、出展者の思いや考えが本にまとめられ、シンポジウムも行われました。


僕はこの本やシンポジウムで「多分野との関わり」の重要性を主張しました。これは建築だけではなく、ほぼ全ての分野でも重要視されていることだと思います。でもこの主張は、この思考へ行き着くためのプロセスをしっかりと「無意識へのシナリオ」で読んでもらわなければ簡単に伝わることではないと実感しました。

そして、無意識へのシナリオを掲載する前に、少しだけ補足を入れようと考え、今回の記事にしました。


建築はモダニズム以降何も変わっていないという問い


かなり刺激的な題名ですが、僕は学生時代から「建築デザインはモダニズム以降何も変わっていない」と考えてきました。日本は特に「51C型」と呼ばれるシステムから生み出された「nLDKタイプ」が生まれて以降、本質的には何も変わっていないと考えています。

それは決して悪いことではありません。

変えなくても仕事があり分野としても成長できたのは、バブルの多大な恩恵によるものだと思います。

本質的な変化がない(少ない)のは建築だけではなくデザインも同じことが言えるかもしれません。

ある番組で見たSANYOの開発部長の発言に「日本人は小さな変化で差別化し、グローバル化した時に全く対応できていないのが現実」という言葉がありました。

常に既視感のあるものに安心し、少しの変化を「差別化」と表現することでやってこれたのは、日本という国が豊かであった他ありません。

僕は以下のような図で建築を捉えていました。他にも要素はたくさんあると思いますが、一例として「理論・デティール・素材・要望・構造・環境・設備・美的感覚・予算」が関係し合いながら建築という分野が成り立っているイメージです。

建築という枠の中で語られることがとても重要で「建築言語は独特」と言われる由縁です。言葉が正しいかは分かりませんが、分野らしさが強くとても硬いイメージです。

分野の中だけで「知識や経験をカスタマイズ」することを建築界は重要視してきました。

以下の記事を参考にしてください。


テクノロジーと社会構造の変化がバージョンアップを求める時代


建築は「建築という分野の中で知識や経験をカスタマイズする」ことが建築家の仕事として成立してきました。

建築の中で必要な知識や資格をインプットし、それを建築分野独特の言葉でアウトプットすることが求められてきました。

しかし、僕は建築という分野をもっと柔らかい柔軟な分野と捉えることで、テクノロジーの進化や建築仕事の激減、人口減少、空き家増加などにも対応できるように考えてきました。

それこそが建築のバージョンアップです。

それは建築という分野が好きだからこそ生まれた思考です。


建築は総合学習である


バージョンアップするために、まず建築を細分化しました。建築は総合学習であるため、多くの分野の集合体です。

例えば、カーテンはテキスタイル、外壁材は陶芸など、多くの分野が集合することで成立します。

建築に関わる多分野に精通することもこれからの建築家の可能性ではないかと考えました。

細分化したものを僕は「小さな建築」と呼びました。

その図が以下です。

本にも掲載しています。


建築を柔らかで柔軟な分野と捉え、建築に集まる多分野に自分の身を置く。そしてそこから生まれたオリジナリティをまた建築にフィードバックすることで、建築家という職能も拡大し、さらに建築という分野が独自で収まるのではなく、より広く伝わるのではないかと考えました。

そして小さな建築にまちづくりから模型までスケールを与えることで、より職能に対しても可能性が広がります。

この思考がカスタマイズ思考からの脱却を可能にし、建築のバージョンアップに繋がると考えました。


建築のバージョンアップの例


この思考を元に僕は独立当初から建築に関わる多分野で活動を始めました。

その一例が建築構造をアートに持ち込み、建築にフィードバックする試みです。

アートの世界でこれまでにない建築構造を生み出し

その技術を使って茶室を作る

さらに陶芸の分野にも精通し

陶芸の世界で得られた技術を使って

自然の力によってできた外壁材を製作

現在、茶室との組み合わせを検討中


茶室のコンセプト

構造は3Dプリンターで製作し、フラクタルな造形を持つ。

外壁材は3Dプリンターの素材の弱さを保護する。

自然界にあるフラクタルな造形構造と自然界が作り出す外壁材によって、この茶室は自然に存在するものとなり、宇宙まで広がる。


さらに他分野に精通することで、その分野での仕事や自分自身のブランド価値も生み出し、さらにマーケティングやブランディングといった思考まで必要となります。

KURA COCOLONOでの窯焚きイベント

窯から生まれた陶器作品は海外での展示会に出品予定


建築は建てるだけではなくなるというのがバージョンアップだと考えています。

この思考に行き着くまでのプロセスが「無意識へのシナリオ」に書かれています。

さらに人間は「無意識をデザインするようになる」ことも主張しています。

これは以前の記事も参考になると思います。


「無意識へのシナリオ」を公開しました!

なぜ建築が建てるだけではなくなるのか。それを歴史やテクノロジーなどから紐解いています。

建築だけではなくデザインなど多くの分野にも言えることだと思います。

未来の前提を知っているのと知らないのでは、今後大きな差が生まれるかもしれません。



竹鼻良文/TAKEHANAKE代表

TAKEHANAKE design studio HP

TAKEHANAKE BRAND


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竹鼻良文 / TAKEHANAKE

スペキュラティブデザイナー・フューチャリスト(未来予測)・建築家等/note関連イベント企画多数/note酒場立ち上げ/TAKEHANAKE/SHELF/KURA COCOLONO/LEXUS DESIGN AWARD 2017・U-35建築家展等/主夫

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