「昔話」を「今話」にリ・デイザンしませんか?


スペキュラティブデザインという分野で仕事をしていると、子育てでも気になることが出てきます..。

あ、スペキュラティブデザインというのは「問題を提起するデザイン」とされている分野で、簡単に言えば既存のデザインで問題解決する前にデザインすべき物や問題を先に見つけて提案してから解決する、みたいな感じです。

だから普段から問題を見つけてしまうという職業病的なところがあるのも事実。


そんな僕は普段主夫もしておりまして、寝かしつけなんかもするわけです。寝かしつけの際、いつも子どもにテーマを出されてお話をします。例えばこんな感じ。


でもたまに「桃太郎のお話!」など有名な昔話をお願いされることがあります。で、自分が親に聞いてきた昔話を自分の子どもに話すのですが、話しながらお話によっては違和感を感じることがありました。そこで現代に適合した「今話」にデザインし直して子どもに聞かせることがあります。

最近特に違和感を感じたのが「うさぎと亀」のお話。ご存知の方も多いと思いますが、一応内容を書いておきます。


ある時、ウサギに歩みの鈍さをバカにされたカメは、山のふもとまで続く一本の道でかけっこの勝負を挑んだ。かけっこを始めると予想通りウサギはどんどん先へ行き、とうとうカメが見えなくなってしまった。ウサギは少しカメを待とうと余裕綽々で居眠りを始めた。その間にカメは着実に進み、ウサギが目を覚ましたとき見たものは、山のふもとのゴールで大喜びをするカメの姿であった。


う〜〜〜ん、どうでしょうか。このお話から得られる教訓はいろいろあるとは思いますが、基本はしっかりと努力を続けた人が最後は勝つ、的なことかと思います。いや、正しい教訓だとは思います。

でも現代人って途中で休む人っていますか?どちらかと言えば、みんな1つの成功を成し遂げた後に例えばコメンテーターになったりしていませんか?さらに精神的に辛くなった時には休んだ方が良いという流れや、例えばブラック企業などに就職してしまったらすぐに転職しようなど、うさぎと亀のお話とは少し違った社会が訪れている気もしています。

一本の道で競争するような世界が少しずつ変わってきているように感じています。

昔話は子ども達に生きる上での教訓を教える役割があるので、僕は僕なりのうさぎと亀のお話をしています。ではみなさんにもお話をしてみたいと思います。

※ここで気をつけるべきは昔話を今話にする際、子どもが別のお話として覚えてしまってお友達と話せなくなったり世間の常識から逸脱しては困るので、題名から変えてしまいます。


ウサギとカエルのお話

ウサギとカエルが昔話をしていました。

ウサギ「あまり話したくないことなんだけどさ、僕、昔かけっこで亀に負けたことがあるんだ」

カエル「え!!まさか!!そんなことあるの!?」

ウサギ「本当さ。あの時は油断してしまって...」

カエル「でも負けは負けだね!!」

とカエルはウサギを馬鹿にしたのです。怒ったウサギはこう言いました。

ウサギ「君には絶対負けないよ!それに僕は失敗から学んだんだ!」

こう言われたカエルは喧嘩腰になり、ウサギと亀が競争した同じ場所で競争しようと勝負を挑みました。でもカエルはウサギに絶対勝てないことが分かっていたので、心の中は不安でいっぱいでした。今にでも逃げ出したい。そう思いながらも山のふもとまで続く一本の道まで行きました。

ウサギ「じゃあここから山のふもとまで競争だ!行くよ!!よーい!ドン!!」

と言った途端にウサギはものすごいスピードで山のふもとまで走って行きました。カエルは一生懸命ぴょんぴょん跳ねながら前には進むものの、ウサギには全く追いつけませんでした。

だんだん疲れてきたカエルはふと道の横に見える草むらに目をやりました。

そしてカエルはこんなことを思いました。

この草むらの先には何があるのだろう。

でも前を行くウサギに負けまいと一生懸命走りながらも草むらの向こう側が気になるカエル...。足も疲れ、限界に来たその時、思い切って草むらに飛び込んでみたのです。

するとそこにはカエルが見たことのない景色が広がっていました。

美しい花

美味しそうな虫

花に近寄って見ても、カエルがこれまで経験したことのない風景がそこにはありました。

カエルはウサギと競争していたことを一時だけ忘れ、自分だけが見つけた世界を楽しんでいました。そしてあることを思いつきます。

カエル「ウサギさんにもこの世界を教えてあげよう!ウサギさんの好きそうな食べ物もある!」

その頃、ウサギは休むことなく山のふもとに到着し、後ろを振り返っても見えないカエルに対して

ウサギ「ほら見てみろ!僕が一番だ!」

と勝ち誇っていました。しかしなかなか現れないカエルのことがとても心配になって元来た道を急いで戻ることにしました。

走っていると「ウサギさ〜ん!」というカエルの声が聞こえてきました。声の聞こえる方に目をやると、目を輝かせて飛び跳ねるカエルが見えました。

ウサギもカエルの楽しそうな表情に惹きつけられて草むらの中に入ってみると、ウサギにとっても本当に美しい風景がそこにはあったのです。

ウサギとカエルは競争していたことなんか忘れて、自分だけの世界を見つけて、自分だけの喜びや価値を楽しんでいましたとさ...。


おしまい


競争も重要だけど、自分だけの価値を見つける勇気もまた重要。そしてそれを多くの人と共有しながら世界をもっと楽しむことで、充実した人生を送ってほしいと思う親心から生まれたお話でした。


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竹鼻良文/TAKEHANAKE

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