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DMリースCS10/22in中野 決勝戦 めーがねVSnagahami

人と人がつながるとき、そこに物語が生まれる。
それは、ことカードゲームの場においても同じことだ。

この日リースCSの決勝まで駒を進めたのは、めーがねnagahami。聞けば二人は五年来の付き合いだという。日ごろから調整やフリー対戦に興じている相手という事もあってか、二人の間に緊張は見られない。

nagahami「そっちは決勝はじめてだっけ?」

めーがね「そうそう、ベ8(ベスト8)は前行ったけど」

準備をしながら軽口を叩きあう二人に、見守るギャラリーもわいわいと盛り上がり始める。そう、彼らもまた対戦する両者の知り合いなのだ。友人同士が大会の決勝で出会い、雌雄を決する……これほど手に汗握る展開はそうそうあるまい。

nagahamiが手で作ったハートマークに、めーがねがサムズアップで応える。いつもと同じ相手との、いつもと違う真剣勝負の火蓋が切られた。


Game1

先行:nagahami

予選順位の差で先行はnagahami。《芸魔王将 カクメイジン》、《淡いと濃い ケローラ / ♪やせガエル 負けるなケローラ スパイラル》とチャージしての《AQvibrato》召喚がファーストアクションとなった。

【火水マジック】。低コスト高品質の手札交換を絡めて革命チェンジで畳みかける、『魔覇革命』で成立した強力なアーキタイプだ。最速3ターンでゲームを決め切れる速度と、ロングゲームにも無理なく対応する柔軟性の高さを兼ね揃えている。

一方のめーがねは《T・T・T》、《スロットンの心絵》とマナチャージ。こちらは《「正義星帝」 <鬼羅.Star>》《「正義星帝」 <ライオネル.Star>》で爆発的な展開を行う、【火水光ライオネル.Star】系のデッキで間違いないだろう。

だがその場合、【赤青マジック】の先行3ターン目は早くも勝負の分かれ目となる。めーがねはこのターンを、シールドのみを頼りに生き延びなければならない。

nagahami、先行3ターン目。彼が使用したのは《ストリーミング・シェイパー》!

デュエマ黎明期の生んだ反則級カードによって、《AQvibrato》《機術士ディール/「本日のラッキーナンバー!」》《芸魔王将 カクメイジン》の3枚が手札に加わっていく。

そして、バトルゾーンに控えていた《AQvibrato》での攻撃時に革命チェンジ、《芸魔隠狐 カラクリバーシ》!効果で1枚ドローし、《瞬閃と疾駆と双撃の決断》を使用する!

手札に戻ったばかりの《AQvibrato》を踏み倒してさらにドロー、アタックを終えた《カラクリバーシ》を起き上がらせ、再攻撃時に《芸魔王将 カクメイジン》に革命チェンジ!【火水マジック】の真骨頂たる連続革命チェンジが炸裂する。

そのままシールドへと攻撃した《カクメイジン》によってふたたび《ストリーミング・シェイパー》と《瞬閃と疾駆と双撃の決断》が唱えられ、≪ボン・キゴマイム≫がバトルゾーンへ。更なる《カクメイジン》の攻撃をも用意してみせた。

だが、めーがねは焦らない。この動きは確かに強力だが、あくまで想定の範囲内。受けて返さなければ勝てないのならば、それを貫きとおす以外に道はない。

そして、その不動さが反撃の一手を呼ぶ。

シールドトリガー、《スロットンの心絵》!

迷わず進化クリーチャーの踏み倒しを選択し、《「正義星帝」 <鬼羅.Star>》をバトルゾーンへ。そのまま《エヴォ・ルピア》、二体目の《<鬼羅.Star>》、《ブランド-MAX》と連鎖させ、一気に盤面を固めることに成功する。

こうなると苦しいのはnagahamiだ。もう一度《カクメイジン》をシールドに向かわせるものの、《スロットンの心絵》によってブロッカーを得た《<鬼羅.Star>》がブロック。呪文は唱えられない。

ならばとばかりに《AQvibrato》を《カラクリバーシ》にチェンジさせ《瞬閃と疾駆と双撃の決断》を唱えるものの、ここで既に一度目のアタックを終えた《カクメイジン》にアンタップ効果を付与してしまう痛恨のミス!

nagahami「普通にプレミしたー」

しかし真剣勝負に「待った」はない。《ブランド-MAX》がブロックし、ターンエンド。

なんとか一山超えためーがねだが、依然油断できない状況が続く。なにしろ残るシールドはわずか2枚、マナはたったの3。相手の場には《カクメイジン》に≪ボン・キゴマイム≫。攻め切るのも難しいが、このままではジリ貧だ。

せめてものアクションとして《パンドラの記憶》を唱え、手札から《超次元の王家》を超次元ゾーンに送ることで追加で手札を入れ替える。そしてこれが功を奏したか、《<鬼羅.Star>》の攻撃時に《奇天烈 シャッフ》を呼び出すことに成功した。そのままコスト7を宣言して場の《カクメイジン》の動きを封じ、W・ブレイク。

《カラクリバーシ》のG・ストライクが発動し《ブランド-MAX》を押しとどめるも、それによってnagahamiのシールドが一枚墓地送りとなった。

まさしく一進一退の攻防。わずか3ターンの間に、壮絶な地上戦が展開されている。お互いのシールドもわずかに2枚ずつとなり、早くも勝負は佳境を迎えようとしていた。

ターンが返って先行4ターン目、nagahamiは長考。カードを指さし、何事か呟きながら、慎重にプランを検討する。既にシールドも減らされ、《<鬼羅.Star>》も繰り出されている状況下。すなわち、「詰めろ」だ。このターンで決め切らなければならない。

最終的に選んだのは《Napo獅子-Vi無粋 / ♪オレの歌 聞けよ聞かなきゃ 殴り合い》の召喚。これで手札を入れ替え、続けて≪ボン・キゴマイム≫の攻撃時に《カラクリバーシ》に革命チェンジ。手札に戻した≪♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり≫をそのまま唱えてコスト4を指定。《ブランド-MAX》によるブロックを禁止した。

そのままブレイクが通り、シールド残り1枚。続く《Napo獅子-Vi無粋》の攻撃時に、2枚目の《芸魔王将 カクメイジン》が躍り出る!

既に防御手段をもたないめーがねはこれを通さざるを得ず、それによりnagahamiは《瞬閃と疾駆と双撃の決断》を使用。手札から≪ボン・キゴマイム≫《灼熱の演奏 テスタ・ロッサ》を呼び出し、さらに打点を追加する。最後のシールドにトリガーは……ない!

手札に2枚、場の1体の《ブランド-MAX》で踏みとどまろうとするめーがねだったが、攻撃する度《カラクリバーシ》と《瞬閃と疾駆と双撃の決断》によって戦力が膨れ上がっていくのでは耐えきれるはずもなかった。

マジックの 革命チェンジが まず一勝

めーがね 0-1 nagahami


実はこの日、nagahamiは初めて【火水マジック】を本格的に使ったのだと言う。

nagahami「触ったことはあったけど、一応回したくらいでほぼ初見で。デッキは知り合いにその場で借りて。だからめちゃくちゃミスってる」

プレイミスこそあったものの、馴染みのないデッキでCSの決勝まで駒を進めるその実力、まさしく強者だ。

同時に、そんな彼と親交の深いめーがねやコミュニティのレベルの高さも伺わせる。実際、次の対戦の準備を進める間にも二人は先の試合のプレイを振り返り、意見を戦わせていた。

双方の準備が整ったところで、第二ラウンドのゴングが鳴る。


Game2

先行:めーがね

直前のゲームに敗れためーがねが先行。3ターン目の《T・T・T》3ドローで動き出す。

対するnagahamiはまたしても2ターン目に《AQvibrato》を召喚。優秀なサーチカードである《淡いと濃い ケローラ / ♪やせガエル 負けるなケローラ スパイラル》をチャージしてまでの最速召喚という選択に、「攻め」の姿勢が垣間見える。

そして続く3ターン目、nagahamiは≪ボン・キゴマイム≫を召喚。《エヴォ・ルピア》+スター進化クリーチャーという【火水光ライオネル.Star】の十八番をけん制し、ここはターンエンド。

ターンが回っためーがねは焦らず《奇天烈 シャッフ》を召喚し3コストを宣言。安易な革命チェンジを許さない。

互いにクリーチャーをバトルゾーンへ送り出し続ける展開となったこの勝負。しかし、現代デュエル・マスターズにおいてこのような状態は長続きしない。

すなわち、《飛翔龍 5000VT》

水文明が入るデッキにはほぼほぼ搭載されると言ってもいい、現環境を象徴するパワーカードだ。【火水マジック】【火水光ライオネル.ster】ともに5000以下登場禁止が大きな痛手になる都合上、このカードを巡った読みあいがなおのこと重要になる。

そんな事情もあってか、4ターン目を迎えたnagahamiはたっぷりと時間を使う。クリーチャーを並べるか、ドローやサーチで手札を整えに行くか。場の《AQvibrato》で駆け出すか、もう1ターン待って仕掛けるか。

【火水マジック】は単なるビートダウンだけでなく、「貯めて殴る」プランも可能なオールラウンダーなデッキタイプとして知られる。取れる選択肢が多い分、当然ながらプランの選定の難易度は高い。

とはいえ、やはり《飛翔龍 5000VT》の存在が頭をよぎったか、ここは仕掛けに行くことを決めたnagahami。クリーチャーによるカウンターを封殺する《単騎連射 マグナム》を繰り出し、《AQvibrato》によって攻撃。当然持っている《芸魔隠狐 カラクリバーシ》に革命チェンジ!

思わず息を呑んだかに見えためーがね。《単騎連射 マグナム》の存在下では、彼のデッキに唯一搭載されたシールドトリガーの《スロットンの心絵》が機能しない。

あわや決着か、とも思われたが、nagahamiは《カラクリバーシ》で呪文を撃たず、そのままターンエンド。ターンはめーがねに回った。

めーがね「きびしー……」

裏返った高い声で嘆くめーがねだったが、言葉とは裏腹に、きちんと手札に「答え」を準備していた。

すなわち、《飛翔龍 5000VT》

バトルゾーンのクリーチャーが4体存在したことにより4コストで召喚された《5000VT》は、nagahamiの盤面を一掃。直前に出した《単騎連射 マグナム》が裏目に出た形となってしまった。

追い打ちとばかりに《奇天烈 シャッフ》で攻撃、3コストを宣言して1枚ブレイク。

ターンこそ回ったもの、行動を大きく制限されたnagahami。《5000VT》の効果が切れるまで耐えるべく、≪♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり≫で4を宣言、《奇天烈 シャッフ》の動きを止める。

続けて≪「本日のラッキーナンバー!」≫を唱えようとするものの、《奇天烈 シャッフ》宣言3によって使用不能!ターンを終えるほかない。

≪ボン・キゴマイム≫の軛から解き放たれためーがねは《ブランド-MAX》を召喚、攻撃時に《キャンベロ <レッゾ.Star>》に侵略!続けて《5000VT》もシールドへと向かわせた。これでnagahamiのシールドは0。

「クリーチャーを1体しか出せない」という【火水マジック】の戦略を完全に破壊するロックを掛けられてしまったnagahamiは投了。勝負は最終ラウンドへもつれこむ。

めーがね 1-1 nagahami


めーがね「お前の防御力下げとくわw」

デッキをシャッフルしながらnagahamiを「にらみつける」めーがね。ギャラリーから「攻撃力下げといたほうがいいだろ!」とツッコミが入る。笑顔ではしゃいでいる二人の姿は、とてもあと1ゲームで雌雄を決する選手たちの姿には見えない。

しかしシールドを並べ、手札を5枚引いた瞬間、対戦テーブルを身を切るような静寂が支配する。めーがねもnagahamiも、既に競技者の表情だ。相手が友人でも、いや、友人だからこそ負けられない。それが彼らの友情の形なのだろう。

泣いても笑っても最後の一戦。デュエマ、スタート!


Game3

先行:nagahami

先行は再びnagahami。今回も2ターン目に《AQvibrato》を繰り出す。最終戦でも変わらず、攻めっ気の強いプレイングだ。

めーがねはというと、1,2ターン目とも粛々とマナチャージしターンを終えた。彼の使う【火水光ライオネル.Star】に小型のメタカードは採用されていない。故に、今はただ待つ。

先行3ターン目。nagahamiはマナチャージの後、すぐさま攻撃に移る。《AQvibrato》の攻撃時に革命チェンジ、《芸魔隠狐 カラクリバーシ》。

効果で《瞬閃と疾駆と双撃の決断》を唱え、《灼熱の演奏 テスタ・ロッサ》を出しつつ1枚ブレイク。二度目の攻撃を行う《カラクリバーシ》が《芸魔王将 カクメイジン》へと姿を変える!

Game1の再現かのような光景。だが、今回のnagahamiは「持って」いた。《スロットンの心絵》がトリガー……しない!

《カクメイジン》が《瞬閃と疾駆と双撃の決断》で自身をアンタップ、ダメ押しと言わんばかりに≪ボン・キゴマイム≫をバトルゾーンへ送り出す。

再びの《カクメイジン》のW・ブレイクでめーがねのシールドは尽き……《テスタ・ロッサ》のチェンジした《カラクリバーシ》が、友との闘いを締めくくったのだった。

めーがね 1-2 nagahami

WINNER:nagahami


試合を終えた二人に、ギャラリーから、ジャッジから、惜しみない拍手が送られる。もう、めーがねもnagahamiも笑顔だ。

「マジック強すぎ~!」とか、「トリガー来ないかー!」などと自然体で感想戦を交わす二人。彼らの友情の物語の1ページにこの激戦が刻まれたなら、これほど嬉しいことはない。

優勝おめでとう、nagahami!


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