仕組みをハックすること、マーケティングの型を発明すること

以前、このエントリで次のようなことを書きました。

これはCPI(1インストールあたりの広告費)が10円未満という、過去最高のパフォーマンスを記録したバナーだ。一見なんの変哲もないこのバナーが非凡な成果をあげた理由は、また別のエントリで解説する。

すっかり忘れていたのですが、CMの記事がバズってふと思い出したので軽くまとめておきます。半分は獲得効率の話、半分は思い出話です。

😈 ハックする方法を見つける

最初にネタばらしをしておくと、これは日本でFacebookのモバイルインストール広告が広まる前に出稿されたものです。

2012年の12月頃に「Facebook、アプリストア直結のモバイル広告「Mobile App Install Ads」を一般公開」という記事を目にしました。この時点では日本語の出稿ツールは提供されておらず、どの代理店も取り扱っていない状況でした。

少し調べてみたところ、インハウス用の出稿ツール(英語)が存在することがわかりました。ただし広告マネージャに個人のFacebookアカウントを連携し、クレジットカードを紐付ける必要があったので、まとも会社が利用できるような状態ではなく、国内での事例も見かけませんでした。

そこでスタートアップらしく試してみたところ出稿に成功し、CPI十数円という目を疑うようなパフォーマンスを目にすることになりました。その後「新しい広告にユーザーが慣れていないのでは?」という仮説のもと、バナーをFacebookらしくチューニングしていくことで「10円未満のCPI」が実現できたというわけです。

その翌日からシードラウンドで調達したなけなしの資金をFacebook広告にぶっこむ日々が始まりました。会社のクレジットカードは限度額が低かったので、Vプリカ(VISAのプリペイドカード)に毎日数十万円をチャージして、(1アカウントで回すとフリークエンシーが制限されるため) メンバー全員のFacebookアカウントを使って広告を回していました。

当時、プリペイドデビットカードの選択肢は少なかった

年の瀬に見つけたこのハックも、翌年の早い段階で代理店が参入し使えなくなることを想定していたので、年末年始も広告を回し続けました。その結果、ターゲットである10代〜30代女性のタイムラインを長期間フリルの広告でジャックすることができ、グロースを加速させることができました。

大金を下ろしていた @shota が銀行員に詐欺と間違われたり、大量のバーコードを手渡したコンビニ店員に怪訝な表情をされたり、悲鳴をあげるサーバを @yutadayo らエンジニアが毎日スケールアップ/チューニングし続けたりと大変でしたが、それだけの価値はあったと思っています。

💡 仕組みをハックする方法を常に考える
💡 失うものがないアドバンテージを活かす
💡 新しい広告枠ができた直後のボーナスタイムを見逃さない

♲ 型を発明すること

これを実行したのは、MSNメッセンジャー(?)の新しい広告を使ってグロースしたMMORPGの話を読んだことを思い出したからでした。

Facebookのモバイル広告は、日本でも代理店の取扱が始まると適正価格に近づいていきましたが、実はTwitterでも似たようなことがありました。運用型広告の開始のニュースを見た @shota がTwitterのカントリーマネージャーを見つけて連絡を取ったところ、ファーストクライアントとしてトライアルできることになったのです。面識もないのに図々しいかと思うのがふつうかも知れませんが、だからこそ他にやる人がいなかったのだと思います。その後もInstagram、Youtube、AppStoreと新しい広告が出たら試してみるようにしていました。

これはほんの一例ですが、いくつかの再現性のあるマーケ施策の型ができたことがユーザー獲得の助けになりました。歴史を紐解くと、mixiの友達招待やLINEの電話帳連携など、うまく行ったサービスには効率よくユーザーを獲得する「マーケティングの発明」が一つや二つはあるように思います。

特にアーリーステージのスタートアップには「ふつうに広告を出して、ふつうの成果で満足」するのではなく、仕組みをハックし「再現性を持ったマーケティングの発明」にトライする野心を持ってほしいなと思っています。

💡 過去の逸話を抽象化し、現環境に当てはめて考える
💡 再現性のあるマーケの型を見つける
💡 ふつうの方法、ふつうの成果で満足せず、貪欲にトライする

Twitterでもボヤいてるので、よかったらどうぞ!🐣

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takejune

小さな魔法の作り方

Webサービスやモバイルアプリのプロダクトマネジメント・デザイン・組織づくりについて個人的な経験に基づく考えを記していきます。
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