バイトテロの責任

最近多発している「バイトテロ」問題について、日経ビジネスに健康社会学者の河合薫氏の「バイトテロ」への企業の法的措置と、ぬぐえない違和感 という論考が掲載された。

要するに企業がバイトに対して厳罰や法的手段に出ることを批判した文章なのだが、これには同意できない。

「労働条件が悪いからバイトテロをする」という問題設定事態おかしい。倫理観は金で買うものではない。低賃金だろうとちゃんと責任持って仕事している大多数に大変に失礼な話だ。

低賃金の問題と、バイトテロの件は別の次元の話だ。その問題同士を接続すると、「経営者は金で従業員を飼い慣らせ」というメッセージになりかねない。

経営者と労働者が人間対人間なら、バイトテロによってもたらされた不利益の責任は、それをやった人間に取らせるのが対等というものではないだろうか。

もし低賃金の問題を進めたいなら、労働者同士の連帯を促すべきで、この件を以て経営者の非を追求するのはむしろバイトテロ行為の肯定になってしまう。

経営者が常に悪者のように仕向けるのも良くない。一部のバイトテロで会社の信用が落ちて収益が落ちたら、もしかしたら人件費削減で誰かがやめなきゃいけなくなるかもしれないし、最悪店舗閉鎖を促すこととなり、結果的に他の従業員の雇用を奪ってしまう。

一部のバカな個人がやったことは事実であり、会社が個人を訴えることによって、その個人を個人として認識している事になる。訴訟というのは問題の外部化だ。それは「人間は対等である」という表明と言えるのではないだろうか。

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