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2023年11月29日(水) TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days 〜DEVOTION〜@東京国際フォーラムホールA に行ってきた。

 TM NETWORKのライブは「Major Turn-Roundツアー」以来。
 御年66歳の宇都宮隆、木根尚登、27日に65歳になったばかりの小室哲哉が表現したものは、ベストヒットライブではなく、これから始まる新しいTM NETWORKを予感させる厳かな3人だけのステージづくりに深く感動した。
 もちろん過去の名曲が登場すれば特別な感情が湧いてくる。実際僕が大好きで自分のライブでもカバーしてるバラード“キネバラ”曲(どうやらTM界隈のファンはセットリストのネタバレを気にするらしいのでタイトルは伏せておく)が流れた時は「まじかぁ!」とつぶやいて涙が出てきた。
 だけどそれらも全て現在のTMサウンドにアレンジされていた。
 今回のライブは僕の目には「TM NETWORK的アコースティックライブ」に見えていた。同期演奏があるにも関わらず機械的ではなく、とても人間的、身体的な演奏だった。
 60代の3人は若々しい。宇都宮隆の歌声はまだまだ現役ののびやかさがあった。小室哲哉もショルキーで駆け回るシーンもあった。木根尚登はアコギタ、エレキ、キーボードと様々な楽器を演奏していた。
 だけどそれは「若さ」ではなく「老い」を引き受けた音に聴こえた。
 それらはこれまでのTMサウンドとは確かに違っていた。祈りのような荘厳な響き。それはあたかも宗教音楽のようでもあった。
 ライブ自体がアルバムのリアル再現ではなく、独立した作品として作られていたのではないか。
 
 今回のタイトル「Devotion」は日本語で「献身」を意味する。
 この献身が指し示すところは、観客に対する「サービス」ではないと直感的に感じた。
 今のTM NETWORKにおける「Devotion」とは、小室、木根、宇都宮の3人の有機体が晩年期に入り、これまで40年にわたり携わってきた音楽という名の「神」に対する献身なのだ。

 トークセクションもアンコールも無く、何かを予告するような映像で終わっていった。
 それは、TM NETWORKの新しい旅はまだ始まったばかりと言っているかのようだった。
 その旅はもしかしたら終幕に向かうための旅なのかもしれない。


追記
 同じような感想を抱いた方の解釈がとても良かったのでこちらにリンク貼ります。


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