人生初のCDを発売するに至る考察[投げ銭]

自主制作マキシシングル「トレイン」を先日より手売り販売を開始している。

人生初のCDは完全自主制作でレコーディングからジャケットデザイン、包装に至るまで全部自分でやった。

それはひとえにCD制作の技術が手元レベルまで下りてきた時代背景が影響している。物を作ろうと思えば、自身のスキル内で出来ることは20年前に比べて格段に増えたし安価で出来るようになった。

それは作品そのものを世の中に提案しやすくなったという事と同時に、メジャーではない市場の活性化がしやすくなった事を意味する。アイデア次第では兼業音楽家としての副収入も見込める。

これまでCDをリリースできなかった理由
とはいいつつも私自身CDを切望されながらこれまで着手できていなかった。その理由は案外簡単で収支の見込みを立たなかったからだ。

そんな事言ってるから作れないんだよ、とツッコミが入るかもしれないが、まもなく40歳にならんとする男で、子供はいないけど家族があって、順調とはいえ根本的には不安定な自営業の食料品店という事は大きいのだ。

つまり道楽で金を突っ込めるほど金持ちでは無いといえば分かりやすいだろう。

録音をするとなると、スタジオ代、ミュージシャンのギャラ、盤面制作、ジャケットデザイン、全てにお金がかかってくる。それを回収する場合にどれだけ販売すれば良いかの見込みが立たない事にはスタートがかけられなかったのだ。

これまでにも「お金はいいから手伝うよ」と言ってくれる仲間もいたが、先ほど述べた通り僕と同世代の人間であるなら生活観は近いものと思われ、その個人の時間とスキルを無料で使う事には違和感がある。また無料で手伝ってくれたものでは、僕の収入に繋げる価格設定がし辛いではないか。

仮に共同制作者として運命共同体を形成したとしても、何を主体にしてマネタイズするかというのを外してしまっては、それはビジネスとして破綻する以外なくなる。

今回CDをリリースできた理由
では何故、今回マキシシングル発売に至ったのか。

まず第一に挙げられるのが、これまでのライブ活動を通じてギターのスキルが向上したという事だ。つまりそれは録音のベーシックになる楽器演奏にそれなりの自信が持てるようになったという事だ。それによって演奏を誰かに依頼せずに録音できる体制が整った。

次に挙げられるのが冒頭に述べた事に関連しているが機材の向上。iPadで録音が、パソコンでCDを焼く事が出来るというハード面の向上は、作業を自宅とせいぜいスタジオの個人練習程度にした。録音作業は休みの日に自宅とカラオケ店で少しづつ進めた。制作開始が1月なので諸々制作作業に1ヶ月半くらいかかったが、兼業音楽家としてやる以上それは仕方のないことだろう。

そして最後に兼業の惣菜屋の収支を実際に見てきたことで、どのように収益を計画するかの素地が出来ていた。と、まあそんな感じである。

そうは言ってもしっかり売れるかはわからない。でも在庫は、手元生産という特性上その都度追加が可能なため殆どない。だから損はしない。その安心感の中でCDを通じたコミュニケーションが取れるという事が、今回最も良かった変化である。

コミュニケーションツールとしての「商品」
先日わざわざ遠くからCDを購入するために店を訪れて下さった方がいた。その方が仰っていたのが「CDはコミュニケーションツール」という事。ネット配信では得られない手渡しでの交換だったり、「あなたの活動を応援しています」という表明自体がCD購入というアクションだったりするのだ。

つまり応援したいがお金をただ渡すわけにはいかず、商品があれば購入で「ガンバレ」を表現できる。それは僕が好きなミュージシャンのCDを購入する動機そのものなのだ(平沢進やTMネットワークのCDが発売されれば必ず購入する)。
それは総菜屋として食品を製造販売するのとまったく同じロジックだ。
惣菜を販売する場所は数多ある中、やきとりキングに足を運んで買うという行動は、欲しい商品があるという事に加えて、お店を応援したいという無意識がそこにはある。自分が好きなお店には存続して欲しいでしょ。それはまさに「応援」という“無意識”の意思表明なのだ。

CDというグッズが提案出来たことで、行動を促す事が出来たというのは、応援の行動化を誘引出来た事になる。とても嬉しい出来事であったが、励みになると同時に身が引き締まる思いが芽生えた。つまり音楽家としての竹田克也の責任感が生まれた。

結果、草の根ミュージシャンだろうが何だろうが同じ土俵の片隅に足を乗せられる事になる。それは同時に、以降の連作の中で様々な評価をもらうという事になるだろう。

僕たちはチャレンジというと基本的生活をある程度手放すものと思いがちである。しかし検討に検討を重ねれば、そんな命を掛けるような悲壮感を持たずとも、年齢や生活形態で縛らずとも、ある程度チャレンジする事が可能になる場合があるのではないか。

僕が環境上恵まれている部分がないとは言わない。しかしピアノがリビングにあるような環境に比べると、レコードや古びたガットギターがあったものの「音楽の環境」というにはほど遠かった。そんな僕が、街場の小さな惣菜屋を営みながらビジネスとして音楽を捉える事が可能であるという証明を、今後の活動で表現していけたらと夢想している。

自主制作CDの発売はその経過であり、どのような結論になるかは僕にもわからない。もしかしたら失敗に終わるかもしれないし、もしかしたら思いもよらないブレークスルーが待ち構えているかもしれない。

どのような結末になろうとも、不確定な未来にワクワク出来る今が楽しいし、スタートした後の諸々事実は積み重なっていく。

30歳の誕生日に立てた「一生音楽を続けていく」という決意に準じて「CDを作る」という一歩を踏み出せた事を、まずは胸を張りたいと思う。

Self Portrate Series001「Train」
2018年3月12日発売 4曲入り 1200円(税込)
1Train 2小さな別れ[Live] 3流域[Live] 4Train[off vocal]
やきとりキング(豊島区長崎4-4-8)、ライブ会場で発売中

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人生初のCDを発売するに至る考察[投げ銭]

やきとり王子/Takeda Katsuya

100円

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兼業音楽家コラム【投げ銭】

「兼業音楽家」としての音楽への取り組み方を記したコラム集。「歌う総菜屋」ブログの転載 http://katsuya-takeda.blog.jp/  よろしければ投げ銭をお願い致します。
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